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第2編《国家公務員倫理審査会の業務》

第4章 公務員倫理をめぐる状況と今後の課題


倫理審査会では、平成12年4月の倫理法等の全面施行以降、各府省と連携しつつ、倫理保持のための各種施策を講じてきた。違反事案数は、前章で述べたとおり、近年はかつてと比べれば比較的低水準となっており、特に倫理法制定の契機となったような重大な違反事案は少なく、倫理審査会の講じてきた施策が一定の効果を上げているものとも考えられる。ただし、違反事案の数は毎年増減を繰り返しながら依然として一定数は発生していることから、いまだ全ての職員に倫理法の精神が徹底されているとは言えない状況にあることは確かであり、引き続き取組を強化していく必要がある。

本編の冒頭で述べたとおり、倫理審査会では、「職員の倫理意識の涵養」、「倫理的な組織風土の構築」、「不祥事への厳正な対応」を三つの主要な倫理保持施策としており、今までの対応状況等を踏まえながら、今後、次のような取組を進めていく。

(1)倫理研修の計画的・定期的な実施

平成25年に行った倫理研修の実施結果に関する調査によれば、平成24年度における各府省の倫理研修の受講者数(延べ人数)の在職者数に占める割合は、倫理審査会が作成した一般職員用自習研修教材の活用等によって、前年度と比較して大幅に増加した(平成23年度91.7%→平成24年度159.1%)が、その一方で、倫理研修の受講状況は府省間でかなりばらつきがあることが認められる。また、前述の職員アンケート調査(図6)によれば、最後に倫理研修を受講してから5年以上経過している職員及び一度も受講したことがない職員は依然13.3%と一定の割合を占めていることが認められる。

職員の倫理意識の涵養のためには、全職員に対して、倫理研修の計画的・定期的な実施の促進を図っていくことが極めて重要であり、倫理審査会としても、利用しやすい各種研修教材の開発・配付に努めるとともに、引き続き、各府省に対して、所属職員に積極的に受講機会を付与するよう求めていくこととしている。その際、倫理法等の違反事案が相対的に地方機関等で多く発生していることに鑑み、各府省の倫理監督官のみならず各地方機関等の長においても、主体的に取組を進めていくことが肝要であると考えている。また、研修の内容面においても、単に倫理法等の知識の付与・確認を行うだけにとどまらず、事例研究やディスカッションを通じて、より高い倫理感の醸成を目指すものにする必要がある。

(2)通報制度の活用推進

通報窓口については、公務員倫理ホットラインのほか、全ての府省で内部通報窓口が設置されており、多くの府省ではこれに加えて弁護士事務所等の外部通報窓口を設けるなどしているが、前述のとおり、その認知度は必ずしも高くなく、通報窓口が十分に活用されているとは言い難い状況にある。

通報制度は、違反事案の早期発見、さらに違反行為に対する抑止効果という面において、倫理的な組織風土の構築のためには極めて有効な制度であり、通報制度が持つこのような効果や、通報者の氏名等が窓口限りにとどめられること、通報したことによる不利益な取扱いが禁止されていることなどについて職員の理解を深めること等を通じて、通報制度に対するマイナスイメージや不安感を払拭し、倫理審査会と各府省が連携して、通報制度が十分に活用されるための環境整備を進めることが重要である。

(3)政策目標とその達成への取組

倫理審査会では、各種の倫理保持施策の効果を測るため、政策評価において測定指標として数値目標を設定している。数値目標の設定に当たっては、でき得る限り高い理想を目指して高い水準に設定しているところであり、数値目標の達成状況を把握しながら、随時、その結果の分析、フィードバックを行って、評価結果を適切に施策に反映させることが重要であると考えている。

来る平成26年度は、倫理審査会が設置され、また、倫理法等が全面施行されてから15周年の節目を迎える。倫理審査会としては、今までの職員の倫理の保持の状況等について十分に検証等を加えながら、公務に対する国民の信頼を確保するという倫理法の目的の達成に向けて、積極的に取り組んでいきたい。


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