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第1編 《人事行政》

【第3部】 平成23年度業務状況

第1章 職員の任免

第2節 採用試験

1 平成23年度における採用試験の実施

(1)採用試験の種類

人事院が試験機関として自ら実施した平成23年度の採用試験の回数は、表1−2のとおり14種類15回である。このほか、人事院の指定に基づき、外務省が試験機関として実施した外務省専門職員採用試験がある。

人事院が試験機関として実施した採用試験のうち、Ⅰ種試験、Ⅱ種試験及びⅢ種試験の3種類は、主として各府省に共通する官職を対象とするものであり、残りの11種類の試験は、それぞれ個別の府省における固有の官職を対象とするものである。

(2)採用試験の周知

人事院が試験機関として実施する平成23年度の採用試験全体の施行計画については、平成23年2月1日に官報公告を行い、併せて新聞等の報道機関を通じて発表した。そのほか、各採用試験の詳細については、受験申込みの受付期間を考慮し、14種類15回の採用試験を3回に分けて官報により告知した。また、政府広報を通じての新聞広告、スポット広告等を依頼し、携帯端末広告、人事院ホームページへの掲載などにより、採用試験について情報提供を行い、ポスター、受験案内等の募集資料の掲示・配布を全国の大学、高等学校等に依頼し、採用試験の周知を図った。

表1−2 平成23年度国家公務員採用試験実施状況一覧
(3)採用試験の方法

採用試験は、受験者がそれぞれの試験の対象となる官職の職務を遂行する上で発揮することが求められる能力及び適性を有するかどうかを相対的に判定することを目的としている。そのため、官職の職務遂行に求められる知識、技術、その他の能力及び適性を検証する方法として、教養試験、専門試験、人物試験等の試験種目のうちから、それぞれの試験ごとに効果的な試験種目を組み合わせて実施している。例えば、Ⅰ種試験においては、国家公務員として必要な一般的な知識及び知能をみるための「教養試験」、行政、法律、経済、理工など13の区分試験ごとに必要な専門知識、技術等をみるための「専門試験」、また、総合的な判断力、思考力等をみるための「総合試験」をそれぞれ筆記試験により行い、さらに、人柄、性向、対人的能力等をみるための「人物試験」を面接試験により行っている。

これらの試験種目のうち、専門試験及び総合試験の内容については、試験専門委員として委嘱した大学の教員及び専門知識を有する各府省の職員等とともに検討を重ねた上で決定している。

また、採用試験の実施後は、その結果分析を通じて試験方法の検討を行うほか、必要に応じて各学校における教科内容の実態調査を実施するなど、採用試験の妥当性、信頼性を高めるよう常に研究を行っている。

(4)実施状況
ア 概況

平成23年度に実施した採用試験の状況は、既に表1−2に示したとおりである。

Ⅰ種試験は、対象となる官職に必要とされる専門知識等に応じて13の区分試験に分けて実施している。同様にⅡ種試験は11区分、労働基準監督官採用試験及び法務教官採用試験は2区分、Ⅲ種試験は6区分、刑務官採用試験及び航空保安大学校学生採用試験は2区分、海上保安学校学生採用試験は4区分の試験に分けて、それぞれ実施している(資料1−2〜1−9)。

さらに、Ⅱ種試験のうち「行政」区分、Ⅲ種試験のうち「農業土木」、「林業」以外の4区分試験及び刑務官採用試験については、合格者の地域的偏在を防ぎ、全国各地に所在する官署の採用に応じられるようにするため、地域別の試験に分けて実施している。

人事院及び外務省の実施する全試験の申込者総数は143,342人で、前年度に比べ1,052人(0.7%)の増加となった。このうち、大学卒業等程度の試験は102,447人で1,432人(1.4%)減少し、高等学校卒業程度の試験では40,895人で2,484人(6.5%)の増加となっている。全試験の平成元年度以降の申込者数の推移をみると、平成7年度をピークとして減少に転じ、平成11年度には前年度に比べ16.4%の大幅な増加となったものの、平成12年度から減少に転じていた。平成15年度は日本郵政公社の採用試験(平成15年度から平成18年度まで実施。平成19年10月日本郵政公社民営化により廃止。)が新設されたこともあって、大幅に増加したが、平成16年度以降再び減少に転じており、平成20年度以降の民間企業における雇用情勢の変化に伴い、平成21年度以降、概ね増加してきているものの、中長期的には減少傾向となっている(図1−1)。

人事院及び外務省の実施する全試験の合格者総数は12,074人で、前年度に比べて381人(3.3%)の増加となった。また、申込者数の合格者数に対する倍率は、表1−2のとおりであり、大学卒業等程度の試験が12.4倍で前年度(13.2倍)に比べて低く、高等学校卒業程度の試験は10.8倍で前年度(10.1倍)に比べて高くなった。

図1−1 国家公務員採用試験申込者数の推移
イ 試験の種類別の状況

人事院が試験機関として実施するⅠ種試験、Ⅱ種試験及びⅢ種試験における特徴的な事項は、次のとおりである。

(ア) Ⅰ種試験
① 申込者数及び合格者数は表1−2のとおりで、申込者数は前年度に比べ679人(2.5%)増加し、合格者数も76人(5.8%)増加した。

また、系統別申込者数の推移は図1−2のとおりで、法文系では1,145人(6.0%)増加したが、理工系では344人(5.8%)、農学系では122人(6.4%)減少した。

