第1編 《人事行政》

【第1部】 人事行政この1年の主な動き

第3章 多様な人材の確保・育成等

1 人材の確保

(1)人材確保策の拡充

行政がその課題に的確に対応していくためには、有為な人材を計画的かつ安定的に確保することが重要であり、より幅広い層の者に、国家公務員採用試験を受験してもらうことが必要である。

平成27年度の「人材確保活動」及び「啓発活動」(以下「人材確保活動等」という。)については、平成27年度大学卒業・修了予定者から民間企業の採用選考活動が8月1日以降に遅らせて開始されることを踏まえ、国家公務員採用試験の日程についても繰り下げることとしたことから、これに合わせて実施することとなったが、各府省・大学等と連携・協力し、改善を図りつつ積極的な取組を行った。

人材確保活動等の実施に当たっては、若者の地元志向や長時間労働忌避の傾向等がみられること、公務の魅力が学生等に十分に伝わっていないとの指摘があることを踏まえ、国家公務員の仕事の実情、やりがい、面白み、勤務の実態、キャリアパス等について具体的イメージを持ってもらえるよう、各府省と連携して、積極的に広報し、公務の魅力の発信を行った。

また、地方における誘致活動の拡充・強化策として、地方事務局(所)と連携して、大学懇談会の拡充のほか、大学教授等とのネットワーク作り及び関係強化、学生等を対象とした新たな取組など、各管内出先機関と協力した取組を積極的に推進した。

さらに、多様な有為の人材を公務に確保するために、様々な媒体を利用して情報を得ている学生等に対して、国家公務員採用試験の受験を働きかけることが有効であることから、国家公務員試験採用情報NAVI(人事院ホームページ)及びメールマガジンの内容の充実を図るとともに、新たに国家公務員試験採用情報Facebookによる情報発信等を開始した。

(2)平成27年度採用試験日程の繰下げ

民間企業の採用選考活動について、学生の学修時間の確保や教育の充実、海外の大学等への留学等を推進するため、平成27年度卒業・修了予定者から8月1日以降に遅らせて開始されることを踏まえ、国家公務員採用試験についても、平成27年度の日程を繰り下げて実施することとし、平成26年1月にはその概要を公表した。

その後も、平成27年度試験の日程の変更について、人事院ホームページ等において詳細に情報提供を行いつつ、各府省、受験者等に向けて、その内容を改めて周知するなど円滑な試験実施に向けた取組を経て、平成27年度においては、総合職試験(法務区分及び教養区分を除く。)について、第1次試験以降の日程を平成26年度までの日程から1か月程度繰り下げた日程により実施し、一般職試験(大卒程度試験)と専門職試験(大卒程度試験)については、総合職試験の日程の変更に併せて第2次試験日及び最終合格者発表日を若干繰り下げた日程により実施した。

平成27年度国家公務員採用試験(総合職試験)の日程

申込受付期間(インターネット) 4月1日(水)〜4月8日(水)
第1次試験日 5月24日(日) 〔平成26年度は4月27日(日)〕
第2次試験日(筆記) 6月28日(日) 〔平成26年度は5月25日(日)〕
第2次試験日(政策課題討議・人物) 7月2日(木)〜7月17日(金) 〔平成26年度は5月27日(火)〜6月13日(金)〕
最終合格発表日 7月31日(金) 〔平成26年度は6月23日(月)〕

(3)総合職試験における外部英語試験の活用

人事院では、行政の国際化を踏まえ、従来から、国家公務員採用試験において、英語の出題割合を増やしているほか、平成24年度から、総合職試験の一部の試験種目(政策課題討議試験・政策論文試験)の出題に英文資料を使用するなど、英語試験の強化に取り組んでいる。

業務の国際化が進む中にあって、国家公務員採用総合職試験からの採用者が従事する政策の企画立案等の業務の遂行に当たっては、基礎的な英語能力を備えていることが望ましいと考えられることから、人事院は、採用試験において、読む、書く、聞く、話すといった実践的な英語能力を検証することとし、平成27年度以降に実施する総合職試験の全ての試験区分において、実践的な英語能力を測定できる外部の英語試験を活用することとした。

平成27年度の総合職試験において、英語試験による加算措置を受けた合格者数は、院卒者試験が446人(65.3%)、大卒程度試験が828人(68.8%)で全体では1,274人(67.5%)となっている。

総合職試験における外部英語試験の活用方法等

1 対象となる試験区分

総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)の全ての試験区分

2 活用する英語試験

TOEFL(iBT)、TOEIC、IELTS、実用英語技能検定(英検)の4種類

3 活用方法

(1)対象となるスコア等と加算点

活用対象となる英語試験のスコア等を有することが確認された受験者に対し、最終合格者決定の際に、有するスコア等に応じて総得点に以下のとおり加算を行う

TOEFL(iBT) TOEIC IELTS 英検
15点加算 65以上 600以上 5.5以上
25点加算 80以上 730以上 6.5以上 準1級以上

(2)スコア等の有効期間

試験実施年度の4月1日から遡って5年前の日以後に受験した英語試験のスコア等を有効とする(第2次試験(人物試験)の際に確認)

(4)総合職試験(大卒程度試験)「政治・国際」区分等の見直し

行政課題の複雑化、グローバル化が進展する中、既存の専門分野にとらわれることなく、多様な有為の人材を確保していくことが不可欠となっている。また、近年、社会全体として女性の登用拡充の機運が高まっており、公務においても女性の採用の拡大が重要な課題となっている。

このような状況を踏まえ、法律や経済といった専攻分野以外の分野からも、公務に期待される能力を有する女性を幅広く採用できるよう、多様な受験者が受験しやすいものにする観点から、平成28年度より、総合職試験(大卒程度試験)「政治・国際」区分における専門試験の試験内容を、政治学又は国際関係を専攻する受験者の専門分野を重視した内容に見直すこととした。平成28年度の採用試験の実施に向けて、人事院ホームページで試験内容の見直しについて情報提供するとともに、見直しの概要をまとめたパンフレットを合同業務説明会や公務研究セミナーなど各種イベントにおいて配付するほか、政治学又は国際関係の学部を有する大学を中心とした全国の様々な大学に送付すること等を通じて、政治学又は国際関係を専攻する者に総合職試験を受験してもらえるよう積極的な周知活動を行っている。

なお、総合職試験(院卒者試験)「行政」区分の専門試験についても、「選択Ⅰ(政治・国際系)」において同様の見直しを行うこととした。

平成28年度以降の総合職試験(大卒程度試験)「政治・国際」区分の試験内容

1 専門試験(多肢選択式)

[必須問題]

政治学⑩、国際関係⑩、憲法⑤

[選択問題]

次の8科目30題から任意の15題を選択して解答

行政法⑤、民法③、経済学③、財政学③、経済政策③、行政学⑤、国際法⑤、国際事情③

※ ○内の数字は出題予定数。

2 専門試験(記述式)

次の8題のうち3題を選択して解答

政治学、行政学、憲法、国際関係A、国際関係B、国際法、公共政策A、公共政策B