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第2編 《国家公務員倫理審査会の業務》

【第1部】 特集 倫理法・倫理規程の10年と今後の展望

第1節 倫理法・倫理規程の10年

2 社会情勢の動き


  倫理法施行から10年が経過することとなったが、この間、社会情勢の変化や国民の価値観の変化が急速に進み、これに伴い行政や企業に対する社会の視線が格段に厳しくなってきている。
  行政の分野においては、倫理法施行後1 年が経過した平成13年4月1日には行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)が本格施行され、国民の眼による行政監視の体制が整備されて、行政が自らの行為について適確に説明責任を果たすことが強く求められるようになった。
  また、平成18年以降、国家公務員制度改革が政府の重要課題となり、平成20年6月には、行政の運営を担う国家公務員に関する制度を社会経済情勢の変化に対応したものとすることが喫緊の課題であるとして、国民全体の奉仕者である国家公務員について、一人ひとりの職員が、その能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行することとするとの問題意識の下、国家公務員制度改革基本法(平成20年法律第68号)が成立し、国民の理解が得られるような公務員制度を確立すべく、能力・実績主義の徹底、人事評価制度の確立などの施策が次々と講じられてきている。
  この間、前述したような倫理法等違反事案に加えて、BSE(牛海綿状脳症)問題への対応、不適正な年金管理、汚染米問題への対応など、行政の失敗と評価されるような問題も生じており、公務に対する国民の眼は益々厳しくなるという状況も見られた。
  民間においては、この10年間で、リコール隠し、耐震偽装、食品偽装などが相次いで社会的問題となり、企業の組織的な法令違反や隠蔽体質などが国民の厳しい批判を浴びることとなった。近年では、企業倫理、コンプライアンス、アカウンタビリティ、CSR(企業の社会的責任)などが社会的な注目を集めるようになり、企業自身も積極的にこれらの課題に対する取組を始めている。
  公務員の倫理保持や腐敗防止に関する国際的な状況を見ても、平成15年10月に国連腐敗防止条約が採択されるなど、その取組が強化されてきている。この条約は、国際的な現象となっている腐敗に対処するため、腐敗行為を効果的に防止し、国際協力を推進することを目的としており、我が国を含むG8諸国など140か国が署名し、既に、現時点で、イギリス、フランス、オーストラリア、中国など136カ国が条約の締結に至っている。我が国においては、平成18年6月に条約締結のための国会承認が行われ、現在、国内法の整備など条約締結に向けての必要な準備が進められているところである。
  倫理法施行後10年が経過したが、今や官民を問わず、職業倫理の重要性に関する認識がより一層深まってきているという状況にあると考えられる。
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