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第1編 《人事行政》

【第2部】 公務員給与の決定過程 〜諸外国の実態と我が国の課題〜

第2章 我が国の課題

第3節 我が国の課題

4 労働組合の代表性の確保

改革法案では、団結権を有する職員が全ての組合員の過半数を占めることなどの要件を満たせば労働組合(注:現行の職員団体は改正後は労働組合となる。)としての認証を受けられることから、複数の労働組合が認証を受けて交渉当事者となる。このため、労働組合の代表性をいかに確保するか、複数の労働組合との交渉や調整をいかに効率的に行うかといった点が論点となる。

この点について、我が国の非現業国家公務員の職員団体の現状をみると、以下の特徴がある。

・ 我が国の非現業国家公務員の職員団体には、主に連合(日本労働組合総連合会)系と全労連(全国労働組合総連合)系の二つの系統がある。各府省別にみると、各系統の組織率(各府省の常勤の在職者に占める各系統の職員団体への加入者の割合)にばらつきがある(表7参照)。

・ 非現業国家公務員全体をみると、連合系の職員団体への加入者と全労連系の職員団体への加入者の構成比にあまり差がなく、また、職員団体に加入していない職員も相当程度いる(図9参照)。

・ 連合系、全労連系それぞれの職員団体は、地方公務員等の労働組合とも連合体を結成しているが、その連合体における国家公務員の占める割合は低い(図10参照)。

国の行政組織においては、政府職員としての一体性を保つために勤務条件を統一的に設定することが要請される。勤務条件について労使交渉を行い労働協約を締結した場合、特定の労働組合が締結した労働協約であっても、それが法令に反映されると当該労働組合以外の労働組合の組合員や非組合員に対しても効力を及ぼすことになることから、労働組合の交渉当事者としての代表性をいかに担保し、職員全体の納得性をいかに確保するかが問題となる。

複数組合との交渉や労働協約の締結の問題について、労働組合の代表性を確保する手段として、アメリカでは、一定の交渉単位ごとに時々の投票により特定の労働組合に排他的交渉権を設定している。また、フランスでは前述のとおり2010年の法律改正により、各職場における人事施策等について労使が協議する場である職場協議会の代表を決める投票の結果で労使交渉に当たる労働組合も決定される仕組みとなっている。他方、イギリスの一般職員、ドイツの公務被用者及びフランスについては、複数の労働組合が同席して交渉が行われており、更にドイツの公務被用者の場合、複数の労働組合が使用者側と一つの労働協約を結んでいる実態がある。

この点、改革法案では、労使交渉の実施方法について特段の定めがないことから、複数の労働組合が個別に労使交渉を行うこととなる。このため、労働組合の数だけ交渉が必要となり得るだけでなく、勤務条件を統一するための調整に大変な手間が必要となる。

表7 我が国における府省別の主な職員団体の組織状況
図9 我が国の非現業国家公務員の職員団体への加入状況
図10 我が国の官公庁関係主要労働組合系統概念図
(参考)

各国の公務部門に勤務する職員が労働組合に加入している割合(複数組合への加入割合の合計)は、アメリカが28%、イギリスが56.3%、フランスが約15%とされているが、集計の対象に国家公務員以外の公務部門の職員(地方公務員や公営企業の職員等)が含まれる場合があること、公務部門の範囲が各国により異なること等の理由により、これらを単純に国際比較することは適当でない。

出典)アメリカ:Union Members -- 2011、イギリス:Trade Union Membership 2010
フランス:Premières Informations et Premières Synthèses 2008.4


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