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第1編 人事行政


我が国の経済は、企業収益の改善や設備投資の増加等明るい兆しも見られるものの、今後、我が国が潜在的な成長力を取り戻し、豊かな国民生活を実現するためには、経済・社会システムを抜本的に変革する構造改革をさらに推進することが求められている。

政府においては、「官から民へ」の考え方の下、行政サービスの民間開放をはじめとした規制改革の一層の推進を図るとともに、「国から地方へ」の考え方の下、国と地方の明確な役割分担に基づいた地方分権型の新しい行政システムの構築に向けて、取組を進めている。

民間企業においては、収益構造の改善に向けた経営戦略の一環として引き続き人事・賃金体系の改革を進めており、年功的人事体系から成果主義・能力主義的人事体系への転換や中途採用等採用方法の多様化、専門職制度の活用、就業形態の多様化等が進んでいる。

人事院は、このような社会情勢の変化に適応し、公務員人事管理システムが国民の期待と信頼に応えられるものとなるよう見直しに取り組んできた。平成15年度においては、給与勧告において、民間企業の厳しい給与実態を反映し2年連続で月例給与の引下げを勧告し、特別給(ボーナス)の引下げと合わせ、職員の年間給与の減少は5年連続となり、かつ過去最大の引下げ額となった。同時に、調整手当の異動保障について、支給地域に6か月を超えて在職した職員に対象を限るとともに、支給期間を2年間に短縮することとするほか、通勤手当の支給を6か月定期券等の価額を基礎に一括支給することについても勧告を行い、これに基づく法改正が行われることとなった。また、公務における多様な勤務形態の導入について研究会を設置し、検討を進めている。そのほか、懲戒処分の公表を各府省等が適正に行うための懲戒処分の公表指針や、職員の心の健康づくりのための指針を発出したほか、高次のリーダーシップを養成することを目的として、思索型プログラム(アスペンメソッド)による幹部行政官セミナーを開催するなど第2部に記述する諸々の施策を行ったところであり、今後も積極的に公務員人事管理システムの改革に取り組んでいくこととしている。

現在、政府においては、内閣官房行政改革推進事務局を中心に公務員制度改革の検討が進められている。

公務員制度は、公務員に対してだけではなく、行政の在り方、国民生活にも重大な影響を与えるものであり、改革後の公務員制度が国民から支持され、実効ある制度として運用されるためには、関係者や各界有識者を含めた幅広いオープンな議論を経て改革案が作成されることが必要である。また、今般の公務員制度改革は、公務員の意識、行動原理を大きく改めることを求めるものでもある。そのため、実際の人事管理を担う現場の管理者を含めた各府省、実際に働く職員側の納得を得て改革が進められる必要がある。

人事院は、平成15年8月の給与勧告時の報告においても、能力・実績に基づく人事管理の推進、再就職規制の見直し、人材の確保育成等に関し、公務員制度改革が向かうべき方向性について意見を表明するなど、中立第三者機関、人事行政の専門機関として適時適切に意見を述べてきたところである。今後とも今回の公務員制度改革が国民の期待に応える実効ある改革として実現するよう適切に役割を果たしてまいりたい。併せて、関係者の意見を十分聞きながら、人事行政のきめ細かな改善にも努めていくこととしたい。


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