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第1編 《人事行政》

【第2部】 公務員の労使関係−給与決定過程を中心として−

U 主要諸外国における公務員の労使関係

3 ドイツ

(1) 概況


ドイツの公務員(国家公務員・地方公務員)は、公法上の勤務義務、忠誠義務を負い、主として公権力の行使に当たる職務を遂行する官吏(Beamte)と、労働契約に基づく私法上の雇用関係にある公務被用者(Tarifbeschaftigte)によって構成されている。

公務員の人数は、連邦で約28万人(軍人を除く。)、州で約193万人、市町村で約128万人であり、そのうち官吏の人数は、連邦で約13万人(このほかに官吏である軍人が約18万人)、州で約124万人、市町村で約18万人である(いずれも2008年6月現在)。主に官吏が担当する行政分野は、連邦及び州の本省庁のほか、税務、登記、相続業務、刑の執行、警察、教員・大学教授、税関、市町村の建築許可・河川事務等である。

一方、主に公務被用者が担当する行政分野は、社会保険、職業仲介、病院、保育所、介護施設、ゴミ処理、近距離交通、市町村の事務の主要部分等である。官吏の高級職に相当する公務被用者も存在するが、官吏の高級職に比べその比率は小さい。

官吏には、憲法に相当するドイツ基本法上「伝統的な職業官吏制度の諸原則」が認められており、国家に対し忠実義務を負う。一方、国は官吏に対し扶養義務を負うとされており、具体的な官吏の給与、勤務時間等の勤務条件は、法令によって定められている。官吏については、団結権が認められ、意見表明も認められているが、その勤務条件は国の責務として一方的に定めるべきものとの考え方から団体交渉権は認められておらず、争議権も否認されている。

他方、公務被用者については、民間の勤労者と同様の労働法制によっており、その勤務条件は団体交渉を経て締結される労働協約によって定められている。

なお、ドイツにおいては、労働組合とは別に、官署ごとに官吏及び公務被用者を含めた職員を代表する職員協議会(Personalrat)が設置されており、各官署における勤務条件や人事管理の問題について、職員協議会の関与が認められている。


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