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第1編 《人事行政》

【第2部】 公務員の労使関係−給与決定過程を中心として−

U 主要諸外国における公務員の労使関係

1 考察の視点

(1) ILO条約及びILOの見解


(ILO第98号条約)

ILO第98号条約(団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約)は、労働者の団結権及び団体交渉権の保障について定めたものである。この条約について、イギリス(1950年)、ドイツ(1956年)、フランス(1951年)及び我が国(1953年)は批准しているが(括弧内は批准年)、アメリカは未批准である。ILO第98号条約には具体的には次のような規定が設けられている。

この条約は、労働者の団結権を保障するとともに(団結権についてはILO第87号条約でも保障しており、ILO第98号条約はそれを確認したもの)、労使の自主的交渉のための手続の発達及び利用を奨励し、促進するため、必要に応じ国内事情に適する措置を採ることを唱えているが、その際、第6条で「公務員」には適用されないこととしている。なお、この適用されない「公務員」について、日本政府は非現業の公務員(注)が該当すると解しているが、我が国の労働組合側は、政府はその範囲を広くとらえていると主張している。

(我が国の公務員制度に関するILOの見解)

@ 団体交渉権が制約される公務員

A 団体交渉権制約の代償措置

B 争議権が制約される公務員

要するに、ILO結社の自由委員会は、軍隊及び警察と直接国の行政に従事する公務員(すなわち、政府の省庁及びその他のこれに相当する機関に雇用される公務員)についてはILO第98号条約の適用除外を認め、団体交渉権や争議権の制限に対しては代償措置を採るべきであるとしている。また、団体交渉権付与について、国の行政に従事する公務員等と政府、公営企業又は独立行政法人に雇用される者との間で区別が付けられるべきであるとしている。なお、ILOは、これらの点について上記報告以外においても同様の見解を示している。


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