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第1編 《人事行政》

【第2部】女性国家公務員の採用・登用の拡大に向けて

第3章 諸外国における女性国家公務員の採用・登用の状況と課題

第6節 スウェーデン

2 女性の採用・登用促進のための具体的な施策の展開

(1)社会全体の取組

スウェーデンにおいて、女性の就労が進んだ要因は、1970年代初めの経済成長に伴い労働力不足が深刻になったことを契機として、所得税の課税制度を世帯単位(夫婦合算課税方式)から個人単位(個人別課税方式)へ転換するなど女性の就労を促すとともに、公的保育施設の充実、親休暇及び親手当(コラム参照)の導入等を推進するなど両立支援のための施策を充実したことであるとされている。このほか、閣僚の半分を女性にするなど政治の強いリーダーシップで女性の登用を進めたことの影響が大きかったとの見方もある。

(2) 公務における取組

ア 採用・登用に関する取組

スウェーデンの中央省庁においては、男女共同参画など多様性の推進は、三つの段階を経て展開されてきた。

第1段階として、1980年に差別禁止法が制定されたことを契機として、差別を禁止し男女の機会の均等を進めた。第2段階として、組織にとって効率的な人材活用などの面で多様性が重要であることについて職員や職場の理解を深めていった。第3段階として、多様な人材を採用・定着させ能力開発を行っていくための戦略的で長期的な取組を行っていくこととし、現在、女性が昇進を躊躇する状況を解消することなどを目的とした研修プログラムを実施している。

イ 両立支援の取組

スウェーデンでは、仕事と家庭の両立支援のための諸制度の整備がかなり進んでいる。子の育児のための全日の休暇及び部分休暇(コラム参照)に加え、在宅勤務など柔軟な勤務形態が導入され活用されている。また、1974年には、世界で初めて父親の育児のための休暇を取得できることとし、その後、父親の育児参加を促進するために、1995年に「パパの月」(コラム参照)を導入するなど役割分担意識を改めていく取組を進めている。

なお、仕事の進め方として、例えば、会議は原則として9時から15時までの間に行うこととされているなど、職員が仕事と家庭を両立しやすい雰囲気を醸成する取組が行われている。

コラム:男女共同参画社会の実現に向けた取組 〜親休暇及び親手当〜

女性の家庭責任の負担軽減の観点から、父親の育児参加を促進するため、1974年に、従来、母親だけに認めていた出産休暇制度が、父親にも認める親休暇制度に世界で初めて改められ、現在では子が生後18月に達するまでの全日の休暇、子が8歳に達するまで又は小学校1年目を終了するまでの部分休暇(勤務時間の4分の3を限度とする。)を取得することができる。また、親休暇の取得日数に応じ、親手当として、所得の80%が社会保険から支給されるが、国家公務員には10%上乗せされ、90%が支給されている(480日分を限度とする。)。ただし、このうち60日は、いわゆる「ママの月、パパの月」とし、他方の親に親手当の受給資格を移転することができないこととされている(親が一人の場合は480日分の受給資格がある。)。

なお、2013年における中央省庁職員が取得した親休暇の総取得日数のうち、74%は女性が、26%は男性が取得している。


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