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第1編 《人事行政》

【第2部】 東アジア諸国と我が国の公務員制度

第1章 東アジア諸国等における公務員制度改革の取組と人事院の支援

第3節 国際機関を通じた腐敗防止の取組への貢献

3 ADB/OECDアジア太平洋腐敗対策イニシアティブ

(1)アジア太平洋地域における腐敗対策の取組

アジア太平洋地域の国々においても、社会・経済の発展等に伴い、腐敗が政治的な安定及び経済的な繁栄・成長を阻害する影響を持つことから、腐敗との戦いの必要性を強く認識するようになってきた。そうした中、腐敗防止のため、ADBとOECDが共同で、1999年にマニラ、2000年にソウルで、アジア太平洋地域の30以上の国が参加し、当該地域における腐敗対策に関する会合を開催した。

これらの会合では、腐敗は、グッド・ガバナンスを害し、法の支配を侵食し、経済成長及び貧困削減努力を妨げ、商取引における競争条件をゆがめる広汎な現象であって、道義上及び政治上重大な懸念を提起するものであるとの認識が共有されるとともに、腐敗との戦いは複雑な作業であって社会全ての構成員の関与が必要であり、腐敗と効果的に戦うためには地域内の協力が不可欠であるとの認識が共有された。

2000年のソウル会合において、アジア太平洋地域の国々のために、効果的な国家的・地域的な反腐敗戦略を策定し実施することを支援する枠組みとして、ADB及びOECDの協力の下、アジア太平洋腐敗対策イニシアティブの設立が支持された。あわせて、グッド・ガバナンスの促進、法の支配の強化、企業活動における清廉性の向上、反腐敗努力への市民の参加を促す積極戦略の発展が、腐敗との戦いにおける優先分野であることが確認された。

2001年に東京で開催された第3回会合では、公務員倫理、贈収賄対策及び一般市民の関与という三つの優先分野を柱とした「アジア太平洋腐敗対策行動計画」が取りまとめられ、2002年以降、同イニシアティブ参加国は同計画に基づいた取組を行い、同イニシアティブにおいて定期的にそのレビュー等が行われた。

その後、2003年の国連腐敗防止条約の採択や批准国の増加等を踏まえ、同イニシアティブ発足10年を迎える2010年に戦略方針を策定し、アジア太平洋地域における同条約の実施の拡大支援を優先事項に位置付けた。

同イニシアティブには、現在、日本を含め、アジア太平洋地域の31か国・地域の腐敗対策機関、法執行当局等の関係官庁や関係国際機関等が参加している。関連する会合としては、優先事項を定め参加国の腐敗対策に係る改革を支援することを目的におおむね1年に1回開催される執行委員会会合、専門家と政策立案者を招へいし特定のテーマを設定して議論を行う地域会合、市民団体や民間企業等より幅広い関係者が参加するおよそ3年に1回の地域カンファレンスがある。

(2)人事院の関わり

人事院は、2000年のソウル会合において、我が国の倫理法制定の経緯について発表を行ったほか、近年では、毎年、地域会合及び地域カンファレンスにおいて、公務員の財産開示(2012年)、反腐敗機関強化として我が国における国家公務員倫理審査会の創設(2013年)、反腐敗施策・法の実施として我が国における公務員倫理・懲戒制度の概要(2014年)等、腐敗防止への取組について情報提供や専門的見地からの意見陳述を行うなど、同イニシアティブの取組に積極的に協力を行ってきている。


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