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第1編 人事行政



〔人事行政の動き〕

1 人事行政をめぐる状況

平成17年度の我が国経済は、バブル崩壊後の負の遺産から脱却し、民需主導の経済成長が実現しつつあり、景気は、年央には、それまで見られた弱い動きを脱し、緩やかな回復を続け、平成18年2月には政府も「景気は回復している」との基調判断を示すに至っている。

このような中、政府においては構造改革に向けて「小さくて効率的な政府」への取組を引き続き進めており、平成17年度においても、規制改革・民間開放や郵政民営化の推進がなされたほか、平成17年末には「行政改革の重要方針」が閣議決定され、政策金融改革や政府資産・債務改革のほか、国の行政機関の定員を5年間で5%以上純減するなどの公務員の総人件費改革の実行計画が定められた。このような改革を実行するため、政府は、「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案」(市場化テスト法案)や「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案」(行革推進法案)を第164回国会に提出した。

一方、社会の少子高齢化やグローバル化、女性の社会進出が進む中で、民間企業においては、職業生活と家庭生活の両立や高齢者雇用の促進などが重要な課題となるとともに、人事・賃金制度の改革が進められており、全体として成果重視の人事管理体系が浸透しつつある。

公務員の人事管理についても、各界から、官民のイコール・フッティング、縦割り行政の弊害の排除、政官関係、人材流動化などの観点から、幹部要員の確保の在り方、公務員の身分保障、労働基本権制約の在り方、官民人事交流の促進などについて、様々な指摘や提言がなされている。

2 公務員人事管理の改革

公務員人事管理は、国民からの批判や意見を受け止めつつ、時代の要請に的確に対応した改革を進めることが、引き続き重要な課題である。人事院は、社会経済情勢を踏まえながら、人事行政の公正性の確保及び労働基本権の制約の代償という役割を担う中立・第三者機関・専門機関として、国会や内閣に対する勧告や意見の申出等を通じた適時の制度改正や改革の方向性等についての意見の表明などにより、その役割を果たしてきた。

このような基本姿勢の下、人事院は、平成17年8月の給与勧告時の報告において、複雑・高度化する行政ニーズにこたえるため、公務員は、国民本位の効率的な行政を支える専門集団となる必要があるとの基本認識を示すとともに、幹部要員の採用、選抜、育成の在り方、人事交流の推進・民間人材の活用、分限制度の適切な運用、再就職規制制度の適正な運用の確保などの公務員人事管理における諸課題と改革の具体的方向について表明した。

人事院が、平成17年度において実施した人事管理の改革に係る主な施策は、次のとおりである。

1) 給与については、平成17年の改定として、官民給与の逆較差(0.36%)を解消するべく、2年振りに月例給の引下げを勧告するとともに、約50年振りの改革として給与構造の抜本的な改革(俸給水準の平均4.8%引下げ、地域手当の新設、勤務実績に基づく昇給制度の導入など)を勧告し、勧告どおり給与法の改正が行われ、実施に移された。

2) 能力・実績に基づく人事管理の土台として、客観的で公正性や透明性が高く、実効性のある人事評価制度を整備していくことが肝要であり、基本的な考え方と留意点について給与勧告時に表明するとともに、新たな人事評価の第1次試行に向けた検討を総務省と共同で進め、平成18年1月から本府省の課長級及び課長補佐級の一部を対象に試行が開始された。

3) 留学費用償還制度の新設に関する意見の申出や官民人事交流法の一部改正について意見の申出を行い、政府において、それぞれ意見の申出のとおり、法案化がなされ、通常国会に提出された。


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