前(節)へ 次(節)へ

第1編 《人事行政》

【第3部】平成25年度業務状況

第1章 職員の任免

第2節 採用試験

1 平成25年度における採用試験の実施

国家公務員採用試験については、平成24年度から従来のⅠ種試験、Ⅱ種試験、Ⅲ種試験等を廃止して、総合職試験、一般職試験、専門職試験及び経験者採用試験からなる新たな試験を実施しており、平成25年度は、新たな試験の2回目の実施となった。

(1)採用試験の種類

人事院が試験機関として自ら実施した平成25年度の採用試験の数は、表1−2のとおり21種類24回である。このほか、人事院の指定に基づき、外務省が試験機関として実施した外務省専門職員採用試験(1種類)がある。

21種類の内訳は、主として政策の企画立案等の高度の知識、技術又は経験を必要とする業務に従事する係員を採用する総合職試験(院卒者試験及び大卒程度試験の2種類)、主として事務処理等の定型的な業務に従事する係員を採用する一般職試験(大卒程度試験、高卒者試験及び社会人試験(係員級)の3種類)、特定の行政分野に係る専門的知識を有する係員を採用する専門職試験(国税専門官採用試験、労働基準監督官採用試験等の15種類)があり、その他に民間企業等における有為な勤務経験等を有する者を係長以上の官職へ採用する経験者採用試験がある。

(2)採用試験の周知

人事院が試験機関として実施する平成25年度の採用試験全体の施行計画については、平成25年2月1日に官報公告を行い、併せて新聞等の報道機関に対して発表を行った。各採用試験の詳細については、受験申込みの受付期間を考慮し、21種類24回の採用試験を5回に分けて官報により告知した。また、政府広報ラジオ番組での放送、人事院のホームページなどで採用試験について情報提供を行うとともに、ポスター、受験案内等の募集資料の掲示・配布を全国の大学、高等学校等に依頼し、採用試験の周知を図った。

表1-2 国家公務員採用試験実施状況一覧

(3)採用試験の方法

採用試験は、受験者がそれぞれの試験の対象となる官職の職務を遂行する上で発揮することが求められる能力及び適性を有するかどうかを相対的に判定することを目的としている。

そのため、官職の職務遂行に求められる知識、技術、その他の能力及び適性を検証する方法として、基礎能力試験、専門試験、人物試験等の試験種目のうちから、それぞれの採用試験に効果的な試験種目を組み合わせて実施している。

例えば、総合職試験の大卒程度試験においては、国家公務員として必要な基礎的な知能及び知識をみるための「基礎能力試験」、必要な専門知識及び技術等をみるための「専門試験」、政策の企画立案に必要な能力、総合的な判断力及び思考力等をみるための「政策論文試験」をそれぞれ筆記試験により行い、さらに、人柄、対人的能力等をみるための「人物試験」を個別面接により行っている。また、総合職試験の院卒者試験では、「政策論文試験」に替えて、課題に対するグループ討議を通してプレゼンテーション能力やコミュニケーション力等をみるための「政策課題討議試験」を行っている。

こうした試験種目のうち、専門性の高い試験種目の内容については、試験専門委員として委嘱した大学の教員及び専門知識を有する各府省の職員等とともに検討を重ねた上で決定している。

また、採用試験の実施後は、その結果分析を通じて試験方法の検討を行うほか、必要に応じて各学校における教科内容の実態調査を実施するなど、採用試験の妥当性及び信頼性を高めるよう常に研究を行っている。

(4)実施状況

ア 概況

平成25年度に実施した採用試験の状況は、表1−2に示したとおりである。

総合職試験(院卒者試験)は、対象となる官職に必要とされる専門知識等に応じて9の区分試験に分けて実施した。同様に、総合職試験(大卒程度試験)は11区分、一般職試験(大卒程度試験)は10区分、法務省専門職員(人間科学)試験は7区分、労働基準監督官採用試験は2区分、一般職試験(高卒者試験)は4区分、一般職試験(社会人試験(係員級))は3区分、皇宮護衛官採用試験(高卒程度試験)、入国警備官採用試験及び航空保安大学校学生採用試験は2区分、刑務官採用試験は6区分、海上保安学校学生採用試験は4区分の試験に分けて、それぞれ実施した(資料1−2−11−2−21−31−91−111−12)。

さらに、一般職試験(大卒程度試験)のうち「行政」の区分試験、一般職試験(高卒者試験)のうち「事務」、「技術」の2区分試験、一般職試験(社会人試験(係員級))のうち「事務」の区分試験、刑務官試験及び税務職員試験については、合格者の地域的偏在を防ぎ、全国各地に所在する官署からの採用に応じられるようにするため、地域別の試験に分けて実施した(資料1−31−61−81−10)。

