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第1編 《人事行政》

【第2部】 公務員の労使関係−給与決定過程を中心として−

U 主要諸外国における公務員の労使関係

5 アメリカ

(1) 概況


合衆国憲法は、人民が平穏に集会する権利を侵す法律を制定してはならないと規定し、これにより集会の自由が保障されている。その延長として、連邦公務員(軍人を除く。2009年3月現在約275万人)は、一部の職員(外交官、連邦捜査局職員等)を除き、団結権が認められている。協約締結権を含む団体交渉権については、連邦法規により定められる事項(給与、勤務時間等)が交渉、協約の対象から除外されている。連邦法規に規定されていない事項(業績評価の方法や手続等)については、協約締結が認められている。なお、アメリカにおいては、一定の交渉単位において多数労働者の支持を得た労働組合が排他的な団体交渉権を獲得し、その他の労働組合の団体交渉権は全面的に否定されることとなっている(排他的交渉代表制)。

すべての連邦公務員について、争議行為は禁止されている。争議行為への参加は、懲戒処分の対象になるほか、単純参加を含めて刑事罰(罰金又は1年以下の拘禁)の対象にもなっている。

なお、州や市の公務員については、労働組合が存在しないところからストライキを容認するところまで様々となっている。団体交渉を認めている州の例として、カリフォルニア州では、管理・監督者や秘密を要する職の職員以外の職員について、職種等別の交渉単位ごとに、労使双方が提案を公表して一般からの意見を聞く機会が設けられた後、労使の交渉当事者が参加して団体交渉を行う。合意した内容は、組合員の同意、州議会の議決、州知事の署名を経て施行される。また、条件付きで争議権を認める州の例として、ペンシルバニア州では、警察・消防等の職員や管理職の職員を除き、協約の有効期限が切れて交渉が不調の場合、「公衆の健康・安全・福祉に対する明白かつ現在の危険を生まない限り」ストライキが認められる。


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