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第1編 《人事行政》

【第2部】 人事院の創立、変遷と国家公務員人事管理における現代的課題

第3節 国家公務員人事管理における現代的課題

3 高齢期の雇用問題と組織の活力維持


(1) 定年まで働ける環境の整備

幹部公務員等は一定の年齢になると、組織の新陳代謝のため、勧奨を受けて退職し、各府省のあっせんによって再就職するという慣行がこれまで各府省で見られたが、平成19年に国家公務員法が改正され、一定の経過措置を講じた上で各府省の民間企業等への再就職のあっせんが禁止された。これを契機として、早急に早期退職慣行を是正し、公務員として公務に精励したいという者については、定年まで公務員として働ける仕組みを確立していくことが必要である。そのためには、採用年次にとらわれない能力・実績に応じた競争的な選抜の上での処遇、適材適所の人事配置、より高位の専門性を有するスタッフ職等、複線型のルートの創設などの課題について検討を進める必要がある。

さらに、例えば、公務員の身分を有したまま、一定の条件の下に民間企業や私立大学、公益法人等で働けるようにするなど、公務員を人的資源として活用し、定年まで働ける途を広げることも検討していく必要がある。

こうした定年まで働ける環境の整備については、具体的な人事運用の場面における取組が重要であり、各府省において、現下の状況を認識し、職員の意識改革を行いつつ昇進管理や職務配分の抜本的な見直しに取り組んでいく必要がある。

(2) 定年年齢と年金支給開始年齢のギャップへの対応

公的年金の支給開始年齢の引上げに伴って満額年金受給までの空白期間が発生することを受け、民間企業においては、既に、定年制の廃止、定年年齢の65歳以上への段階的引上げ又は再雇用制度等のいずれかの導入が法律によって義務付けられている。公務においても、職員が高齢期の生活に不安を覚えることなく、職務に専念できる環境を整備する必要がある。

人事院では、「公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会」(座長 清家篤慶應義塾大学教授)を平成19年9月から開催し、幅広く検討を進めてきたところであるが、昨年7月の「中間取りまとめ」では、少子高齢化が今後ますます進展する中で、60歳台前半層の雇用を公務内において再任用官職だけで対応することが困難であることなどを踏まえた上で、職員の士気の維持、60歳台前半層の勤務の弾力化・複線化、外部との人事交流の促進、給与総額の増大の回避などにも留意しつつ、最終的目標を65歳までの定年延長とする旨の方向性が示されている。

また、国家公務員の退職管理をめぐっては、平成19年、国家公務員法の改正により官民人材交流センター等の新たな枠組みが導入され、さらに、国家公務員制度改革基本法において、政府は定年を段階的に65歳に引き上げることについて検討することとされたところである。

このような状況の中、人事院としては、現在60歳の定年年齢を平成25年度から段階的に65歳まで延長することを中心に、再任用との組合せ、役職定年制の併用、組織・定員の在り方など組織活力の維持のための工夫や、給与総額増大の回避の方策、新規採用抑制問題、退職手当や年金の在り方などについて検討を進めるとともに、関係各府省との検討を進めていくこととしている。

(3) 公務員の働き方の見直し−仕事と生活の調和

これまで各府省においては、業務運営に重点が置かれ、人事管理については必ずしも十分な取組がなされてきたとは言い難い。公務員一人一人が、職業人としてその能力を十分に発揮し、健康で生き生きと意欲的に職務に取り組むことのできる条件を整備することは、職員の福祉を増進し、公務能率を向上させることになり、ひいては、人材の確保に資することになる。また、男女を問わず、家庭や地域における生活も重視する個人としてその責任を果たすため、さらに、女性公務員の採用・登用の拡大を推進するためにも、仕事と生活を調和させることの重要性が高まってきている。

職員が意欲的に職務に精励できる環境を整備するために、今後は、次のような施策に積極的に取り組むことが必要である。


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