第1編 《人事行政》

【第2部】 在職状況(年齢別人員構成)の変化と人事管理への影響

はじめに

我が国では、これまで官民を問わず、仕事に必要な人材を適宜に組織の内外から公募採用することを基本とする米国型の人事管理とは異なり、新規学卒者を一括採用し、ジョブローテーションを繰り返しながら計画的に部内育成を図り、管理職員や幹部職員として選抜していく人事管理が一般的に行われてきている。このような人事管理システムの下では、従業員(職員)は採用から定年までの間に勤務年数に応じて実務能力を高め、実績を積み重ねて昇進することが基本となっており、組織によって年数に幅はあるものの、結果として各役職段階の第一選抜者は、課長ならおおむね何歳、部長ならおおむね何歳といったように、年齢又は経験年数と役職段階に一定の関係をみることができる場合も多い。このような目安があることは、従業員(職員)にとっては将来の昇進イメージを持つことにつながり、使用者にとっても昇進管理の基本的枠組みを設けることができるというメリットがある。一方、ある年齢層は従業員(職員)が過剰におり、ある年齢層は不足しているといったように年齢別人員構成上の偏り(山や谷)が存在する組織では、組織としての経験知の蓄積やノウハウの継承が円滑に進まず業務の継続性に支障が生じるおそれがあるだけでなく、昇進の停滞による士気の低下や管理職要員としての必要な能力開発への支障など人事管理に重大な影響を生ずるおそれがある。

我が国の行政を担う国家公務員の在職状況は、昨年8月の給与勧告時の国会及び内閣に対する報告(別紙第5の「公務員人事管理に関する報告」)において問題提起したように、40歳台と50歳台の職員の割合が20歳台と30歳台の職員の割合を相当に上回るという大きな「山」と「谷」を持つ人員構成になっている。そのため、今後20年間近くは現在の40歳以上の職員が大量に定年退職していくことになり、このままの姿で20年後を想定すると、公務で経験を積んだ管理職員やベテラン実務者が極めて少なくなることになる。

本報告では、このような年齢別人員構成の偏りがなぜ生じてきているか、とりわけ若年層が極端に少ない人員構成が公務の人事管理や業務遂行にどのような影響を与えているのか、また、各府省はそれに対しどのような取組を行っているのかについて考察し、各府省がこのような人員構成上の偏りに対応するための人事管理上の課題を抽出した上で、10年後、20年後の公務の在り方を見据えて能率的で活力ある公務組織を維持していくための対応について、現時点で考えられる種々の問題提起を行うこととしたい。