人事院及び外務省の実施する全試験の申込者総数は135,239人で、前年度に比べると19,992人(12.9%)の減少となった。このうち、大学(大学院)卒業程度の試験は95,023人で、前年度に比べ9,004人(8.7%)減少した。また、高等学校卒業程度の試験では、40,216人で前年度に比べ10,988人(21.5%)の減少となった。

人事院及び外務省の実施する全試験の合格者総数は17,127人で、前年度に比べると6,824人(66.2%)の大幅な増加となった。これは、前年度までは採用予定数の上限値を定める方式で新規採用の抑制が行われていたが、平成26年度の新規採用についてはこの方式をやめたことや、新しい採用試験体系の下で能力・実績に基づく人事管理を推進するため、採用予定数が前年度よりも増加したことによるものである。

申込者数が合格者数の何倍かを示す比率(以下「倍率」という。)は、表1−2のとおりとなった。その内訳は、大学(大学院)卒業程度の試験が7.9倍(前年度15.2倍)、高等学校卒業程度の試験が7.8倍(前年度14.7倍)であり、いずれの試験も前年度を下回った。

図1-1 国家公務員採用試験申込者数(Ⅰ種試験・Ⅱ種試験・Ⅲ種(平成23年度まで)及び総合職・一般職(大卒・高卒)の推移

イ 試験の種類別の状況

主として各府省に共通する官職(係員)を対象とする総合職試験(院卒者試験)、総合職試験(大卒程度試験)、一般職試験(大卒程度試験)及び一般職試験(高卒者試験)における特徴的な事項は、次のとおりである。

(ア) 総合職試験(院卒者試験)

①春に実施した試験(秋に実施した「法務区分」(司法試験合格者を対象とする区分)以外の試験)の申込者数及び合格者数は表1−2のとおり申込者数は3,299人で、前年度に比べ358人(9.8%)減少したが、合格者数は471人となり、前年度に比べ115人(32.3%)増加した。

女性の申込者数は745人で、前年度に比べ148人(16.6%)減少し、申込者全体に占める割合も22.6%で1.8ポイント低下した。また、女性の合格者数は87人で前年度に比べ8人(10.1%)増加したが、合格者に占める割合は18.5%で3.7ポイント低下した(資料1−14)。

②秋に実施した試験(「法務区分」)の申込者数は150人で前年度に比べ55人(57.9%)増加し、合格者数も36人で前年度に比べ1人(2.9%)増加した。

女性の申込者数は42人で、前年度に比べ24人(133.3%)増加し、申込者全体に占める割合も28.0%で9.1ポイント上昇した。また、女性の合格者数は9人で前年度に比べ3人(50.0%)増加し、合格者に占める割合も25.0%となり7.9ポイント上昇した。

③上記①の試験の申込者数及び合格者数について、国、公、私立別の出身大学院をみると、申込者数では国立大学が70.2%、私立大学が25.9%を占め、前年度とほぼ同じ割合であった。一方、合格者数では国立大学が79.4%で、2.7ポイント上昇し、私立大学が18.5%で3.4ポイント低下した(資料1−15)。

(イ) 総合職試験(大卒程度試験)

①春に実施した試験(秋に実施した「教養区分」(既存の試験区分以外の専攻分野の学生や外国の大学の卒業者など多様な有為の人材確保に資するよう、企画立案に係る基礎的な能力の検証を重視した区分)以外の試験)の申込者数は18,949人で、前年度に比べ1,275人(6.3%)減少したが、合格者数は1,282人となり、前年度に比べ268人(26.4%)増加した。

女性の申込者数は6,022人で、前年度に比べ440人(6.8%)減少し、申込者全体に占める割合も31.8%で0.2ポイント低下した。また、女性の合格者数は255人で前年度に比べ20人(8.5%)増加したが、合格者に占める割合は19.9%で3.3ポイント低下した(資料1−14)。

②秋に実施した試験(「教養区分」)の申込者数は1,962人で、前年度に比べ828人(73.0%)増加し、合格者数も92人で前年度に比べ40人(76.9%)増加した。

女性の申込者数は568人で、前年度に比べ252人(79.7%)増加し、申込者全体に占める割合も29.0%で1.1ポイント上昇した。また、女性の合格者数は18人で前年度に比べ11人(157.1%)増加し、合格者に占める割合も19.6%で6.1ポイント上昇した。

③上記①の試験の申込者数及び合格者数について、国、公、私立別の出身大学(大学院を含む。)をみると、申込者数では国立大学が46.8%、私立大学が45.7%を占め、合格者数では国立大学が70.6%、私立大学が25.2%となり、前年度とほぼ同様の傾向を示している(資料1−15)。

