前(節)へ 次(節)へ

第1編 《人事行政》

【第1部】 人事行政この1年の主な動きと今後の課題

第1節 人材の確保・育成

2 時代の要請に応じた公務員の育成


社会経済情勢や政治情勢が大きく変わる中、時代の要請に応じ得る質の高い行政を安定的に提供するためには、有為の人材を確保するとともに、それらの者に対し初任の段階から計画的に行政官に求められる能力・資質を伸ばしていくことが不可欠である。

このため、人事院は、平成20年度に各分野の有識者からなる「公務研修・人材育成に関する研究会」(座長:西尾隆国際基督教大学教授)を開催してあるべき公務員の育成に向けた検討を求め、平成21年2月に報告書の提出を受けた。また、同年3月に開催した人事管理官会議総会においては、公務研修・人材育成をテーマに取り上げ、各府省共通に必要な研修科目や、業務多忙な職員も参加しやすい方策等について、各府省人事担当課長との意見交換を行った。

人事院では、上記の提言や各府省意見も踏まえ、国民全体の奉仕者であること、時々の政権の下で政権を支えることという公務員固有の役割を適切に果たすことができるよう、使命感や広い視野・識見などを長期的視点に立って涵養することが不可欠であるという認識に立ち、採用から各役職段階で必要な研修の体系化と研修内容の充実に向けて、順次、具体化を進めている。

平成21年度においては、採用時の初任行政研修を受講した職員全員を対象とする「3年目フォローアップ研修」について、期間を1日延長して、自らの使命や今後の課題等を改めて認識させるため研修内容の充実を図り、職員の成長のフォローを行った。

また、実務経験を持った民間企業からの採用者が増加していることから、これらの者を対象とする研修についても、実施回数を倍増し、民間とは異なる服務規律の理解の徹底などを図った。

さらに、政策の企画立案に携わる幹部職員に係る意識改革の一環として、本府省審議官級に新たに昇任した職員全員を対象に、内閣府と共催で、直接消費者・生活者の意見や相談を受ける消費生活センターなどの窓口での業務を体験する「昇任時相談窓口等体験研修」を初めて実施し、国民全体の奉仕者としての役割の再確認を図った。

次に、研修内容に関しては、歴史的意義の大きい過去の行政事例を題材に、反省すべき視点・批判的視点も含め多角的に検証する科目(行政政策史)について、これまでの成田空港建設や消費税導入、長良川河口堰建設などに加え、国鉄分割民営化、BSE問題など、新たな事例を開発するなどの充実を図った。

平成22年度に向けた検討としては、行政研修のうち課長補佐級について、可能な限り多くの職員に受講機会を付与できるよう、研修対象者や研修内容について見直しを進めているほか、地方出先機関も含め、すべての新規採用職員に、国民全体の奉仕者たる使命感や人権、倫理、人事評価等に関する科目が確実に提供されるよう、各府省と調整を行っている。また、各研修における科目についても、議院内閣制の下における行政官の在方に関する講義、納税者・生活者等の実態に触れる現場体験、深い思索力の涵養のための読書研究などにつき、更なる充実を図ることとしている。


前(節)へ 次(節)へ
©National Personnel Authority