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第1編 《人事行政》

【第1部】 人事行政この1年の主な動き

Ⅴ 仕事と生活の調和に向けた施策の推進


近年、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の重要性が指摘されている。平成19年12月に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」等が政府において決定されており、その実現に向けた取組を官民が一体となって効果的に展開することが求められていることから、国家公務員の勤務環境についても、仕事と生活の調和という観点からその在り方について考えることが重要である。

(1) 超過勤務の縮減

超過勤務の縮減は、職員の健康維持、仕事と生活の調和、若手職員の士気の確保、人材の確保等の観点から、喫緊に取り組む必要のある重要課題である。

この点については、本府省において、正規の勤務時間終了後、職員が超過勤務命令を受けずに相当時間にわたって在庁している実態が見受けられることから、政府全体として計画的に在庁時間削減に取り組むこととし、府省ごとに在庁時間の削減目標を設定して、早期退庁の励行、業務処理体制の見直し、職員の意識改革などの具体的な取組を進めているところである。

また、各府省が単独で業務の改善・合理化を図ることが困難である他律的な業務に係る超過勤務の縮減のうち、法令等府省間協議、予算関係等の業務については、引き続き行政部内の取組による合理化の徹底を図ることが重要であるが、国会関係業務など行政部内を超えた取組が必要なものについては、関係各方面の理解と協力を得て、改善が進むことを期待している。

超過勤務手当については、公務員人件費を取り巻く厳しい状況を踏まえつつ、各府省内での配分の在り方も含め、必要に応じた予算が確保される必要がある。

人事院は、各府省における在庁時間削減の取組の徹底を図ることに加え、平成21年2月には「超過勤務の縮減に関する指針」を改定し、従来の「1年につき360時間」という超過勤務の上限の目安時間によらないことができるとされていた他律的な業務の比重が高い部署についても、その職員の心身の健康の維持等のため、「1年につき720時間」を超過勤務の上限の目安時間として設定した。

(2) 両立支援の推進

我が国の急速な少子化に対応するためには、公務員についても、職業生活と家庭生活を両立させることができるような勤務環境を早急に整備することが重要になってきている。

人事院は、従来から両立支援策の充実等を図ってきており、平成20年給与勧告時の報告において、育児や介護に責任を有する職員について両立支援の取組を推進していくことが重要であることから、職員のニーズに合わせて、育児休業、育児短時間勤務制度や介護休暇制度が活用されるよう、制度の周知や利用モデルの提示を行うとともに、男性職員に対する周知等に努める旨報告した。この報告を踏まえて、平成21年3月に「育児を行う職員の仕事と育児の両立支援制度の活用に関する指針」を改正するとともに、男性職員に対して両立支援制度の周知徹底を図るためのリーフレットを作成し各府省に提供した。また、各府省人事担当者を対象に「仕事と育児・介護の両立支援に関する連絡協議会」を開催し、両立支援の取組の推進を働きかけた。

(3) 国家公務員のテレワークに資する勤務時間の在り方に関する研究会

国家公務員のテレワークについては、平成16年7月に人事院及び総務省が、現行人事制度等の下において国家公務員のテレワークを導入する際の考え方等を示した「現行制度下でのテレワーク実施に関する考え方(指針)」を発出しており、政府においても、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の確保に資するとともに、多様な就業の機会を創出するものとして、その普及を推進している。

人事院では、平成19年4月から「国家公務員のテレワークに資する勤務時間の在り方に関する研究会」(座長:今野浩一郎学習院大学教授)を開催し、公務における在宅勤務導入に当たっての課題等について検討を行い、同研究会において、在宅勤務導入の視点等の基本認識、在宅勤務導入の進め方、在宅勤務実施上の主な課題である職員の意識改革や勤務時間管理等についての意見を整理し、平成20年7月に報告書が取りまとめられた。

(4) 心の健康づくり対策の推進

職員の心の健康づくり対策は、公務においても重要な課題であり、「職員の心の健康づくりのための指針」(平成16年勤務条件局長通知)を発出するなどしてその対策に取り組んでおり、この指針に基づく施策の具体化を図るため専門家会議でとりまとめられた報告書を基に、平成20年度は、各府省の健康管理者等への研修を引き続き積極的に進めるとともに、平成18年度から設置を開始した「こころの健康にかかる職場復帰相談室」を、本院及び全地方事務局(所)の計10か所において設置し、相談を開始するなどの拡充を図った。


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