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国家公務員制度改革の動向

2 人事院の取組


人事院は、公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを目的とする国家公務員法の基本理念の下、人事行政の公正確保の機能及び労働基本権制約の代償機能を担うとともに、人事行政の専門機関として時代の要請に応える人事施策を展開してきた。このような立場から、新たな制度設計において、人事行政の公正を実現するために必要な機能が確保され、かつ、適切で実効性のある労使関係制度となるよう、長年にわたり蓄積してきた知見と経験に基づき、必要な意見を述べることは本院の責務と考えている。

国家公務員制度は、各行政分野に勤務する全ての国家公務員の志気や能力の発揮に関わるものであることから、行政執行を支える基盤となる制度であり、その改革は国民生活に広く影響するものである。したがって、国家公務員制度改革については、現行制度の問題や改革の長所・短所を国民に明らかにして、国会等の場において議論を尽くし、与野党の合意の下、国民の十分な理解と納得を得て進めることが求められる。

このような認識の下、人事院は、平成23年9月の人事院勧告の際の報告において、国家公務員制度改革の議論に資するよう提言を行った。同報告では、国家公務員制度改革の議論の前提として、国家公務員は、大臣等との適切な役割分担と連携の下、国民全体の奉仕者として職務を遂行していく責務を負っていること、国家公務員の勤務条件決定は、国会の民主的コントロールの下で行われているため、使用者である大臣等の決定だけでは完結しないこと、国家公務員の勤務条件決定では市場の抑制力等の内在的制約が存しないことなど、国家行政や国家公務員の特徴に関する基本認識を関係者で共有することが不可欠である旨指摘した。

その上で、国家公務員制度改革関連4法案に盛り込まれた制度改正案に関し、採用試験及び研修の公正な実施の確保、幹部職員人事の公正確保など人事行政の公正の確保に関する論点、協約締結権付与の必要性と国民の利害・得失の明確化、勤務条件に対する民主的コントロールと当事者能力の確保、複数の労働組合との交渉を通じた勤務条件の決定など、協約締結権付与に関する論点を整理し、提示した。

一方、基本法の定める課題のうち、採用試験の基本的な見直しや雇用と年金の接続のための方策など本院が取り組むべき課題については、これまでも積極的に検討を進め、実施してきており、引き続き必要な対応を行っていくこととしている。

今般の改革は、行政執行を支える基盤となる国家公務員制度の基本的な枠組みに関わる大改正であり、国民の理解と納得は不可欠である。基本を踏まえた議論を尽くし、民主的かつ能率的な公務運営の保障という目的に照らして実効性のある制度となるよう、人事院としてその使命を果たしていきたい。


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