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国家公務員制度改革の動向

1 国家公務員制度改革をめぐる動き


国家公務員制度改革については、平成20年6月に制定された国家公務員制度改革基本法(平成 20年法律第68号。以下「基本法」という。)に基づき、基本法施行後3年以内を目途として必要な法 制上の措置を、基本法施行後5年以内を目途として必要な措置を講ずるため諸改革事項の検討が 進められている。

基本法に基づき、自由民主党・公明党連立政権下において、平成21年3月31日、内閣人事局の 設置、幹部職員人事の一元管理、幹部候補育成課程の整備、国家戦略スタッフの設置等を行うため、 「国家公務員法等の一部を改正する法律案」が国会に提出された。同法案には内閣人事局の設置に 伴い、級別定数の設定及び改定、任用、採用試験、研修に関する機能を人事院から移管する等の内 容も盛り込まれていたが、衆議院の解散により審議未了で廃案となった。平成21年9月の政権交代 後は、人事院の機能移管問題は労働基本権問題と一体に取り扱うとの考え方に立って検討が行わ れ、続く翌年の平成22年2月19日には、人事院の機能移管及び労働基本権に触れることなく、内閣 人事局の設置、幹部職員人事の一元管理等を基本とする「国家公務員法等の一部を改正する法律 案」が国会に提出された。同法案は同年5月13日に衆議院本会議において可決され、参議院に送付 されたが、会期終了により審議未了で廃案となった。同年6月22日には再就職のあっせんの禁止等 の規制遵守等や任命権者が官民の人事交流等の拡充を図るためにとるべき措置等を定める「退職 管理基本方針」が閣議決定された。

一方、平成21年の衆議院議員総選挙における民主党のマニフェストに掲げられた国家公務員の 総人件費2割削減に関し、削減の手法の一つとして労使交渉を通じた給与改定が取り上げられ、平 成22年給与勧告の取扱いを決定する「公務員の給与改定に関する取扱いについて」(平成22年11 月1日閣議決定)においては「次期通常国会に、自律的労使関係制度を措置するための法案を提出し、 交渉を通じた給与改定の実現を図る」ことが盛り込まれた。

基本法に基づく自律的労使関係制度については、必要な法制上の措置の期限である平成23年6 月までに法案を提出するため検討が進められていたが、平成22年11月26日には、公務員制度改革 担当大臣の下に「国家公務員の労働基本権(争議権)に関する懇談会」(座長:今野浩一郎学習院 大学経済学部教授)が開催され、計5回にわたる会議を経て、同年12月末に「適切な規制措置等を 講じるならば、国家公務員に争議権を付与することについても、立法をもって定めるべき政策判断 の問題と位置づけることはもとより可能」等とする懇談会の報告(以下「懇談会報告」という。)が 取りまとめられた。また、同月末、国家公務員制度改革推進本部事務局により自律的労使関係制度 に関し、協約締結権を付与する職員の範囲や団体交渉事項の範囲など制度の概要、使用者機関や 第三者機関の設置など組織の整備、期待される便益や想定される費用等を盛り込んだ「自律的労 使関係制度に関する改革素案」(以下「改革素案」という。)が公表された。改革素案と懇談会報告 については、同年12月24日から平成23年1月14日にかけて意見公募手続(パブリックコメント)が実施されたが、寄せられた意見の多くが争議権の付与に否定的なものであった。

平成23年3月3日、国家公務員制度改革推進本部事務局により、協約締結権の付与及び使用者 機関の設置に伴い人事院勧告制度及び人事院を廃止することを含む「国家公務員制度改革基本法等に基づく改革の「全体像」について(案)」(以下「改革の全体像」という。)が示された。改革の全体像については、与党及び政府部内における議論を経て、同年4月5日、国家公務員制度改革推進本部(本部長:菅直人内閣総理大臣)において決定された。政府では、この改革の全体像に沿って「国家公務員法等の一部を改正する法律案」、「国家公務員の労働関係に関する法律案」、「公務員庁設置法案」等の作成作業が進められた。


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