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第1編 《人事行政》

【第1部】 人事行政この1年の主な動き

Ⅱ 人材の確保・育成

2 幹部要員の確保、育成の在り方


(1) 検討の背景

行政課題の複雑化・高度化に伴い、こうした課題に的確に対応し得る公務員を計画的に育成する必要性はますます高まっている。とりわけ幹部要員については、有為の人材を確保し、適切に育成することが、今後の行政を支えるために極めて重要である。

現在のいわゆるキャリア・システムについては、「採用時の一回限りの選抜で、生涯にわたる昇進コースまでがすべて決定されるのは不合理」などの批判がなされてきており、人事院としても、従来より、Ⅰ種試験採用職員の選抜の強化及びⅡ種・Ⅲ種試験等採用職員の幹部職員への登用の促進による人事運用の見直しの必要性を指摘してきた。

また、国家公務員制度改革基本法において、幹部候補育成課程の新設などが規定されている。

(2) 「公務研修・人材育成に関する研究会」の開催

このような状況も踏まえ、人事院では、平成20年6月より、各分野の有識者からなる「公務研修・人材育成に関する研究会」(座長:西尾隆国際基督教大学教養学部教授)を開催し、幹部要員をはじめとする職業公務員がその役割を適切に果たす上で必要となる能力・資質をいかに涵養するかについて、広く議論を求めることとした。

この研究会においては、①公務における人材育成をめぐる課題、②職業公務員に求められる能力・資質、③今後の人材育成の方向と人事院の果たすべき役割、④研修の見直しに向けた具体的施策などについて、計8回にわたる議論が行われ、平成21年2月24日、報告書が提出された。

「公務研修・人材育成に関する研究会」報告書の概要
1 公務における人材育成をめぐる課題 2 職業公務員に求められる能力・資質 3 今後の人材育成の方向 4 研修の見直しに向けた具体的施策 〔研修体系の再設計〕 〔研修の充実と必須化〕

人事院としては、今後、これらの提言及び各府省における人材育成の実態等も踏まえながら、公務員として共通に持つべき全体の奉仕者としての意識や能力を涵養する研修の充実に向け、研修体系の見直しや研修内容の強化を行っていくこととしている。

なお、平成20年度においては、このような見直しの方向を先取りする形で、「3年目フォローアップ研修」を初めて実施した。同研修は、将来、本府省において政策の企画・調整の衝に当たると期待される採用後3年目の職員を対象として、自らの使命や役割を再確認し、全体の奉仕者としての在り方や今後の課題を認識させることを目的とする短期間の研修であり、467人の参加が得られた。

(3) Ⅱ種・Ⅲ種等試験採用職員の育成

意欲と能力のあるⅡ種・Ⅲ種等試験採用職員の幹部職員への登用を着実に推進するための施策の一環として、人事院においては、これら計画的育成者の登用の推進に資することを目的として、係員級、係長級及び課長補佐級職員を対象とする行政研修(特別課程)を平成11年度から順次開始している。

また、登用施策の一環として、これまで海外勤務や海外研修の機会の少なかったⅡ種・Ⅲ種等採用職員に対して、国際化する行政に対応し得る広い視野や素養を涵養するため、平成12年度より、行政官短期在外研究員制度の中に特別枠を設定して、行政研修(係長級特別課程)の研修員から選抜された者を派遣しており、平成20年度は3人が米国における1年間の研修を受講した。さらに、平成20年度は、Ⅱ種・Ⅲ種試験等採用職員の研修機会の拡充のため、係長級特別課程修了者から選抜した者に対し、語学力を問わず、外国政府等における短期間の調査研究の機会を付与し、自らの職責を国際的文脈の中で考えさせるための「海外調査研修」を試行的に開始し、5人が米国での実地調査及び調査課題に係る事前事後の国内研修を受講した。

人事院としては、これらの施策の充実を通じ、Ⅱ種・Ⅲ種等試験採用職員の計画的な育成に引き続き努めていくこととしている。


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