前(節)へ 次(節)へ

第1編 《人事行政》

【第2部】 公務員給与の決定過程 〜諸外国の実態と我が国の課題〜

第2章 我が国の課題

第2節 我が国の改革法案の概要


国家公務員制度改革関連4法案(以下「改革法案」という。)は、第177回国会(常会)に提出されたものの継続審査となり、第180回国会(常会)に至っている。改革法案では、一般行政事務を行う職員に対し広く協約締結権を付与し、労使交渉により給与決定を行うこととしているが、争議権は否定している。また、かつて仲裁手続への移行が常態化していた三公社五現業(注)と同様に、労使が合意できないときには関係当事者の一方の申請により強制的に仲裁手続に移行することとしている。さらに、俸給表等の改定は国会の議決が必要であり、労使が合意しても使用者たる内閣に最終決定権はない。

(注)三公社五現業における労使関係の実態は、平成21年度年次報告書第2部参照。

労使交渉に関する改革法案のポイント

・ 人事院勧告制度を廃止し、非現業国家公務員(海上保安庁の職員等を除く。)に協約締結権を付与する。
・ 公務員庁を設置し、団体交渉及び労働協約(注1)に関する事務等を担わせる。
・ 使用者(公務員庁の事務を所掌する大臣等)は、管理運営事項を除く勤務条件に関する事項について、中央労働委員会に認証された労働組合からの団体交渉の申入れに応じなければならない。複数の労働組合との交渉方法を定めていないため、複数の労働組合が個別に交渉を行うことができる。
・ 使用者と労働組合は労働協約を締結することができる。ただし、国家公務員法、国家公務員の労働関係に関する法律等の改正を要する事項については、労働協約を締結することができない(注2)
・ 俸給表は法律で定めることとされている(注3)。労働協約が締結されると、法律事項については内閣に協約を実施するための法律案の国会提出義務、政令等の事項についてはその制定改廃義務が生じる。なお、労働協約は国会の審議を拘束するものではない(仲裁の場合も同様)。
・ 争議権は付与されない(注4)。使用者と労働組合との間で交渉が妥結しない場合には、関係当事者の一方の申請により中央労働委員会によるあっせん、調停又は仲裁が行われる。
・ 仲裁裁定が行われると、当事者間において労働協約が締結されたものとみなされる。
(注1)「国家公務員の労働関係に関する法律案」では、労使間で締結する協約を「団体協約」としているが、本稿では「労働協約」という用語を用いることとする。
(注2)例えば、給与について、俸給表を設けることは国公法に規定されているため、俸給表を廃止する労働協約を締結することはできないが、俸給表の改定は国公法ではなく給与法に基づき行われるため、労働協約を締結することができる。
(注3)「国家公務員法等の一部を改正する法律案」の附則において、一般職の国家公務員の給与に関し、政令への委任の在り方が今後の検討課題とされている。
(注4)「国家公務員の労働関係に関する法律案」の附則において、国家公務員への争議権の付与が今後の検討課題とされている。
図7 フランスの公務員の給与(俸給)決定過程

前(節)へ 次(節)へ
©National Personnel Authority