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第2編 《国家公務員倫理審査会の業務》


倫理法及び倫理規程の15周年に当たって

〜倫理審査会の取組と今後の課題〜

倫理法及び倫理規程は、平成12年4月に全面施行され、施行15年目を迎えた。この間、倫理審査会は、倫理法の目的とする公務に対する国民の信頼確保に向けて、様々な取組を行ってきた。特に、倫理法制定10周年を契機として、それまでの施策の効果を検証しつつ、①職員の倫理意識のかん養、②倫理的な組織風土の構築、③倫理法等違反への厳正な対応の三つの課題を立て、重点的に取組を進めてきている。

倫理審査会は、今後も、これら三つの課題についての取組を進めていくこととしている。

① 職員の倫理意識のかん養

職員個々人の職務に係る倫理意識をかん養するためには、研修・啓発活動が果たす役割は大きい。倫理審査会は、研修教材の開発などを行うとともに、職員に対し定期的・計画的に倫理研修を実施するよう、各府省等に働きかけを行っている。その結果、平成25年度における各府省合計の倫理研修受講者数は、平成20年度の約4.5倍に当たる42万6,463人となり、職員平均で年に1回以上の倫理研修を受講していることになるなど、かなりの改善が図られてきている。

このように倫理研修については、量的な受講者の数は一定程度確保された状況に達しているものの、府省等によっては倫理研修を長期間あるいは全く受講していない職員も依然として一部にみられることから、そうした状況をなくすため、引き続き府省等への働きかけを行うこととしたい。

倫理研修は、倫理法及び倫理規程に関し必要な知識を各職員が身に付けることによって違反行為を防止することが第一の目的であるが、これに加えて、広い意味での倫理意識を高めるためのものでもあるから、研修内容がそれに資するものとなる必要がある。倫理審査会は、公務員として求められる姿勢や心構え等を含む広い意味での倫理意識を高めることにもつながるよう、このような考え方に沿った内容を一部に取り入れた研修教材を各府省等に配付し、その活用を要請してきた。今後は、研修教材の作成に当たって、国家公務員としての使命感を絶えず問い直し、倫理行動規準にのっとった具体的な行動へと結びつけるような内容を盛り込むなどの工夫、改善を加えることなどの取組を進めることによって、職員の倫理意識の一層の向上を図っていくこととしたい。

② 倫理的な組織風土の構築

公務員倫理の徹底を図るためには、職員個々人の倫理意識をかん養するだけでなく、職場において倫理的な組織風土を構築していくことが求められる。そのための重要な取組の一つとして、倫理審査会は、通報窓口の整備と周知に取り組んできた。通報窓口の整備については、倫理審査会に置かれる「公務員倫理ホットライン」に加え、既に全ての府省等に通報窓口が設置されている。また、多くの府省では弁護士事務所等の外部窓口も設置されている。今後は、通報窓口の周知と活用について取組を進めていきたい。通報窓口についてはマイナスイメージや不安感があるため利用しにくいという意見も聞かれる。これに対し、職員に通報制度の意義について理解を求めるとともに、通報者保護の徹底を図ることなどにより利用しやすく安心して通報できる仕組みを構築していくこととしている。

また、「公務員倫理ホットライン」では国民からの通報も受け付けている。公務員倫理の徹底に資するには、通報窓口の存在が国民に広く認識されることも必要となる。今後は、国民に対して倫理法・倫理規程の内容や通報窓口の存在を含む倫理審査会の活動が広く理解されるよう取組を進めていくこととしたい。

さらに、倫理的な組織風土の構築のためには、幹部職員が率先して高い倫理感に基づいて行動することなどによって、組織として不正を許さない強い姿勢を発信し続けることも重要である。この点については、国家公務員倫理週間などの機会を捉えて、幹部職員が倫理保持に関するメッセージを発信するよう要請することなどに取り組んでおり、こうした取組の重要性に対する認識が公務の各職場に浸透するよう、引き続き各府省等に対する働きかけを行っていくこととしたい。

③ 倫理法等違反への厳正な対応

公務員倫理については、違反行為が生じないようにすることが最も重要である。しかしながら一旦、違反行為が起こってしまった場合には、これに厳正に対応する必要がある。倫理審査会としては、各府省等への指導や、再発防止策の推進、違反事案の周知、調査の支援等の活動について取り組んでいる。今後もより一層これらの取組を進めることにより、違反行為に対して厳正な対応を実現できるよう努めていきたい。

倫理法制定から15年が経過し、倫理制度は職員に定着してきている。倫理審査会としては、さらに三つの課題に対する取組を進めることを通じて、公務に対する国民の信頼を確保していくこととしたい。清廉で効率的な公務員集団の存在は、グローバル化が進む世界において求められるスタンダードのインフラの一つである。職員、各府省等はもとより、国民各般、事業者等も含めて社会全体で公務員倫理への理解が醸成されるよう、引き続き取組を進めていくこととしたい。


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