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第2編 《国家公務員倫理審査会の業務》

第4章 公務員倫理をめぐる状況と今後の課題


平成12年4月に倫理法・倫理規程が全面施行されてから、10年以上が経過し、現在では、倫理法・倫理規程は、国家公務員が遵守すべきルールとしておおむね定着してきている。しかしながら、倫理法等違反により処分等を受けた者の数は、過去最多の違反者を出した平成20年度に比べると低い水準にあり、また、平成23年度は前年度に比べ減少しているものの、増減を繰り返しており、いまだ倫理法の精神が全ての公務員に浸透しているとは言い難い状況にある。

また、官民を問わず、職業倫理の重要性に関する認識が一層高まる中、倫理審査会としても、これまでの10年の経験を踏まえ、次の10年に向けて、「職員の倫理意識の涵養」、「倫理的な組織風土の構築」、「不祥事への厳正な対応」の三つの倫理保持施策の課題を掲げ、取組を進めている。

この三つの倫理保持施策の課題についての具体的な取組として、倫理審査会が現在、特に重点的に取り組んでいる事項は以下のとおりである。

(1)倫理研修の計画的・定期的な実施

一般職員に対するアンケート調査の結果によると、最後に倫理研修を受講してからの期間が短くなるほど、倫理法等の内容や通報制度に関する意識が高くなる結果が出ているところでもあり、倫理審査会では、計画的・定期的に倫理研修を受講することは、職員の倫理意識の涵養という観点から非常に重要と認識している。

しかし、同アンケート調査の結果から、最後に倫理研修を受講してから5年以上経過している又は一度も受講したことがない職員が4人に1人以上いることが確認されており、これらの職員をはじめ全職員に対して、倫理研修の計画的・定期的な実施の促進を図ることが喫緊の課題である。

(2)通報制度の活用の推進

通報窓口については、現在、全ての府省で設置されているところではあるものの、実際の通報件数をみると、通報制度が十分に活用されているとは言い難い状況にある。実際に通報するような事案が発生していないという見方もあるものの、中には、密告を連想するなどのマイナスイメージや、通報したことにより不利益な取扱いを受けることに対する不安感を抱く職員も少なからず存在すると思われる。

通報制度は、事案の早期発見、違反行為に対する抑止効果という面において、有効な制度であることは論を俟たないところであり、通報制度が持つこのような効果や通報者の氏名等が窓口限りにとどめられること、通報したことによる不利益な取扱いが禁止されていることなどへの理解を深めることで、通報制度に対するマイナスイメージや不安感を払拭し、この制度の活用を推進することが重要である。

(3)数値目標の設定とその達成

倫理審査会は、次の10年における三つの倫理保持施策の課題に向けた取組として、上記(1)、(2)をはじめ様々な施策に取り組んでおり、それらの施策の効果を測るため、政策評価として数値目標を設定している。数値目標の設定に当たっては、理想を追求することを重視して高い水準を設定しているところであり、随時、数値目標の達成状況を把握し、その結果の分析、フィードバックを行い、評価結果を適切に施策に反映させることが重要であると考えている。

倫理審査会は、公務に対する国民の信頼を確保するという倫理法の目的の達成に向けて、三つの倫理保持施策の課題及びその具体的取組に積極的に取り組んでいく所存である。


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