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第1編 人事行政


人事院は、かねてより経済情勢その他諸情勢を踏まえつつ、公務員の人事管理システムが国民の期待と信頼に応えられるものとなるようその見直しに取り組んできた。

給与については、労働基本権制約の代償措置として、社会一般の情勢に適応した適正な公務員給与を確保するとの基本的考え方に基づき、民間準拠を基本に給与勧告を行っている。平成16年度においては、月例給及び特別給(ボーナス)について、それぞれ官民の水準がおおむね均衡していたことから、その改定を見送ったほか、寒冷地手当について、支給地域を北海道及び北海道と同程度の気象条件が認められる本州の市町村に限定し、かつ、支給額を民間事業所における支給実態に合わせて約4割引き下げることなどを内容とする勧告を行い、これに基づく法改正が行われた。また、給与勧告時の報告において、公務員給与に対する国民の理解と支持を確保するとともに、職員が生き生きと働けるよう、民間企業の賃金制度改革の動きも踏まえ、地域の給与の在り方を含めた給与構造の基本的見直しを行うことを表明し、俸給制度、諸手当制度全般にわたる検討項目を提示した。

勤務環境の整備については、公務における勤務時間制度の弾力化・多様化の方策について検討するために設置した「多様な勤務形態に関する研究会」の中間取りまとめを受け、職業生活と家庭生活の両立支援策を一層推進するため、男性職員の育児参加のための休暇や育児・介護を行う職員の早出遅出勤務の新設などを行った。このほか、両立支援制度の活用に関する指針を示すなど、両立支援のための施策について取組を進めている。

人材確保の面では、国家公務員採用I種試験の在り方について、研究会を設置し、その報告を踏まえて平成18年度からの実施に向けて見直しの検討を進めた。また、国と民間企業との間の人事交流について、これまでの交流実績を踏まえ、交流機会の拡大に関する要望等も考慮して、国と民間企業とが所管関係にある場合の人事交流の制限を一部緩和するなど第2部に記述する諸々の施策を行ったところである。

人事院としては、今後とも民間企業の人事管理に関する動向も注視しながら、公務員人事管理制度やその運用の改善に積極的に取り組んでいくこととしている。

公務員制度改革については、平成16年12月24日に公務員制度改革を含む「今後の行政改革の方針」が閣議決定されたところである。人事院としては、国民の批判に正面から応えつつ、新たな時代の要請に的確に対応した実効ある改革を実現していくためには関係者の十分な理解と納得を得て検討を進めることが極めて重要であり、これからも関係者との話合いを重ねていくことが肝要と考えている。

課題となっている能力・実績に基づく人事管理の推進や再就職規制の見直しは、いずれも公務員制度における重要なテーマであり、国民及び関係者に理解され、納得されるものである必要がある。同時に、公務員人事管理にあっては、基本理念として中立公正性の確保が要請され、また、労働基本権の制約が維持される限り代償措置の確保を図ることが肝要であることから、これら諸課題の検討に当たっても、このような観点を踏まえる必要がある。

人事院は、平成16年8月の給与勧告時の報告において、能力・実績に基づく人事管理の推進及び再就職規制の見直しについての人事院としての考えを表明するとともに、キャリアシステムの見直し、セクショナリズムの是正、民間人材活用及び人事交流の促進などの検討すべき課題についてもその考えを表明した。今後とも、公務員人事管理の中立公正性の確保や労働基本権制約の代償機能の観点、さらには人事行政の専門機関としての立場から、実効性のある改革が国民や関係者の理解を得て実現されるよう、適切な役割を果たしてまいりたいと考えている。


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