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第1編 《人事行政》

【第2部】 公務員給与の決定過程 〜諸外国の実態と我が国の課題〜

第1章 諸外国の実態

第2節 イギリス

コラム イギリスにおける給与決定権限の分権化の影響

イギリスにおける給与決定権限の分権化の影響

1990年代から始まった給与決定権限の各省等への分権化の影響について、イギリス政府関係者等から聴取したところ、各省等別の交渉とすることにより、労働組合一体となっての交渉を不可能とし、労働組合を弱体化させ、国レベルでの紛争を避ける狙いがあったとされている。

給与決定の分権化が与えた影響として、以下の問題点が指摘されている。

第一に、上級公務員給与が民間に比べて低く抑えられている一方、下位レベルの一般公務員の給与は、民間に比べて高止まりしている。上級公務員の給与は全国統一の決定が行われており、全般的に抑制的傾向がある。他方、各省等単位で決定されている一般職員の給与は、労働党政権下でそれなりに上昇し、場合によっては、上級公務員の給与が部下の一般職員の給与よりも低いという実例も発生している。

第二に、省庁再編により省庁が統合した場合、給与が高い方の省庁に低い方の省庁が追い付くよう給与交渉がなされるため、全体としての給与水準を抑えることができていない。

第三に、各省等別の給与交渉であるため、省内で同じ仕事をしていても、統合前にどちらの省に所属していたかによって給与差が生じ、職員間で格差をもたらしている。

第四に、省庁によっては、昇格時における一定割合の給与上昇を契約上の効力を有するものとして合意があった場合、たとえ上級公務員より高い給与となろうとも、契約を優先させる結果、上司部下間で給与の逆転が生じる事態も生じている。


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