第1編 《人事行政》

【第1部】 人事行政この1年の主な動き

第2章 職員の勤務環境等

1 フレックスタイム制の拡充

(1)勧告・報告

平成27年8月6日、人事院は国会及び内閣に対し、一般職の職員の勤務時間について報告するとともに、フレックスタイム制の拡充について勧告を行った。その内容は以下のとおりである。

ア 勧告・報告のポイント

適切な公務運営の確保に配慮しつつ、原則として全ての職員を対象にフレックスタイム制を拡充(平成28年4月実施)

  • ・ フレックスタイム制の適用を希望する職員から申告が行われた場合、公務の運営に支障がない範囲内において、始業及び終業の時刻について職員の申告を考慮して、勤務時間を割り振る
  • ・ 組織的な対応を行うために全員が勤務しなければならない時間帯(コアタイム)等を長く設定するなど、適切な公務運営の確保に配慮
  • ・ 育児又は介護を行う職員に係るフレックスタイム制は、より柔軟な勤務形態となる仕組み

イ 勧告・報告の概要

(ア) フレックスタイム制の拡充の必要性

近年、ワーク・ライフ・バランスの重要性についての意識が我が国全体で高まっていることや、価値観やライフスタイルの多様化とともに働き方に対するニーズが多様化していること等から、より柔軟な働き方を推進するための取組が進められている。

平成26年10月17日には、各府省を構成員とする女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会において「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」が決定され、この中で、各府省等における適切な公務運営を確保しつつ、幅広い職員がより柔軟な働き方が可能となるようなフレックスタイム制の導入について、人事院に対し、検討の要請がなされた。

人事院としては、職員に柔軟で多様な勤務形態の選択肢を用意することは、職員がその能力を十分に発揮し、高い士気をもって効率的に勤務できる環境を整備することとなり、ひいては、公務能率の一層の向上にも資すること、ワーク・ライフ・バランスの実現が求められている中で、柔軟な勤務形態を導入し、働きやすい環境を整備することは、職員の仕事と育児や介護等との両立を推進するとともに、人材確保にも資することから、公務の運営に支障がないよう十分に配慮した上で、原則として全ての職員を対象に、フレックスタイム制を拡充することが適当であるとの結論に至った。

(イ) フレックスタイム制の拡充の概要等

① 概要

  1. ⅰ 原則として全ての職員をフレックスタイム制の対象とし、適用を希望する職員から申告が行われた場合、各省各庁の長は、公務の運営に支障がないと認められる範囲内において、始業及び終業の時刻について職員の申告を考慮して、4週間ごとの期間につき1週間当たり38時間45分となるように当該職員の勤務時間を割り振ることができる。

    コアタイムは、適切な公務運営を確保する観点から、月曜日から金曜日までの毎日5時間設定する。

  2. ⅱ 育児又は介護を行う職員については、当該職員が育児や介護の時間を適切に確保できるようにすることを支援するため、勤務時間の割振り単位期間を1週間から4週間までの範囲内において選択して設定でき、日曜日及び土曜日に加えて、月曜日から金曜日までの5日間において、週休日を1日設けることができる。また、コアタイムについては、毎日2時間以上4時間30分以下の範囲内で設定する。
  3. ⅲ 現行のフレックスタイム制の適用対象とされている職員についても、その申告により上記ⅰ及びⅱの新たなフレックスタイム制を適用することができる。また、交替制等勤務職員その他業務の性質上特定の勤務時間で勤務することを要する職員として規則で定める職員は、新たなフレックスタイム制の対象から除外する。

② 適用に当たっての考え方

フレックスタイム制は、適切な公務運営を確保しつつ、より柔軟な勤務形態の下で職員の能力発揮や公務貢献が期待できるものであることから、対象職員のうち、希望する職員には可能な限り適用するよう努めることが基本となる。なお、業務の性質上適用が困難な場合、必要な体制を確保できない場合等、公務の運営に支障が生じる場合には適用ができないとすることとなる。

適用する場合の勤務時間の割振りについては、公務の運営に支障が生じない範囲内で、当該職員の申告を考慮しつつ、勤務時間帯や勤務時間数を割り振ることとなる。また、育児又は介護を行う職員については、できる限り、当該職員の申告どおりに割り振るよう努めることが適当である。この場合、フレックスタイム制の活用状況を踏まえ適切な勤務時間管理の工夫等を行うことが求められる。

(ウ) フレックスタイム制を活用していくための留意点

フレックスタイム制が適用される職員において、一人一人が責任感と自律心を持って業務を遂行することにより、これまで以上に効率的な仕事の進め方やより柔軟な働き方が推進され、もって国民に対して一層効率的な行政サービスが提供されることが期待される。

また、フレックスタイム制の枠組みをいかすためには、フレックスタイム制の実施に伴い超過勤務が増加しないようにする必要があるのみでなく、超過勤務を縮減する方向での働き方を推進していくことが重要となる。

(エ) フレックスタイム制の拡充の実施時期

フレックスタイム制の拡充は、平成28年4月1日から実施する。

(2)勧告の取扱い等

ア 勧告の取扱い

政府は、給与関係閣僚会議を平成27年8月7日及び12月4日に開催して給与勧告と併せて勤務時間の改定の勧告の取扱い等を協議し、同年12月4日の閣議決定において、人事院勧告どおり、平成28年度から、適切な公務運営の確保に配慮しつつ、原則として全ての職員を対象にフレックスタイム制を拡充するものとされた。これを受けて勤務時間法改正法案が国会に提出され、国会での審議を経て、平成28年1月20日に可決・成立した。同法は、同月26日に公布され、同年4月1日から施行された。

イ 規則の改正等

人事院は、フレックスタイム制の勤務時間の割振りの基準等、勤務時間法改正法において規則に委任されている事項等の必要な事項を定めるため、規則15−14(職員の勤務時間、休日及び休暇)等の関係規則の一部を改正する規則を平成28年2月5日に公布し、勤務時間法改正法の施行に併せて同年4月1日から施行した。