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第1編 《人事行政》

【第2部】 変革が迫られる国家公務員人事管理

第4章 人事の公正の確保

3 幹部職員人事の公正の確保


幹部職員は、行政組織の中で事務次官、局長等として部下職員を持ち、それらの人事へも影響力を発揮することとなることから、公務員人事全体の公正を確保するためには、幹部職員の人事の公正の確保が極めて重要である。

我が国においては、国家公務員制度改革基本法により、政治主導を強化する観点から、特別職国家公務員の国家戦略スタッフ等を内閣官房等に設置することとされており、大臣等に対する応答性を高めるためには、政治任用者の活用が考えられる。一方、事務次官や局長等は、政治任用ではなく、成績主義原則に基づく任用が求められる一般職国家公務員に属するものであることから、これらのポストへの任用についてはそのことを踏まえた議論が必要となる。

諸外国においても、行政のトップレベルにおける「政」と「官」の連携の在り方は重要な問題と考えられている。アメリカにおいては、局長等の幹部ポストを政治任用としており、イギリス、フランス、ドイツにおいては、原則として、一般の公務員が幹部ポストに就いている。また、イギリスでは、政治的な連携は政治任用である特別顧問に委ねているのに対し、フランス、ドイツは、そうした特別顧問の仕組みを設けておらず、大臣の判断により、公務員の身分は保持したまま、局長等のポストから更迭することが可能となっている。

 

我が国においては、一般職国家公務員である幹部職員は、行政の執行過程において法律や予算の執行を公正に行うことを担うとともに、所管する行政分野において、大臣等に対して、適時適切に専門家として行政上の課題を提起し、政策の企画立案についての助言・進言をするなどの役割を担っている。

この場合、幹部ポストには、能力・適性を踏まえて最も適任である者が就き、その異動には身分保障の規定が適用されることとなる。また、公務員は、いかなる内閣の下においても専門性を持って誠実に職務を遂行するとともに、一部の利益ではなく、国民全体の奉仕者として、その職務を遂行することが求められている。

成績主義原則に基づき、能力本位で公務員の人事を行うことは、複雑・高度化する行政課題に的確に対応し、政策の企画立案において行政の専門家としての機能を発揮するという観点からも重要である。

なお、この点については、イギリスをはじめとした多くの国においても、成績主義原則に基づき、職員の任用における公正を確保するための仕組みや手続を設けており、これにより大臣等による公務員人事への政治的な関与を排除している。具体的には、採用に当たって、採用を行う省庁とは別の組織である人事委員会等による承認や審査を課すこととしたり、採用する省の内部に選考委員会を設けることなどとされている。

参考資料2「諸外国における幹部公務員人事」参照】

 

〔幹部職員人事の一元管理に対する人事院の提言〕

上述の「全体像」の中で、幹部職員人事の一元管理などを導入することとされている。このことに関して、人事院は、内閣総理大臣宛ての書簡で、幹部職員人事の公正を確保する観点から、具体化に当たって次の措置を行うことを提言している。

① 幹部職員人事の一元管理における適格性審査については、次の措置を法令で講じること
  •   ・ 客観的かつ公正な実施を確保するため、あらかじめ人事公正委員会の意見を聴いて実施要領を定めるものとすること
  •   ・ 公募による外部からの採用に係る適格性審査を行う場合などには、専門能力等の検証を専門的、客観的かつ公正に実施するため、有識者の意見を聴くとともに、必要に応じ人事公正委員会の意見を求めること
  •   ・ 公募によらない外部からの採用に係る適格性審査を行う場合並びに政令及び実施要領に定める手続により難いと認める場合には、公正な手続にのっとって検証が行われることを確保するため、有識者の意見を聴くとともに、人事公正委員会の意見を求めること
② 幹部職員人事の弾力化については、現在、降任である異動も含めて転任となることから、任命権者は、幹部職員間の転任に当たっては、就けようとする官職の職務・職責に応じた適性を厳正に検証し、また、組織法制上の下位の官職に転任させる場合に理由を職員に明らかにすること
 (参考)
  •   ・ 幹部職員人事の一元管理は、内閣官房長官が適格性審査により幹部職としての標準職務遂行能力の有無を判定し、合格者を記載した幹部候補者名簿を作成した上で、任命権者は、幹部候補者名簿に記載されている者の中から任命することとするもの。適格性審査は任用の前段階として行われることから、具体的な行政分野や官職に係る標準職務遂行能力の有無を検証することが重要。
  •   ・ 幹部職員人事の弾力化は、適材適所の人事を柔軟に行えるようにするため、事務次官、局長及び部長等を同一の職制上の段階とみなすことにより、これらの官職間の異動を転任により行えることとするもの。

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