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第1編 ≪人事行政≫

第2部 ≪平成12年度業務状況≫

第3章 職員の給与

第2節 給与法の実施


1 給与勧告に伴う給与法等の改正
(1) 給与法等の改正

給与勧告を実施するための給与法等の改正は、前記の「公務員の給与改定に関する取扱いについて」(閣議決定)に基づき、「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案」として平成12年10月6日に閣議決定され、同日、第150回国会に提出された。同法案は、衆議院内閣委員会、参議院総務委員会における審議を経て、11月14日の参議院本会議で可決成立し、同月22日に公布された(法律第122号)。

なお、衆議院内閣委員会の採決(10月26日)及び参議院総務委員会の採決(11月14日)に当たって、次のような附帯決議が採択された。

           衆議院内閣委員会附帯決議(10月26日)

政府並びに人事院は、人事院勧告制度が労働基本権制約の代償措置であることにかんがみ、勧告制度を尊重する基本姿勢を引き続き堅持するとともに、給与勧告機能を十分に発揮させ、公務員の適正な処遇を確保するよう努めること。

           参議院総務委員会附帯決議(11月14日)

政府及び人事院は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

  • 一 人事院勧告制度が労働基本権制約の代償措置であることを踏まえ、政府は人事院勧告制度を引き続き尊重するとともに、人事院は官民給与の精確な比較等により公務員給与の適正な水準の維持・確保に努めること。
    一 公務能率及び行政サービスの一層の向上を図るため、全体の奉仕者たる公務員の適正な処遇の確保と勤務条件の充実・整備に努めること。

改正後の法律の規定は、公布の日から施行され、平成12年4月1日から適用された(暫定筑波研究学園都市移転手当と給与法第11条の3の規定による調整手当との調整に係る改正は平成13年4月1日から施行された。)。

改正内容は、次のとおりである。

ア 扶養手当

子等の扶養親族のうち2人目までに係る手当額が5,500円から6,000円に、3人目以降に係る手当額が2,000円から3,000円にそれぞれ引き上げられた。

イ 期末手当、勤勉手当及び期末特別手当の支給割合

12月期の期末手当の支給割合が1.75月から1.60月(本府省課長等の特定幹部職員については、1.55月から1.40月)に、勤勉手当が0.60月から0.55月(本府省課長等の特定幹部職員については、0.80月から0.75月)にそれぞれ引き下げられた。

また、12月期の期末特別手当の支給割合が1.75月から1.60月に引き下げられた。

ウ その他

暫定筑波研究学園都市移転手当を支給される職員が給与法第11条の3の規定により調整手当を支給されることとなる場合には、所要の調整を行うこととされた。

(2) 規則の改正

給与法の改正に伴う関連規則の改正については、同法の公布に合わせて平成12年11月22日に公布・施行され、同年4月から適用された(暫定筑波研究学園都市移転手当に係る改正については平成13年4月1日施行)。

改正内容の主要なものは次のとおりである。

ア 勤勉手当

12月期の勤勉手当が引き下げられたことに伴い、人事院規則で定めることとされている基準に関する所要の改正を行うため、規則9-40の一部を改正した。

イ 暫定筑波研究学園都市移転手当

暫定筑波研究学園都市移転手当を支給される職員が給与法第11条の3の規定により調整手当を支給されることとなる場合における両手当間の調整に関し、同条の規定による調整手当の限度で暫定筑波研究学園都市移転手当を支給しないこととする等のため、規則9-103の一部を改正した。

(なお、調整手当の支給地域等の見直しに係る規則改正については、2の(2)ク参照)

2 その他の制度改正等
(1) 一般職の任期付職員の給与

平成12年8月15日の人事院の意見の申出に基づき、「一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律」が制定され、同年11月27日、公布・施行された。

同法による任期付職員のうち、高度の専門的な知識経験又は優れた識見を一定の期間活用して遂行することが特に必要とされる業務に従事する職員(特定任期付職員)については、その者の専門的な知識経験等を活用して遂行することとなる業務にふさわしい給与を確保するため、長期継続雇用を前提とした現行俸給表の枠組みによらず、簡素な号俸構成の特別の俸給表が新設された。

また、特別の事情により同俸給表に掲げる号俸により難いときは、給与法の最高額(東大学長等)の範囲内で俸給月額を定めることができるほか、特に顕著な業績を挙げた場合には特定任期付職員業績手当(俸給月額相当額)を支給できることとされた。

