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第1編 《人事行政》

【第2部】 変革が迫られる国家公務員人事管理

はじめに


1980年代末の冷戦の終結やバブル経済崩壊以来、世界経済の急速なグローバル化、国内における少子高齢化、財政状況の悪化、格差の拡大など国民生活をめぐる内外の環境が厳しさを増し続けている。そのような中で、行政は、国民の期待に応える施策を打ち出すこと、社会の変革の大きさとスピードに十分な対応をすることが求められている。さらに、先般の東日本大震災による未曾有の大災害からの復興が喫緊の課題となっており、行政は、ここでもその役割を十全に果たすことが強く求められている。

行政の実施を担う立場にある国家公務員が、このような変化に対して国民の期待に十分応えているか、セクショナリズムや既得権に固執することなく使命感を持って変革に対応し、実行力や柔軟性を持って行動しているか、国民の厳しい目が注がれている。

変化への対応は、政府部内における「政」と「官」の協働関係の下で、的確に行われることが期待されている。しかしながら、一昨年の政権交代後、「政」と「官」との関係は流動化し、政府全体としての対応力について批判もなされている。

このような状況を踏まえれば、政府部内における「政」と「官」の役割分担と連携が的確に行われるようにしていかなければならない。議院内閣制の下で、内閣が政策を推進するに当たっては、一般職国家公務員は、行政の各分野の専門家として、政策の企画立案を的確に補佐し、政策の中立・公正な実施を担当することとなる。また、内閣は、必要に応じて、政治任用である特別職国家公務員を活用するとともに、一般職国家公務員の人事行政の公正の確保をいかに行うかという問題についても留意する必要がある。

 

このような動きを踏まえつつ、本稿では、国家公務員の人事管理をテーマに取り上げることとする。公務員人事管理をめぐっては、国家公務員制度改革基本法に基づき、現在、人事関係制度の抜本的な改革が検討されているが、多様な人材の確保、人事評価の活用による能力・実績主義の人事の推進、退職管理の見直し、公的年金の支給開始年齢の引上げに伴う高齢期の雇用問題など様々な課題が生じている。

このような課題に対応して、公務員人事管理を変革していかなければならない。公務員人事管理の変革に当たっては、制度の見直しにとどまらず、運用されている人事の実態面における喫緊の課題に取り組むことが特に重要である。

 

以下においては、一般職国家公務員の人事管理をめぐって指摘されている問題や課題について整理し、対応の方向性について提言することとする。

あわせて、検討の参考として、諸外国の幹部公務員人事に関する仕組みや運用の実態とともに、民間企業における幹部候補者の選抜・育成に関する事例を紹介する。


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