前(節)へ 次(節)へ

第2編 《国家公務員倫理審査会の業務》

【第1部】 特集 倫理法・倫理規程の10年と今後の展望

第2節 今後の展望

1 職員の倫理意識の涵養


  職務に係る倫理の保持を徹底するためには、個々の職員の倫理意識を高めていくことが肝要であり、そのために研修・啓発活動が果たすべき役割は極めて大きい。
  前述した平成21年4月に実施した職員アンケート調査の結果でも、「倫理審査会の主な活動のうち、国家公務員の倫理保持の現状を踏まえると、現在取組が不足している、あるいは更なる取組が求められると思うものはありますか。取組が必要だと思う順に3つ以内でお選びください。」との問に対して、「国家公務員に対する倫理法・倫理規程の研修」を選んだ者の数は、第1位から第3位までに挙げた者の合計及び第1位に挙げた者のいずれについても最も多く、倫理研修に対する職員のニーズは極めて高いといえる(図4)。
[図4] 倫理審査会の主な活動のうち、国家公務員の倫理保持の現状を踏まえると、現在、取組が不足している、あるいは更なる取組が求められると思うものはありますか。取組が必要だと思う順に3 つ以内でお選びください。
    平成21年度に各府省を対象として実施した調査の結果によると、平成20年度において各府省が実施した倫理研修(倫理関連の科目を他の科目と共に研修のカリキュラムの中に組み込んで実施したものを含む。)のコース数は2,626コース、受講者数は92,872人となっている。各府省に在勤する一般職の国家公務員の数が約30万人であることからすると、単純計算で、毎年、職員の約3人に1人が何らかの倫理研修を受講していることになる。
  これまでも、倫理審査会は、倫理法・倫理規程の定着を目指し、職員への倫理法・倫理規程の周知徹底に重点を置いて、研修・啓発活動に力を注いできた。各府省における倫理研修の効果的な実施を支援するために、様々な研修教材の開発も行ってきた。その結果、倫理法・倫理規程は、国家公務員が遵守すべき倫理保持のためのルールとしては、概ね定着してきたと考えている。しかし、倫理法が施行されて10年が経過したにもかかわらず、違反件数の推移をみると、平成21年度には減少に転じたものの、それまでの数年間は毎年非常に多くの職員が処分を受けたという状況に鑑みると、職員が、倫理法・倫理規程を知識として理解していても、実際の行動に結びついていない、すなわち行動規準として十分に浸透したとは言い難いと認識せざるを得ない。
  そのため、倫理審査会としては、これまでどおり職員への倫理法・倫理規程の周知徹底に努めることはもとより、職員が日頃の業務遂行に当たり倫理規程に定める倫理行動規準に従って行動することができるよう、単に知識の付与に留まらない、職員の倫理意識を向上させるための研修の在り方についても検討していく必要があると考えている。具体的には、これまであまり取り上げてこなかった広い意味での公務員倫理、例えば、職業倫理、公務員として求められる姿勢や心構えなどについても取り上げていくことや、組織の倫理感を高めていくため、職員の意識改革、組織風土の改革、管理監督者によるリーダーシップやマネジメントの重要性なども取り上げていく必要があると考える。さらに、研修手法についても、例えば、討議を重視し事例研究を導入するといった試みにも取り組むことが有効と考える。
  倫理審査会では、平成21年11月に、上記のような要素を取り入れた研修教材として「研修教材パッケージ「公務員倫理」」を開発し、各府省に配布したところである。倫理審査会としては、今後とも、人事院とも連携しつつ、各府省における倫理研修が効果的に実施されるよう積極的に支援していく所存である。
また、前述した平成21年4月に実施した職員アンケート調査の結果によると、倫理法・倫理規程に関する研修を一度も受講したことがないとする職員が17.3%もいたことから(図5)、各府省に対し、職員に定期的・計画的に倫理研修を受講させることを義務付けることについても検討していきたい。
[図5] 最後に倫理法・倫理規程に関する研修・説明会、講演会等に参加してからどのくらいの期間が経過していますか。

前(節)へ 次(節)へ
© National Personnel Authority