一方、特定任期付職員以外の任期付職員については給与法に規定する俸給表が適用されるが、初任給の決定等について弾力的な取扱いができることとされた。

特定任期付職員の給与について

平成12年11月、民間人材の円滑な採用のため、人事院の意見の申出に基づき、任期付職員法が制定されました。

この法律による任期付職員のうち、特定任期付職員には、その高度の専門的知識経験や優れた識見を活用して遂行される業務にふさわしい給与を支給するために、次のような特別の給与体系が適用されています。

高度の専門性などにふさわしい給与


□特別の俸給表

特定任期付職員には、次の俸給表が適用されます。

号俸は、専門的知識経験や識見の度、業務の困難・重要の度に応じて各府省の判断により決定されます。


さらに、例えば、国内はもとより世界的にも業績が認められている特定分野の専門家が、その人の持つ知識経験等を活かして重要政策に関する企画・立案といった業務に従事する場合など、特別の事情が認められる場合には、一般職の最高額(東大・京大学長;俸給月額 1,375,000円)までの範囲内で特例的な俸給月額を支給することができます。

□特定任期付職員業績手当

特定任期付職員が、当初期待された業績を超える業績を挙げる場合も想定されます。

特に顕著な業績を挙げた場合には、各府省の判断により、俸給の1月分に相当する額を「特定任期付職員業績手当」として1年に1回、12月に支給することができます。

→特定任期付職員の採用状況

平成13年1月6日の中央省庁再編等に併せ、内閣府を中心に専門的知識経験を有する大学教授、弁護士、公認会計士、IT専門家など14人が特定任期付職員として採用され、特別の給与体系の適用を受けています。(平成13年3月末現在)

具体的にみると、例えば、国際経済や科学技術の研究開発評価など公務に蓄積の少ない分野において公務外から人材を招致する必要が生じ、民間における高い実績、豊かな実務経験を有する専門家が、それぞれ経済政策や科学技術政策を担当する部局に採用されました。このケースでは、高度の専門能力等を考慮して、内閣府参事官で6号俸、同参事官補佐で5号俸に給与格付けがなされています。これらの者の年間給与額を、通常の俸給表による年間給与額と比較すると、6号俸で本省課長より3割程度、5号俸で本省課長補佐より6割程度高い水準が用意されていることになります。

この制度により、いわゆる民間相場に応じた給与の支給も可能となり、これまで公務に採用できなかった特別に高い専門能力等を有する人材を公務に招致しやすくなりました。

(2) その他の主な規則改正
ア 兼業休職制度の新設に伴う改正

平成12年4月20日、国立大学教員等の研究成果活用企業の役員等との兼業に係る休職制度(兼業休職制度)が新設されたことに伴い、休職給を支給しないこと、復職した際の俸給月額の調整等について関係規則の改正を行った。

イ 大学院修学休業制度の新設に伴う改正

平成13年4月1日から大学院修学休業制度が新設されたことに伴い、休業をした職員が職務に復帰した際の俸給月額の調整、期末・勤勉手当における休業期間の取扱い等について関係規則の改正を行った。

ウ 省庁再編及び独立行政法人への移行に伴う改正

中央省庁等改革のための国の行政組織省令の制定等に伴い、省庁再編後の具体的な組織名等について関係規則の規定の整備等を行った。また、独立行政法人制度が創設され、一部の国の組織等が独立行政法人に移行することに伴う関係規則の規定の整備を行った。

エ 俸給の調整額

原子力防災専門官及び原子力保安検査官の新設に伴い、新規指定を行うため、規則9-6別表第1の一部を改正した。

オ 俸給の特別調整額

行政組織の改正、官職の新設等に伴い、俸給の特別調整を行う官職の新規指定及び支給区分の変更等を行うため、規則9-17の別表の一部を改正した。

カ 特殊勤務手当

手当額の引上げ(夜間看護等手当、護衛等手当、死体処理手当及び教員特殊業務手当)、適用範囲の拡大(爆発物取扱等作業手当、防疫等作業手当、航空管制手当及び夜間特殊業務手当)等を行うため、規則9-30の一部を改正した。

キ 初任給調整手当

規則9-49(調整手当)の改正により、調整手当の支給地域区分が乙地から甲地となったことに伴い、初任給調整手当が減額となる浦和市及び千葉市に在職する医療職俸給表(一)の適用を受ける職員の支給額の経過的措置を行うため、規則9-34の一部を改正した。

ク 調整手当

社会経済情勢の変化を踏まえた地域別の給与配分の一層の適正化を図るため、規則9-49の一部を改正し、平成13年4月1日から施行した。その改正の内容は次のとおりである。

