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第1編 《人事行政》

【第2部】 公務員の労使関係−給与決定過程を中心として−

U 主要諸外国における公務員の労使関係

4 フランス

(1) 概況


フランスの公務は、国家公務員(約175万人)、地方公務員(約133万人)及び医療職員(約79万人)の3つの分野から構成される(人数はいずれも2007年12月現在(注))。そのうち、国家公務員には、軍人を除き、団結権、協約締結権を除く団体交渉権、争議権が認められている。ただし、警察官、矯正職員や司法官は争議権が認められていない。

団結権については、官公吏一般規程(法律)において「官吏は、団結権を保障される。官吏は自由に組合組織を結成し、これに加入し、その活動に従事することができる」とされている。

団体交渉権については、同規程において「官公吏の組合は、給与改定の決定に先立ち、全国レベルで交渉を行うとともに、労働の条件及び組織に関する問題について各レベルで討議する資格を有する」とされており、この規定により労使交渉は認められている。ただし、「給与改定の決定に先立ち」としているのは、あくまで法令による給与決定を前提としているためであり、そのような仕組みの下で協約締結権は認められていない。協約締結権を認めていない理由としては、フランスでは、公務員制度は法令で定めるべきとの認識が広く共有されており、公務員制度を民間と全く同様の労使交渉に委ねることは適当でないとする考え方が背景にあるとされている。なお、労使交渉の結果、労使で合意に達した際に議定書が結ばれることはある。

争議権については、同規程において「官吏は、法律が規制する範囲内で、争議権を行使することができる」とされている。協約締結権が認められていないにもかかわらず、争議権が認められるというのは諸外国と比べても独特の仕組みであるが、フランスの場合、民間においても、まず争議権が与えられ、次いで団結権、団体交渉権が認められたという歴史的な沿革があり、争議権が特に重要視されていることがその背景として挙げられる。フランス革命を経験した国柄として抵抗権を重視する社会的伝統が残っているともいわれている。

また、フランスでは、労使交渉のほかに、職場協議会の仕組みが設けられている。協議会には、最高官吏制度協議会、人事管理協議会、行政管理協議会、衛生安全協議会があり、いずれの協議会も労使双方で構成され、諮問的役割を有している。(注)

なお、国立行政学院(Ecole Nationaled' Administration:ENA)出身者やそれに相当するような者の労働組合への加入率は低い傾向にある。


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