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第1編 《人事行政》

【第2部】 公務員給与の決定過程 〜諸外国の実態と我が国の課題〜

第1章 諸外国の実態

第3節 ドイツ

3 職員代表制

● 職員代表制は、各官署における官吏・公務被用者共同の仕組み。

● 勤務条件の枠組みの中で各官署における具体的な勤務条件や人事処遇に関する事項を決定する際に勤務者の利益を代表する仕組みとして職員代表制が法定されている。

● 職員代表制における協議会の参画態様として、協議会の同意を必要とする「共同決定」と協議会の理解を求める手続を経るべき「協力」とが定められている。

(1)職員協議会の機能

ドイツでは、勤務者がその代表を通じて、利害関係者として、職場における使用者の意思決定過程に参加・関与する仕組みが、民間企業では「従業員代表制」として、公務においては「職員代表制」として法制化されており、各官署に「職員協議会」が設けられている。

職員代表制は、法令及び労働協約の定める勤務条件の枠組みの中で、勤務者が(官吏、公務被用者共同で)後述のように官署ごとの事項の決定に参画する仕組みであり、勤務者保護、法令等遵守の監視とともに、使用者・勤務者間の緊張緩和等の機能も果たす。

職員協議会と労働組合の活動とは直接連動する関係にはないが、協議会委員の官署内での組合活動は制限されないことが法的にも保障されている(職員代表法第67条第2項)ほか、一定の場合に職員協議会の打合せへの労働組合代表の出席等が認められている。

官署の長と職員協議会は、少なくとも月に1回会合し、勤務者に重大な影響のある問題を中心に、官署における業務運営に関する事項について協議し、両者の合意により問題を処理するよう努めなければならないとされる。採用、昇任などの個別具体的な人事案件(課長級以上を除く。)は、職員協議会の協議事項である。また、予算自体は職員協議会マターではないが、官署の長は、予算上の人員要求を提出する前に「職員協議会の意見を聴く」ものとされている(職員代表法第78条第3項)。

(2)職員協議会の構成

本省に中央職員協議会、本省の下に置かれる外庁及び各官署に、それぞれ地区職員協議会及び職員協議会が置かれている。

職員協議会の委員は、当該官署に勤務する官吏・公務被用者のグループごとに、それぞれ独立の選挙により、4年の任期で選出される。委員の数は、官吏・公務被用者の構成に応じ、また、男女の構成比にも応じて按分される。

委員は無報酬の名誉職であるが、委員としての職務を行うために有給で本務を離れることが認められ、規模の大きな官署では、一定数(規模300〜600人で1人、601〜1,000人で2人など)の委員は本務を全面的に免除される。

職員協議会の現実の選挙においては、例えば労働組合の推薦を得た候補者が委員や特に協議会議長に選ばれる例はまれではない。また、2011年の世論調査において、公務に限ったものではないが労働組合が注力すべき事項(複数回答)として、「職場における労働条件の改善」(40%)、「共同決定の拡大」(29%)が挙げられていたことからも、職員(従業員)代表制において労働組合が果たす役割の実態がうかがわれる。

(3)参画の態様

職員協議会の参画には、共同決定と協力とがあり、共同決定には更に完全共同決定と限定共同決定の別がある(表4参照)。

原則として職員協議会の同意を得なければ、官署の長が実施することができない事項を「共同決定」事項といい、これには「完全共同決定」事項と「限定共同決定」事項がある。官署の協議会で同意が得られない場合は、順次上位の官署に事案を上げる。本省レベルでも合意できない場合に、完全共同決定事項(例えば、公務被用者の採用)に関しては、本省(人事部等)と中央職員協議会から各3人の代表と中立メンバー1人で構成する仲裁機関の決定が最終のものとなる。他方、限定共同決定事項(例えば、官吏の採用)に関しては、仲裁機関の結論が本省の見解と一致する場合にはそれが最終決定となり、本省の見解と異なる場合には、仲裁機関は勧告を行って、本省の長が最終的に決定する。

これに対し、「協力」事項は、官署の長があらかじめ職員協議会の理解を求める手続を経るべき事項である。例えば、官吏に対する懲戒訴訟の提起が該当する。協力事項に関して職員協議会が異議を述べ、官署の長がこれに応じない場合に、職員協議会は上位の官署の決定を求めることができるが、当該上位の官署が職員協議会との手続を経て行う決定が最終のものとなる。

表4 ドイツの職員協議会の参画事項の例

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