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第1編 《人事行政》

【第2部】 東アジア諸国と我が国の公務員制度

はじめに


近年、東南アジア諸国連合(ASEAN)等のアジア諸国においては、それぞれに経済成長や政治の民主化を目指す取組がなされている。特に、経済を発展させるためには、国の内外からの行政への信頼を高めることが求められ、そのためには腐敗をなくし、専門能力を持つ士気の高い公務員が行政を担うよう、欧米型の近代的公務員制度を範としつつ、公正で能率的な仕組みに向けた改革が進められている。

こうした改革の動きの中で、経済成長に成功した我が国の公務員制度に関心が持たれている。その背景には、同じ東アジアの国であり、社会や文化において共通するところがある我が国の公務員が持っている勤勉性、責任感、倫理感を自国の公務員に取り込みたいという期待があるとみられる。

こうしたニーズに対し人事院は、例えば、近年ではベトナムに対し、ホーチミン国家政治学院の国家指導者候補者研修及び公務員研修実施能力強化支援プロジェクトのため、人事官等ハイレベルでの訪問を行い、支援を行うとともに、ベトナムからの調査団・研修員を受け入れている。さらに昨年から、ベトナムにおける公務員採用試験の実施に向けて、我が国の国家公務員採用試験及び試験に基づく採用についての調査団を受け入れている。

また、国際連合、経済協力開発機構(OECD)、アジア開発銀行(ADB)等において、公務員倫理の向上、腐敗防止のための枠組みが作られ、取組が行われているが、これらの取組にも、我が国は積極的に参加してきている。

本稿では、東アジア諸国における公務員人事管理の現状及びこれらの国に対するこれまでの人事院による支援、日中韓人事行政ネットワークの構築、OECD、ADB等における公務員倫理、腐敗防止に関する取組への参加を振り返ることとする。またそのことを通じて、国際的観点から我が国の公務員制度を再検証するとともに、採用試験に基づく情実を排した採用、公務員倫理の確立等、我が国では既に定着し、与件と思われている事柄が、国によっては追求すべき目標となっている事情を踏まえつつ、今後の国際協力の展望を試みることとする。


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