●信頼の喪失の背景にある構造要因 いろいろ不祥事があって信頼が失われたわけだが、過去にもロッキード事件やリクルート事件はあった。ここへきて行政への信頼の低下に直結しているのは、90年代以降の経済政策の失敗で、官僚機構に任せられなくなったこともあるのだろう。 90年代に何が起きたのか。グローバリゼーションやITの導入で、経済活動の範囲が大きく広がり、情報があっという間に飛び交うことになった。したがって、企業も国民経済も、速く激しい変化に巻き込まれざるを得なくなった。たとえばIBMなどの大企業がBest and brightestを集めても、変化を読みきることはできない。最近の典型的な例で言うと、FTTHで Fiberにみんなこぞって投資したが、今度はADSL、その次はワイヤレス通信が主流になっていく。変化は読み切れるものではなく政策も一定の失敗を前提に考えないといけない。 その場合、人は流動化せざるを得ない。その人材を、どう次の職場につなげていくかが重要になる。さらに、そういう思い切った判断をしてリスクを取らないと、経済の成長や企業の成長は見込めない。失敗すれば責任を取ってトップが交代して思い切った転換が出来るようにする必要がある。このような柔軟なシステムを国民経済全体として持てるかをめぐって、国家間で新しい制度間競争をしている。「官僚たちの夏」の時代のようにBest and Brightestを集めて考えればすむのではなく、市場への介入をやめマーケットの声を聞くこと、リスクをどう管理するかということが大事にと変わってきた。ところが、残念ながら、これまでの日本の政策形成システムはそれには応じられなかったということだろう。