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第1編 《人事行政》

【第1部】 人事行政この1年の主な動き

第3章 人材の確保、育成

1 採用試験の基本的な見直し


近年、少子化の進展、公務及び公務員に対する批判の影響等を背景として採用試験の応募者数が低調に推移していることに加え、専門職大学院の設置等に伴い公務への人材供給構造が変化するなど、公務の人材確保については極めて厳しい状況が続いている。また、国家公務員制度改革基本法においては、多様かつ優秀な人材を登用するため、採用試験の種類及び内容を抜本的に見直すこととされている。

このような状況の下、人事院は、採用試験体系を抜本的に見直すことにより能力・実績に基づく人事管理への転換の契機とすることや、新たな人材供給源に対応し、多様な人材の確保に資する試験体系とすることなどを基本的な視点として見直しを行い、平成24年度から新たな採用試験を実施することとした。その主な内容は、Ⅰ種・Ⅱ種・Ⅲ種試験を廃止し、新たな採用試験体系として総合職試験及び一般職試験に再編すること、総合職試験に院卒者試験を創設すること、能力実証方法の改善を行うこと等である。

見直しの視点と措置のポイントは、以下のとおりである。

従来の採用試験体系と新たな採用試験体系

新たな採用試験における見直しの視点と措置のポイント【5本の柱】

1 能力・実績に基づく人事管理への転換の契機

キャリア・システムと慣行的に連関している採用試験体系を抜本的に見直すことにより、能力・実績に基づく人事管理への転換の契機とする

〔採用後の能力の発揮・実績に応じた適正な昇進選抜を実現〕

2 新たな人材供給源に対応した試験体系

① 総合職試験に専門職大学院を含む大学院修了者を対象とした院卒者試験を設ける

② 院卒者試験に新司法試験合格者を対象とした「法務区分」(秋季に実施)を設ける

3 多様な人材の確保に資する試験体系

① 総合職試験に企画立案に係る基礎的な能力の検証を重視した「教養区分」(秋季に実施)を設ける

② 一般職試験に「社会人試験(係員級)」を設ける

③ 専門職試験に、国税専門官採用試験などの各種試験に加え、新たに専門的な職種を対象とした採用試験を設ける

④ 民間企業等経験を有する者を係長以上の職に採用するため「経験者採用試験」を設ける

4 能力実証方法の改善

① 知識よりも論理的思考力・応用能力の検証に重点を置いた「基礎能力試験」を設ける

② 人物試験をより的確に行うため「性格検査」を実施する

③ 総合職試験の院卒者試験及び大卒程度試験「教養区分」に、政策の企画立案能力及びプレゼンテーション能力を検証する「政策課題討議試験」を導入する

5 中立・公正な試験の確保

人事院では、新たな採用試験を実施するために、平成23年2月、新たな採用試験の試験の種類、試験区分、試験種目、受験資格等を定める人事院規則及び公示の内容について、意見公募手続(パブリックコメント)を実施した上で、同年4月に人事院規則及び公示の改正等を行った。あわせて、各試験の出題分野、解答題数、解答時間、出題分野ごとの出題数や試験種目ごとの配点比率など具体的な内容について人事院のウェブサイト等を通じて公表した。また、同年7月には、各試験の具体的な施行日程を公表した。さらに、新たな採用試験の実施に向けて、各種説明会、人事院ウェブサイト、パンフレット等を通じて受験生等に対する積極的な周知を行うとともに、試験問題の作成など必要な準備を進め、新たな採用試験を着実に実施し、公務に多様な有為の人材の確保を図っていくこととしている(新たな採用試験の概要については第1編 第3部 第1章 第2節 採用試験参照)。


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