第1編 《人事行政》

【第2部】 在職状況(年齢別人員構成)の変化と人事管理への影響

第3章 在職状況の変化がもたらす課題と人事管理上の対応

第2節 課題と人事管理上の対応

5 再任用の活用に関する課題

第1章で述べたように、将来的に年金支給開始年齢が65歳になることを踏まえ、多くの府省では、今後、再任用職員のモチベーションを維持しつつ、中核的・本格的な仕事を担わせることで、定年前と同様に堅実な業務遂行に当たらせる必要があると考えている。一方で、各府省は、フルタイム再任用を本格的に活用するための課題として、再任用職員の定年時点でのマインドの転換やモチベーションの維持、経験や能力と仕事のマッチング、職場での人間関係等を挙げており、そのためには再任用に際しての能力・適性のチェックと職員のモチベーションの維持が重要であるとしているほか、新規採用も一定数を確保できるよう必要な定員を過渡的に措置することが必要であるとしている。

(1)フルタイム再任用の本格的活用に資する定員上の工夫

現在、国家公務員の雇用と年金の接続は、当面の措置として、再任用希望者を原則としてフルタイム官職に再任用するものとされているが、現状では、希望に反して短時間勤務となる再任用職員が一定割合存在するほか、再任用職員の職務が補完的であるといった状況となっている。しかしながら、特に地方機関では若年層や組織によっては中堅層までも極端に少ない人員構成となっている状況において、今後20年間にわたって多くの職員が定年に達することになる。そのため、高齢層が過去から蓄積してきた行政の現場における技能やノウハウの散逸が懸念されており、行政の継続性の観点から中堅層や若年層への継承が課題となっている。こうした中で、国においても民間企業と同様にフルタイム中心の勤務を実現することを通じて、再任用職員の能力及び経験を職務執行の中で本格的に活用していくことが不可欠である。再任用職員にとっても、現在のような補完的な再任用の運用では、公務能率や職員の士気の低下、生活に必要な収入が得られないなどの問題が深刻化するおそれがある。

また、平成38年度にかけて年金支給開始年齢が段階的に65歳に引き上げられることにより、今後、各府省においては、再任用希望者が増加していくことが見込まれること等を考慮し、それぞれの定員事情や人員構成の特性等を踏まえた計画的な人事管理に努めるとともに、当面、再任用職員の能力及び経験を有効に活用できる配置や組織内での適切な受入体制の整備等を進める必要がある。これらの取組に当たっては、民間企業と異なり国の場合は厳格な定員管理があるため困難な面もあるが、上記のような問題に対応する必要性が高まっていることから、フルタイム中心の勤務の実現に向けた一層の工夫が求められる。

将来の行政を担う新規採用者について中・長期的に人員構成を平準化するために必要な数を毎年確保しつつ、人員構成上の山を形成している高齢層職員が今後大量にフルタイム勤務を希望した場合の過渡的な定員増に対応できるよう、例えば、向こう数年間過渡的に必要となる定員数を算出して前倒しで措置し、毎年必要数に限り使用を認めるとともに、不要となった際には回収するような定員上の工夫について検討が必要である。

人事院としては、引き続き公務内外における高齢期雇用の実情等の把握に努めつつ、各府省において再任用職員の能力及び経験の一層の活用が図られるよう取り組むとともに、意見の申出を踏まえ、雇用と年金の接続の推進のため、関連する制度を含め、適切な措置がとられるよう、引き続き必要な対応を行っていくこととしたい。

(2)再任用職員の本格的活用に向けた取組

各府省における再任用職員としての採用については、定員上の制約から希望に反して短時間勤務となるものを除けば職員の希望に応じて行うことが基本であり、また、その職務は、定年時における役職や級格付に応じて係長級や係員に機械的に決定される場合がほとんどとされる。現在、再任用に関しては、定年時点でのマインドの転換やモチベーションの維持、経験や能力と仕事のマッチング、職場での人間関係等が各府省において課題となっている。このため、今後、再任用を本格的に活用するためには、各府省が再任用を行うに際し、再任用後の役割や処遇を研修の機会等を通じて人事担当部局から情報提供し、意識の切替えを促していくことや、再任用希望者一人一人の能力や適性をしっかりチェックした上で任用を行うことが大切である。人事院としても、各府省がこうした研修を円滑に実施できるようどのような支援が可能か検討していきたい。

あわせて、再任用を希望する職員に対しては、再任用後に期待される役割や心構え等について、定年前の段階から十分に理解させておくとともに、再任用職員を受け入れる部署においても、再任用職員の能力及び経験の本格的活用に向けて管理職員等の意識改革に取り組むことなどにより、再任用職員の意欲の向上を図ることが重要である。また、各府省において再任用後の勤務実績に応じてより上位の職務の級に格付すること等も考えられる。

なお、再任用職員を本格的に活用するためには、その有する専門性に基づき即戦力となるようなポストに配置することが適当と考えられることから、各府省において、職員の専門性を強化するための長期的な人事管理に努める必要がある。さらに、例えば、50歳台後半の職員について、再任用後に従事することが見込まれる業務を念頭に置いて、特定分野の専門性を高めるような人事配置を行うことも考えられる。