第1編 《人事行政》

【第2部】 在職状況(年齢別人員構成)の変化と人事管理への影響

第1章 国家公務員の在職状況(年齢別人員構成)の変化と課題

第1節 国家公務員の在職状況の変化

4 在職状況が変化した要因

上記のように、本府省における在職状況を全府省合計のデータでみると、高齢層在職者の増加は認められるが、若年層の採用も毎年一定数が確保されており、本府省における年齢別の在職状況は一応バランスがとれたものとなっている。

一方、地方機関における年齢別人員構成は、40歳以上の在職者においては50歳台前半の在職者が増加しているのを除くと大きな変化はみられないが、40歳未満の在職者数は大幅に減少しており、10年前とは全く異なっている。50歳台の在職者数が増加した背景には、戦後の急激な行政機構の拡大等に伴い大量採用した職員が昭和50年代から平成初頭にかけて退職し、その後補充のために採用された世代が現在40歳台や50歳台に差し掛かっていることや、退職管理の見直しに伴う在職期間の長期化により50歳台の早期退職者数が減少していること等が挙げられる。

また、30歳台以下の在職者が大幅に減少している背景には、在職期間の長期化に伴い早期退職者数が減少したため新規採用の枠が減少する中で、一部の府省で組織の大幅な縮小再編が行われたこと、多くの府省が定員規模に応じて地方機関に傾斜的に削減を配分する一方で、本府省と比べて地方機関における増員要求は認められにくいため、本府省の定員は確保される反面、地方機関の定員は大幅に減少してきていることが挙げられよう。とりわけ、平成18年度から平成22年度にかけて実施された定員純減計画や平成23年度から平成25年度にかけて実施された新規採用抑制の結果、20歳台半ばから後半の大卒、20歳台前半の高卒の在職者が非常に少なくなっている。

なお、公務員総人件費削減の一環として実施された平成23年度からの新規採用抑制は、平成26年度以降、学生の就職活動への影響や組織の活性化の観点から解除され、現在は定年退職者の後補充相当分を中心に定員の範囲内で採用が可能となっている。そのため、各地方機関においても必要な新規採用が行われつつある。また、今後は山の世代が大量に離職期を迎えることにより、再任用や定員削減を考慮してもなお一定数の新規採用が不可欠となるため、各府省は、地方機関における将来の行政の現場を担う新規採用者数の回復に充てたいとの意向を有している。

諸外国における年齢構成の変化と原因

英国、米国、ドイツ及びフランスにおいても、国家公務員の在職状況が変化している。

英国では、50歳以上の職員の割合が2006年に約28%であったものが、2015年には約40%に増加している。米国では、職員の平均年齢が1992年に42.8歳であったものが2014年には45.6歳と2.8歳上昇しており、50歳以上の職員の割合も約45%となっている。また、ドイツでは、職員の平均年齢が2000年に43.1歳であったものが2014年には45.8歳と2.7歳上昇しており、45歳以上の職員の割合も約61%となっている。フランスでも、50歳以上の職員の割合が1992年に約20%であったものが、2013年には約34%となっている。

このように各国とも高齢層職員の割合が増加し、平均年齢も上昇している。これは、日本と同様、各国、各機関の事情により以前より職員数が多かった山の世代の高齢化、公務員数又は人件費の削減圧力の下での採用凍結・抑制、年金支給開始年齢の引上げに伴う退職年齢の上昇等が、複数の国において主な要因と考えられている。

一方、例えば、英国では、従来は日本と同様に若くして採用された後、年金支給時期まで一つの組織で勤め上げることが一般的であったものが、一定の年齢層以下の年代では労働市場の流動化が進み人材確保競争が熾烈化する中で、勤務条件面で柔軟に対応できない各府省は困難に直面したといった事情があり、ドイツでは、1990年の東西ドイツ統合により公務員数が増加したことに伴い、財政事情の悪化に対応するため行政改革として公務員数の削減が行われたという事情があるなど、それぞれの国に特有の事情もある。