図1−2 国家公務員採用Ⅰ種試験の系統別申込者数の推移
② 申込者及び合格者を系統別・学歴別にみると(資料1−10)、申込者数及び合格者数のいずれも、法文系では大学卒業者等(卒業者、在学者、中退者をいう。以下同じ。)が多数を占めているのに対し、理工系及び農学系では、合格者については大学院修了者等(修士・博士課程修了者、在学者、中退者をいう。以下同じ。)が多数を占めている。
③ 女性の申込者数及び合格者数は表1−2のとおりであり、申込者数は、前年度に比べ355人増加し、申込者全体に占める女性の割合は、31.1%(前年度30.5%)で、平成21年度と並び過去最高の割合であった。また、合格者数は、前年度に比べ若干増加したものの、合格者に占める割合では、過去最高であった前年度を1ポイント下回ったが、過去3番目に高い割合となった(資料1−11)。
④ 合格者の国・公・私立別の出身大学(大学院を含む。)数は表1−3のとおりであり、平成23年度は全体で90校であった。
表1−3 国家公務員採用Ⅰ種試験合格者の国・公・私立別出身大学(含大学院)数の推移
(イ) Ⅱ種試験
① 申込者数及び合格者数は表1−2でみたように、申込者数は前年度に比べ1,590人(3.3%)減少したが、合格者数は345人(8.5%)増加した。
② 申込者及び合格者を学歴別にみると(資料1−12)、大学卒業者等の占める割合は、申込者は82.2%、合格者は79.5%であり、大学院修了者等の占める割合はいずれも1割台となっている。
③ 女性の申込者数及び合格者数は表1−2のとおりで、申込者数は前年度に比べ534人(3.6%)減少したが、申込者全体に占める女性の割合は30.7%で引き続き3割以上を維持している。また、合格者数は、前年度に比べ減少し、合格者全体に占める割合も25.9%で、前年度(28.4%)に比べ減少した。(資料1−11
④ 申込者数、合格者数について、国・公・私立別の出身大学(大学院を含む。)をみると、申込者数では私立大学が55.3%(前年度55.5%)、国立大学が34.6%(同34.5%)を占め、合格者数では国立大学が49.5%(同48.5%)、私立大学41.8%(同42.9%)となっている(資料1−13)。
(ウ) Ⅲ種試験
① 申込者数及び合格者数は表1−2のとおりで、申込者数は前年度に比べ2,356人(13.6%)増加し、合格者数も180人(12.9%)増加した。
② 学歴の状況についてみると、全体に占める高等学校卒業者等(卒業者、在学者、中退者をいう。)の割合は、申込者で41.8%、合格者で29.5%であり、前年度に比べ申込者については減少し、合格者については増加した(資料1−14)。
③ 女性の申込者数及び合格者数は表1−2のとおりで、全体に占める女性の割合は、申込者で32.3%、合格者で36.4%であり、いずれも前年度を下回った(資料1−11)。
(エ) 点字による試験等の実施結果

Ⅰ種試験及びⅡ種試験の「行政」区分については、点字試験を行っている。また、視覚障害の程度によって、Ⅰ種試験、Ⅱ種試験、Ⅲ種試験、国税専門官採用試験及び気象大学校学生採用試験については、拡大文字による試験、解答時間の延長等の措置を講じている。

平成23年度においては点字試験の申込者はなく(前年度も同様)、拡大文字試験及び試験時間延長措置による試験の申込者は、Ⅰ種試験2人(うち1人は拡大文字試験のみ、前年度は0人)、Ⅱ種試験1人(前年度は3人)、Ⅲ種試験2人(同1人)であった。 なお、平成23年度の試験では合格者はいなかった。

(オ) 試験地

Ⅰ種試験の第1次試験地「秋田市」、Ⅱ種試験の第1次試験地「旭川市」、Ⅲ種試験の第1次試験地「苫小牧市」及び「いわき市」については、申込者数が少ないことから、代替試験地への利便性等を勘案した上で廃止した。

また、Ⅲ種試験の第1次試験地「久留米市」及び「佐世保市」を廃止し、その代替試験地として「佐賀市」を新設した。

ウ 災害への対応

東日本大震災の発生に伴い、人事院に「被災者等受験相談ホットライン」を開設し、被災地域等において、受験申込みに支障が生じている受験希望者に対し、特例措置として、FAX又は携帯メールによる簡便な方法での申込み及び申込受付期間の延長を行えるようにした。これにより、23人について、簡便な方法での申込みを受け付け、15人について、申込受付期間の延長を行った。

なお、Ⅰ種試験については、5月1日に実施する第1次試験を受験できないことがやむを得ないと特に認められる場合には、試験の再実施を行うこととしたが、該当者はいなかった。

エ 第1次試験の再実施

9月4日に実施したⅢ種試験の第1次試験において、台風第12号のため交通遮断等により受験できなかったと認められた受験者がいたため、同試験を9月19日に6試験地で、21人を対象に再実施した。

オ インターネットによる受験申込み

インターネットによる受験申込みは、受験申込みの利便性の向上及び行政事務の効率化を図る観点から、平成16年度導入の航空管制官採用試験、航空保安大学校学生採用試験に続き、順次、平成22年度まで入国警備官採用試験、皇宮護衛官採用試験、海上保安学校学生採用試験、海上保安大学校学生採用試験、Ⅱ種試験、Ⅰ種試験に対象を広げてきた。

平成23年度におけるインターネットによる受験申込者数は63,378人であり、対象試験の合計申込者数(82,256人)に占める割合は77.0%となり、前年度(59.4%)から大きく増加した。


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