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第1編 《人事行政》

【第2部】 公務員給与の決定過程 〜諸外国の実態と我が国の課題〜

第2章 我が国の課題

第3節 我が国の課題

3 仲裁手続への移行が常態化する懸念

1で述べたとおり公務には市場メカニズムが機能しないこと、2で述べたとおり勤務条件法定主義及び財政民主主義の原則により使用者である内閣に最終決定権がないことから、改革法案による労使交渉でいかに合意に至るかが論点となる。

改革法案は協約締結権を認めつつ争議権を否定した中で労使交渉を行うとしているが、この構造はかつての三公社五現業と基本的に同じ構造である。三公社五現業が最大の勤務条件である給与の交渉において、ことごとく仲裁手続に移行していた歴史的事実を踏まえる必要があり、仲裁手続への移行が常態化しないよう、自主決着を図るためにどのようにすればよいか、使用者側の当事者能力をいかに確保できるかなどについて十分な議論が必要である。

なお、既に協約締結権が付与されている特定独立行政法人における給与決定の中には、仲裁手続によらず自主決着されたケースもあるが、その内容をみると人事院勧告と同様の改定となっているケースがあることやそもそも勤務条件法定主義は採られていないことに留意する必要がある(参考2参照)。


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