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第1編 《人事行政》

【第2部】 東アジア諸国と我が国の公務員制度

おわりに


近現代の民主国家において、行政の基盤となる人事行政の公正性を確保することは、能率的で民主的な行政を実現するために不可欠と言えよう。このことは、政治や社会の違いを超えて、現代の公務員制度にとって普遍性を持つものであり、東アジア諸国が我が国の公務員制度を参考モデルにしようとする一つの背景がここにある。

実際、欧米型の公務員制度を受け入れた我が国は、明治時代に導入したドイツ型のシステムと第二次世界大戦後に導入した米国型のシステムを我が国の雇用風土の中で融合して活用してきている。こうした日本型人事行政が成立し得ることは、これから欧米の制度を受容しながら自らの工夫で近代化を図らなければならない開発途上国にとって、参考になるところが多い。

国際化の中で、人事行政も国際的な連携が生じる時代になっており、人事院制度や日本型人事行政が公正で能率的な人事行政を実現する普遍性を持つ仕組みの一つであることを諸外国に伝えていくことは、我が国の国際的な信頼を確保することに資するものであり、人事院の重要な役割の一つと考える。

また、東アジア諸国への技術協力の一環として我が国の公務員制度を提示していくに当たっては、押し付けととられないよう関係各国との対話を通じた情報収集、情報発信を行っていくことが重要と考える。

東アジア諸国とは、文化や社会の面で共通するところも多く、これまでも公務員制度について様々な相互交流が行われてきている。本院としては、今後、日中韓人事行政ネットワーク、ASEAN公務会議等を通じ東アジア諸国との交流を一層進めることとし、各国の経済発展や公務員制度の整備の状況を考慮しつつ、必要とされる制度整備や人材育成のための技術支援等に積極的に取り組んでいくこととしたい。


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