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第1編 《人事行政》

【第2部】 人事院の創立、変遷と国家公務員人事管理における現代的課題

第2節 国家公務員人事管理制度についての基本認識

2 人事管理制度を構築する上での留意点


(1) 政と官の役割分担等の明確化

社会経済の急激な変動や限られた資源の下での政策の選択など、機動的かつ大胆な決断を要する課題が増加する中、政治主導、内閣主導が強く要請されている。一方、職業公務員については、人事行政の中立・公正性の要請もある。政治主導の下で政と官がそれぞれの役割をどのように協働し、分担していくのかなど、新たな時代における政と官の役割分担と公務員の行動原理や理念を明確にしていくことが必要である。

また、近年、現業部門の民営化、規制改革などにより、公務の分担する分野が縮小し、その結果、公務は、利益追求になじまない公共性が高い分野、許認可や基準設定等の権力性が強い分野など、公務の特性の強い業務に集約されつつある。また、国民生活の安全・安心の確保など、複雑・高度化する社会において公務が総合的な政策の提示を行う機能の重要性はより高まっている。そこで、公務の民間との役割分担を明らかにしていく必要があるが、その公務の役割とされた分野においては、私的な利益の追求を前提としないなどの公務の特殊性を十分に勘案する必要がある。

このように、政と官の役割分担、公務と民間の役割分担などについての基本を明確にした上で、公務を担う人材の確保、計画的育成、処遇、退職管理などの人事管理制度を総合的視点から再構築する必要がある。

(2) 公務員の意識改革と人事管理制度の運用

年金の不正処理問題など行政の不作為を含め行政の失敗に対する責任を問う声は高まり、防衛省汚職事件や官製談合をめぐる現職局長の逮捕等幹部公務員の相次ぐ不祥事などにより、国民の信頼感は大きく損なわれた。公務及び公務員に対する国民の信頼を回復することは急務であり、国民の期待にこたえられていない現状をすべての公務員が厳しく認識する必要がある。特に幹部公務員は問題となった事案の背景に危機意識の欠如、規律のゆるみが存在することを認識し、自らの職務にかかる責任を自覚しつつ、その役割を果たしていくことが肝要である。また、採用から退職管理までの人事管理システムの全体を改めて点検し、長年の慣行となっており問題のある運用を見直していく必要がある。

(3) 行政需要の変化と公務員の資質の向上

社会のグローバル化、情報化の進展が加速し、行政課題が高度化・多様化する中で、行政や公務員についてもより高い対応能力と国際競争力が求められている。複雑な利害の錯綜する現代社会においては、各行政分野において大局観を持った変革の推進や総合調整機能の発揮が期待されており、こうした能力のある人材を確保し、養成することが求められている。

また、職務・職責を基本とした能力・実績主義の人事管理を進めるために、働くことへの適切なインセンティブを付与するとともに、適材適所の配置により個々人の能力・資質を最大限に引き出すことが必要であり、今後、業務管理にとどまらず人事マネジメントの能力を備えた人材を育成していくことも重要となる。


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