前(節)へ 次(節)へ

第1編 《人事行政》

【第2部】 変革が迫られる国家公務員人事管理

参考資料1 民間企業における取組事例


多くの民間企業においても、将来の幹部候補者を選抜し、計画的な育成を行っていると考えられることから、今回の検討の参考として、幹部候補者の選抜や育成の仕組み等について、個別の民間企業からヒアリングを行ったところ、具体的な手法について、以下のような参考となる事例があった。

なお、ヒアリングを行った民間企業においては、研究者などの専門性の高いポストなどにおける例外的なケースを除いて、管理職以上の役職者における外部からの採用は行われていなかった。

〔幹部候補者のキャリアパスを一元的に管理〕(A社:金融・保険業の例)

A社においては、親会社が企業グループ全体の人材育成の方針を決定するが、個別の人事権は子会社にある。新入社員は、グループ全体として一括採用され、親会社のコントロールの下に子会社間を異動しながら、一般社員のうちに三つ程度の職務を経験し、自発的に得意領域を見いだす仕組みとなっている。

一般社員の中で、各分野の優秀者については、中核者と位置付け、親会社が管理し、グループ全体を横断した異動が行われつつ、負荷の高い職務を担いながら育成されていく。また、課長クラス(入社15年程度)の段階において、各分野を代表する社員として親会社の人事部が指名した選抜者については、将来の幹部候補者として経営戦略に関する半年程度の研修に参加させている。研修においては、グループごとに、A社が抱える課題を設定・分析させた上で、社長と役員等に対して、解決策の提言をさせている。

 

〔役職段階別に優秀者を選抜し、育成〕(B社:製造業の例)

B社においては、幹部候補を輩出するためのプログラムとして、主任、課長代理、管理職の各段階別に選抜者を決定している。ただし、選抜者は入れ替え制となっており、一度選抜されても、将来にわたって維持されるわけではない。選抜の方法は、主任からの選抜は、公募、部門内での書類審査、面接により、課長代理からの選抜は、部門からの推薦、面接により、管理職からの選抜は、人事部による指名により行う。

また、各段階ごとに、次の段階への昇任前に研修を行っている。研修終了後は、本社が人事配置を行い、本人にとってやや負荷の高いポストに就けつつ、異なる部門における5年間の評価に基づいて早期選抜を行う仕組みを導入している。

これらの仕組みにより、40歳代半ばでの役員就任を目指しており、最初の選抜は入社5年目程度の職員が対象となっている。

 

〔管理職となるには研修の合格が必須〕(C社:製造業の例)

C社においては、管理職になるには、管理職候補者の研修において行われる試験に合格する必要がある。研修の受講者の選抜は、人事部が部門ごとに設定した昇格枠に応じて各部門が推薦する。研修では、外部機関が実施するアセスメント(論文、基礎能力)と各部門の役員面接の結果から合否を決定しており、2回不合格となると部門の推薦が厳しくなるため登用は難しくなる。

 

〔重要なポストへの就任により選抜〕(D社:製造業の例)

D社においては、社内の重要なポストについて、知識・スキル、問題解決等の項目ごとの重要度に応じた点数をつけており、特に点数の高い重要なポスト(経営職ポスト)については、現在就任している者と将来の候補者の人事管理を本社が行っている。候補者については、日々の評価の積み重ねの中で事業所長が判断し、本社との会議において選抜する。候補者に選抜された後は、様々な部門のリーダーを経験させながら、評価結果や指定する研修への受講を踏まえて昇進していく。また、1年以内に経営職ポストに昇進する予定の者を対象として、約1年間にわたる研修を設けており、研修においては、経営者との対話などにより経営感覚を磨き、グローバルリーダーとしての人間性をより高めた上で登用を行っている。

 

〔多面評価、同僚・部下からの評価〕(E社:電気・ガス・熱供給・水道業の例)

E社においては、格は部門における人事考課を基本としているが、管理職に昇格させる場合には、部門から推薦された昇格候補者に対して、外部機関によるアセスメント研修のほか、業務上関わりのある直近上位の職位の者からの相対評価、同僚や部下からの絶対評価の結果などを活用し、さらに全社横断的な観点からの比較をするために人事部長の面接を実施した上で昇格を決定している。なお、同僚や部下からの評価結果については、面接時にフィードバックしている。

 

〔部内公募〕(A社の例)

A社においては、親会社の人事管理の下で、社員が自らキャリア(得意領域)を選択できるようにするため、入社3年目から、グループ会社を横断する形での公募制度を導入している。また、支店長クラスへの登用前の社員を対象として、支店長公募制度を導入している。


前(節)へ 次(節)へ
©National Personnel Authority