なお、(オ)の地域及び(カ)の地域のうち平成13年4月1日に職員が在勤する地域については、それぞれ所要の経過措置を講じた。

また、上記の調整手当の支給地域に関して、市町村合併に伴い、西東京市及びさいたま市を追加する規則9-49の一部改正を行った。

3 級別定数の改定等
(1) 級別定数の改定

級別定数制度は、職務評価の統一性を確保し、もって適正・妥当な俸給決定が行えるように、職員の職務内容を級別標準職務を基準として客観的に評価するために設けられているものであるとともに、給与勧告の前提となる官民の給与比較において、官民の対応する職務段階の職責の重さを比較する上で不可欠の機能を果たしている。具体的には、職務の級別の人員数を組織別、会計別及び職名別に定めている。

級別定数については、毎年、組織の新設又は改廃等職務内容の変化や、各府省における職員構成の動向に応じ所要の改定を行ってきているが、平成12年度においても、職務の重要性が増大し、職務負担の加重化傾向の著しい官職を中心として、人事運用の実態等を踏まえ、組織間・世代間の均衡及び長期的視点に立った職員の適切な処遇の確保にも留意しつつ、所要の改定を行った。

(2) 職務の級の決定等の審査

規則9-8に基づく職務の級及び俸給月額の決定等について、各府省からの個別の協議に応じ、審査を行った。

4 特別昇給の承認
(1) 表彰等による特別昇給の承認

職員の中には、辺地等に勤務し、極めて困難な勤務条件の下で献身的に職務に従事している者や、勤務成績の向上、能率の増進、発明考案等により職務上特に功績のある者が少なくない。各府省においては、これらの職員に対してその労に報いるとともに、職員の士気を高めるため、積極的に表彰ないし顕彰を実施し、給与上も人事院の承認を得て特別昇給を行ってきている。平成12年度は、人事院総裁賞2件のほか、警察庁、科学技術庁(現文部科学省)、運輸省(現国土交通省)及び建設省(現国土交通省)で実施した19件の表彰について、特別昇給の承認を行った。表彰による特別昇給を行った職員について例示すれば、次のとおりである。

(2) 本府省内部部局に勤務する職員に対する特別昇給の承認

勤務密度や拘束時間等の面から精神的、肉体的負担の大きい法令の立案、国会対応、予算折衝などの困難業務に従事する各府省内部部局の職員のうち、公務に対する貢献が顕著であるものに対して、その勤務条件の特殊性等を考慮して、特別昇給の承認を行った。

なお、一時的な業績・繁忙等に対して機動的な対応が可能となるよう、平成12年度においても、一定期間だけ効果を有する特別昇給の承認を行った。

(3) 教育職俸給表(一)又は研究職俸給表の適用を受ける職員に対する特別昇給の承認

研究活動の活性化に資するため、教育職俸給表(一)又は研究職俸給表の適用を受ける職員のうち、勤務成績が特に良好で顕著な研究業績を挙げた優秀な研究者に対して、特別昇給の承認を行った。

なお、これについても一定期間だけ効果を有する特別昇給の承認を行った。

5 給与簿の検査

人事院は、国公法の規定に基づき、適正な給与事務の確保を目的として毎年給与簿の検査を実施している。

平成12年度は、平成2年4月1日に実施された初任給基準の改正に伴う在職者調整及び同日以後に採用された者の初任給の経過的特例の適用状況、平成4年4月1日に実施された昇格制度の改正に伴う在職者調整及び経過措置の適用状況、平成6年4月1日に実施された初任給基準の改正に伴う在職者調整の適用状況、平成8年4月1日に実施された号俸の削減措置に伴う切替え及び同日以後に採用された者の初任給の経過的特例の適用状況、平成11年4月1日に実施された昇給停止年齢の引下げに伴う経過措置の適用状況並びに平成10年以降の諸手当の額の改定等を重点に458機関を対象として実施した。また、特別の検査として平成8年4月1日に実施された号俸の削減措置に伴う切替え及び同日以後に採用された者の初任給の経過的特例の適用状況について、87機関を対象として実施した。

その結果、法規の理解不足等に起因するものについて若干の誤りが発見されたが、全体的には、おおむね良好に処理されているものと認められた。

なお、検査を実施した機関において発見された誤りについては、是正のための適切な措置を講ずるよう指導、助言を行うとともに、当該府省に対して検査対象外の職員にあっても類似の誤りが生じているおそれがあるので、これらの内容について速やかに調査し、同様の措置を講ずるよう指導した。

また、法規の理解不足等に起因する誤りを防止するため、各府省の給与実務担当者を対象とした研修会を本院及び各地方事務局(所)において41回開催するとともに、給与実務に必要な資料を作成、配布するなど、実務処理上の知識の周知に努めた。


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