(ウ) 一般職試験(大学卒業程度)

①申込者数及び合格者数は表1−2のとおり申込者数は35,840人で、前年度に比べ3,804人(9.6%)減少したが、合格者数は6,017人で3,124人(108.0%)増加した。

女性の申込者数は11,114人で、前年度に比べ1,302人(10.5%)減少し、申込者全体に占める割合は31.0%で若干低下した。また、女性の合格者数は1,722人で前年度に比べ929人(117.2%)増加し、合格者に占める割合も28.6%で1.2ポイント上昇した(資料1−14)。

②申込者及び合格者を学歴別にみると、大学卒業者等の占める割合は、申込者は84.2%、合格者は82.1%であり、大学院修了者等の占める割合はいずれも10%台となり、前年度とほぼ同様の傾向を示している(資料1−17)。

③申込者数、合格者数について、国・公・私立別の出身大学(大学院を含む。)をみると、申込者数では私立大学が54.6%、国立大学が35.9%を占め、合格者数では国立大学が48.8%、私立大学が42.2%となり、前年度とほぼ同様の傾向を示している(資料1−18)。

(エ) 一般職試験(高卒者試験)

①申込者数及び合格者数は表1−2のとおり申込者数は9,752人で、前年度に比べ1,701人(21.1%)増加し、合格者数も1,715人で前年度に比べ903人(111.2%)増加した。

女性の申込者数は3,338人で、前年度に比べ323人(10.7%)増加したものの、申込者全体に占める割合は34.2%で3.2ポイント低下した。また、女性の合格者数は623人で前年度に比べ296人(90.5%)増加したが、合格者に占める割合は36.3%で4ポイント低下した(資料1−14)。

②学歴の状況についてみると、全体に占める高等学校卒業者等(卒業者、在学者、中退者をいう。)の割合は、申込者は47.1%で前年度に比べ5.4ポイント、合格者も38.9%で1.7ポイント低下した。これに対し、専修学校卒業者等(卒業者、在学者、中退者をいう。)の割合は、申込者は46.5%で前年度に比べ4.8ポイント、合格者も55.6%で2.2ポイント上昇した(資料1−19)。

(オ) 点字による試験等の実施結果

①点字による試験は、総合職試験(大卒程度試験)の「法律」区分及び一般職試験(大卒程度試験)の「行政」区分について、実施している。

また、視覚障害の程度によって、総合職試験、一般職試験、財務専門官採用試験、国税専門官採用試験、食品衛生監視員採用試験、税務職員採用試験及び気象大学校学生採用試験について、拡大文字による試験、解答時間の延長等の措置を講じており、さらに、平成25年度から労働基準監督官採用試験を加えることとした。

②平成25年度においては点字試験の申込者はなく、拡大文字試験による試験の申込者は、総合職試験(大卒程度試験)で1人、一般職試験(大卒程度試験)で2人であった。

なお、平成25年度の試験では合格者はいなかった。

(カ) 試験地

一般職試験(大卒程度試験)の第1次試験地について、受験者の利便性に配慮し、「さいたま市」を新設した。

また、一般職試験(社会人試験(係員級))の第1次試験地「盛岡市」、「岡山市」及び「松山市」については、申込者数が少ないことから、代替試験地への利便性等を勘案した上で廃止した。

ウ インターネットによる受験申込み

インターネットによる受験申込みは、受験申込みの利便性の向上及び行政事務の効率化を図る観点から、平成16年度に航空管制官採用試験及び航空保安大学校学生採用試験で導入し、順次、平成22年度まで入国警備官採用試験、皇宮護衛官採用試験、海上保安学校学生採用試験、海上保安大学校学生採用試験、Ⅱ種試験、Ⅰ種試験に対象を広げてきた。

平成25年度は、全ての試験において、インターネットによる受験申込みを導入して2年目となった。その結果、インターネットによる申込者の割合は93.9%(大卒程度・院卒者試験99.5%、高卒程度試験80.8%)となり、前年度に比べ6.5ポイント上昇した。

エ 平成25年度採用試験における出題・実施誤り

総合職試験では、専門試験(記述式)において、設問文の記載を誤る出題誤りがあった。このため、採点に当たり、試験の公平性の観点から、相応の対応処理を行った。また、一般職試験(高卒者試験)では、一試験室で、適性試験において「検査の説明」を読む時間を所定どおり確保せず実施するという誤りがあった。この試験室の受験者に対しては、試験当日、再度適性試験を行った。さらに、航空保安大学校学生採用試験では、一つの試験会場の担当者が、学科試験を受験した8人分の答案を紛失するという事態を生じ、後日、学科試験の再実施を行った。


前(節)へ 次(節)へ
©National Personnel Authority