前(節)へ 次(節)へ

第1編 《人事行政》

【第2部】 公務員の労使関係−給与決定過程を中心として−

参考 人事院勧告のプロセス


(1) 制度の概要

憲法第73条第4号は「法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること」を内閣の事務としており、これを受けた国公法において、国家公務員給与は法律に基づき定められることとされ(給与法定主義)、社会一般の情勢に適応するよう国会により随時変更でき、その変更に関して人事院は勧告を怠ってはならないとされている。このため、人事院は、俸給表が適当であるかどうかについて、毎年少なくとも1回、国会及び内閣に同時に報告しなければならないとされており、その際、給与を決定する諸条件の変化に応じて適当な勧告をする義務を負っている(情勢適応の原則)。給与法においても、職員の給与額を研究して適当と認める改定等を国会及び内閣に同時に勧告することが定められている。

人事院の給与勧告は、国家公務員が民間企業の勤労者とは異なり、労働基本権が制約されていることの代償措置として、国家公務員に対し、社会一般の情勢に適応した給与を確保する機能を有するものであり、従前より、国家公務員の給与水準の適正化についてのみならず、給与制度の見直しについても勧告を行っている。

国家公務員給与については、納税者である国民の理解を得る必要があることから、人事院が労使当事者以外の第三者の立場に立ち、労使双方の意見を十分に聴きながら、民間給与との精確な比較により、国家公務員と民間企業従業員の給与水準を均衡させること(民間準拠)を基本に勧告を行っている。勧告が実施され、適正な処遇を確保することは、人材の確保や労使関係の安定に資するものであり、能率的な行政運営を維持する上での基盤となっている。

民間準拠を基本に勧告を行う理由は、国家公務員も勤労者であり、勤務の対価として適正な給与を支給することが必要とされる中で、その給与は、民間企業と異なり、市場原理による決定が困難であることから、その時々の経済・雇用情勢等を反映して労使交渉等によって決定される民間の給与に準拠して定めることが最も合理的であり、職員の理解と納得とともに広く国民の理解を得られる方法であると考えられることによる。

なお、人事院勧告の取扱いについては、政府において、労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告の尊重を基本姿勢としながら、財政事情も含めた国政全般の観点からの検討が行われることとなる。


前(節)へ 次(節)へ
©National Personnel Authority