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第1編 《人事行政》

【第2部】 公務員給与の決定過程 〜諸外国の実態と我が国の課題〜

第1章 諸外国の実態

第1節 アメリカ

コラム 労使交渉に限らないアメリカの労働組合の活動

労使交渉に限らないアメリカの労働組合の活動

アメリカの連邦政府においては、郵便庁等を除いて、法定事項である給与等について労使交渉することは認められていないが、労働組合加入率は約28%と、民間の約12%と比べて2倍以上となっている。職員が労働組合に加入する理由としては、労働組合が議会に対するロビイング活動を通じて勤務条件の向上を図っていること、限定的ではあるが労使交渉できる事項も存在していること、懲戒処分等に対する不服申立てに際して労働組合の助力を得られることなどが挙げられる。

特に、実態として、労働組合の活動の大きな柱はロビイングであり、大手の労働組合ではフルタイムのロビイストを置いている。連邦政府では、上記のとおり、給与を始めとする主な勤務条件が労使交渉の対象となっておらず、議会の決定に委ねられているので、労働組合側も、言わば議会が交渉テーブルであるという認識を持っており、議員への働きかけを活発に行っている。

ロビイングの内容は、特定の病院の閉鎖反対など具体的な問題から、給与制度等の政策問題まで、多岐にわたる。労働組合では、全国的な集会を開いたり、手紙の文例や電話の掛け方、タウンミーティングでの質問案を示したりして、組合員に対し、各地域選出の議員へのロビイング活動を呼び掛けている。議員への働きかけが結果に結び付いた例として、ブッシュ政権の下で一時導入された国防総省の業績給制度が、評価の公正さなどに不信感を持つ労働組合の反対活動を受けて、結局議会で廃止されたということがある。

また、選挙の際は、労働組合に理解のある候補者が当選するよう、政治活動委員会を通じて政治資金を寄附するほか、組合員が有権者を訪問したり電話を掛けたりして投票を働きかけている。

こうした活動は、アメリカだけでなく、勤務条件が法定されているドイツの官吏に関しても、官吏が主体の労働組合でみられるところであり、ドイツでも労働組合は重大な影響を及ぼす法案についてのロビイング等利益擁護の活動を行っている。


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