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第1編 《人事行政》

【第2部】 幹部職員等の育成と選抜

第1章 我が国における幹部職員等の育成・選抜の実態

第1節 各府省における昇進選抜の実態

5 キャリアシステムの功罪

旧Ⅰ種採用事務系職員、旧Ⅰ種採用技術系職員におけるこれまでの国家公務員の管理職員・幹部職員の育成・選抜システムについては、

(ア) 採用試験、特に旧国家公務員採用Ⅰ種試験の受験者が、競合する就職先に比して公務における給与等の処遇が必ずしも高くなくとも、比較的早期に責任ある仕事に就けることを魅力に感じることにより、優秀な人材を公務に誘致できたこと
(イ) 旧Ⅰ種採用職員に対して採用時から管理職員・幹部職員の要員であるという自覚を持たせることによって、強い使命感と高い志を持って行政の中核を担い、研さんを続けるという動機付けをすることができたこと
(ウ) 法律改正や政策調整などの負荷の大きな業務や海外留学などの管理職員・幹部職員の育成につながる勤務経験を集中的に付与することで、効率的に管理職員・幹部職員を育成できたこと
といったメリットがあり、こうした人事運用が長く続いてきた一つの理由と考えられる。

一方で、現在の人事運用では、

(a) 当初、管理職員・幹部職員の要員として育成された者の中で、その後の勤務を通じて能力や適性を欠くと判明した者であっても、早い昇進ペースや一定の処遇が維持され、その結果、組織運営を阻害したり、早期勧奨退職が避けられなくなったりするケースがあること
(b) 採用当初に旧Ⅰ種採用事務系職員などの昇進の早い人事グループに所属していないと、管理職員や幹部職員になることは事実上困難であり、国全体として意欲と能力のある職員の人材活用が図られていないこと
(c) 旧Ⅰ種採用職員に特権的意識を植え付けるとともに、他方で旧Ⅰ種採用職員以外にはある種の諦観を生じさせているおそれがあること
といった弊害もみられる。こうした弊害を是正するための取組は更に進める必要がある。

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