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第1編 《人事行政》

【第2部】 東アジア諸国と我が国の公務員制度

第3章 我が国の公務員制度と今後の国際協力

第2節 今後の国際協力・交流の進め方

2 国際交流等の促進

東アジア諸国の中で公務員制度の整備がある程度進んだ国からは、例えばタイが民間給与実態調査に関する技術協力を求めてきたように、個別の制度整備に関して我が国に対して技術協力、情報提供を求められる場合がある。公務員制度改善のための専門的技術協力については、人事院としては、相手国の要請に応じて多様な協力を柔軟に行っていくこととしたい。

公務員制度は、各国の行政を取り巻く環境や、その国における人事管理の伝統に基づいて成り立っている国内的な制度であるため、他国の制度をそのまま導入することはなじまない面もある。しかしながら、グローバル化が進展する中で、行政分野においても、各国の公務員が他国の状況を適切に認識し、課題解決に向かって相互の意思疎通を進めることが、国際関係の円滑化及びそれぞれの国における行政の質の向上に資することから、国際交流の重要性は増している。各国が、近代的な公務員制度という共通の仕組みの下で人事行政を運用するようになると、同じ人事行政上の課題を抱える国々が協議の場を持ち、連携して課題に対応することは意味を持つ。例えば、欧州連合(EU)では、人事行政に関する大臣会合の下、各国の取組を共有するなど積極的な交流が行われている。また、OECDにおいても、公共ガバナンス委員会の場で、人事行政の分野で各国に共通する課題について情報交換、議論を行い、それぞれの国の人事行政の改善に役立てている。

東アジア諸国では、公務員制度の整備の状況に差が大きく、OECDやEUのような意味での相互交流は難しいが、共通のテーマである採用試験、人材育成、腐敗防止、人事評価などについて、相互交流を図りながら情報交換を行っていくことによって、それぞれが自らの課題を認識し、対応を深めていくことは有意義であると考えられる。

多国間の議論、交流として、人事院は、日中韓人事行政ネットワークを通じ、人事行政分野での交流等を進めてきている。これに加え、近年では、ASEAN公務会議が、日中韓三国を加えた協力の枠組みとして発展してきており、ASEAN諸国の公務員制度の発展や人材育成を目的としたセミナーや合同研修を積極的に実施するなど、各国の人事行政機関同士の相互交流を深めてきており、人事院としても積極的な関与が求められている。今後は、上述の枠組みを積極的に活用し、各国の動向を把握するとともに、各国が関心を持っている採用試験、人材育成等の諸課題について積極的に二国間、多国間の交流を進め、相互理解、信頼関係を深化させていきたい。

特に人材育成の分野では、東アジア各国の公務員の中核的な研修所は、ASEAN公務会議等の枠組みを活用し、外国政府との協力関係を強化することで、人材育成に取り組んでいる。人事院としても、こうした研修所の協力関係に積極的に関与することとする。また、公務員制度の整備の途上にある国への支援を効率的かつ効果的に進めていくためにも、相互理解、信頼関係の深化が重要であり、各国との相互交流の推進はこの面でも重要な意義が認められる。


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