VDT作業従事職員に係る環境管理、作業管理及び健康管理について
(平成14年12月16日勤職―346)
(人事院事務総局勤務条件局長発)
 
 標記については、昭和61年6月14日職福―341職員局長通知(以下「昭和61年VDT作業に係る指針」という。)によって行うこととしてきましたが、近年、国の職場における情報技術化の急速な進展に伴い、VDT作業が広く行われるようになり、職場環境、作業形態等VDT作業をめぐる状況の変化に対応するとともに、この間の医学的知見を踏まえ、別添「VDT作業従事職員に係る環境管理、作業管理及び健康管理の指針」のとおり定めたので、今後はこれによってください。これに伴い、昭和61年VDT作業に係る指針は廃止します。
 
以   上
 
 
 
(別添)
 
VDT作業従事職員に係る環境管理、作業管理及び健康管理の指針
 
1 はじめに
  VDT作業における環境管理、作業管理、健康管理等が適正に行われるためには、健康管理者、職場の管理監督者、VDT作業に従事する職員(以下「従事職員」という。)の協力の下、健康管理のための諸活動を計画的かつ組織的に進めていく必要がある。
  また、従事職員がその趣旨を理解し、積極的に基準の履行に努めることが極めて重要であるので、適切な健康管理教育を実施することが不可欠である。
  なお、本指針は標準的なVDT作業を対象としたものであるので、各職場ごとの健康管理について意見を聞く場等を利用し、一定期間ごとにその作業実態に応じ、評価、見直しを行うことが重要である。
 
2 対象となる作業
  この指針は、従事職員に係る環境管理、作業管理及び健康管理を対象とする。
  指針にいうVDT作業とは、ディスプレイ、キーボード等により構成されたVDT機器を使用して、データの入力・検索・照合等、文書・画像等の作成・編集・修正等、プログラミング、監視等を行う作業をいう。
  VDT作業は、別紙「VDT作業の作業区分及び作業の種類」により作業区分A、B及びCに区分し、従事職員に係る環境管理、作業管理及び健康管理は、その従事する作業区分又は作業の種類に応じて行う。
 
3 環境管理
  作業区分A及びBに該当する作業に従事する職員の環境管理を以下のとおり行うこととし、作業区分Cに該当する作業に従事する職員については、これらに準じて取り扱うこと。
 (1) 照明及び採光
  ア 室内は、できるだけ明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。
  イ ディスプレイを用いる場合のディスプレイ画面上における照度は500ルクス以下、書類上及びキーボード上における照度は300ルクス以上とすること。
    また、ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること。
  ウ ディスプレイ画面に直接又は間接的に太陽光等が入射する場合は、必要に応じて窓にブラインド又はカーテン等を設け、適切な明るさとなるようにすること。
 (2) グレアの防止
   ディスプレイについては、必要に応じ、次に掲げる措置を講じること等により、グレアの防止を図ること。
  ア ディスプレイ画面の位置、前後の傾き、左右の向き等の調整を行うこと。
  イ 反射防止型ディスプレイを用いること。
  ウ 間接照明等のグレア防止用照明器具を使用すること。
  エ その他グレアを防止するための有効な措置を講じること。
 (3) 騒音の低減措置
   VDT機器及び周辺機器から不快な音が発生する場合には、騒音の低減措置を講じること。
 (4) その他
   換気、温度及び湿度の調整、空気調和、静電気除去、休憩等のための設備等について人事院規則10―4(職員の保健及び安全の保持)第15条に定める措置を講じること。
 
4 作業管理
  作業区分A及びBに該当する作業に従事する職員の作業管理を以下のとおり行うこととし、作業区分Cに該当する作業に従事する職員については、これらに準じて取り扱うこと。
 (1) 作業時間等
  ア 1日の作業時間
   (ア) 作業区分Aに該当する作業に従事する職員
     作業区分Aに該当する作業に従事する職員については、VDT作業以外の作業を組み込むこと又は他の作業とのローテーションを実施することなどにより、1日の連続VDT作業の時間が短くなるように配慮すること。
   (イ) 作業区分Bに該当する作業に従事する職員
     作業区分Bに該当する作業に従事する職員については、同様にVDT作業が過度に長時間にわたり行われることのないように指導すること。
  イ 一連続作業時間及びVDT作業に従事しない時間
   (ア) 「単純入力型」及び「拘束型」
     「作業の種類」の「単純入力型」及び「拘束型」に該当する作業に従事する職員については、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10〜15分のVDT作業に従事しない時間を設け、かつ、一連続作業時間内において、1、2回程度の小休止を取らせるようにすること。
   (イ) (ア)以外の型
     「作業の種類」の「単純入力型」及び「拘束型」以外の型に該当する作業に従事する職員については、同様にVDT作業に従事しない時間及び小休止を取るよう指導すること。
  ウ 業務量への配慮
    従事職員の疲労の蓄積を防止するため、個々の従事職員の特性を十分に考慮した無理のない適度な業務量となるよう配慮すること。
 (2) VDT機器等
   VDT機器を導入する際には、従事職員への健康影響を考慮し、作業に最も適した機器を選択し導入すること。
  ア デスクトップ型機器
   (ア) ディスプレイ
     ディスプレイは、次の要件を満たすものを用いること。
    @ 目的とするVDT作業を負担なく遂行できる画面サイズであること。
    A フリッカー(ちらつき)は、知覚されないものであること。
    B ディスプレイ画面上の輝度又はコントラスト(輝度対比)は、従事職員が容易に調整できるものが望ましい。
   (イ) 入力機器(キーボード、マウス等)
    @ 入力機器は、次の要件を満たすものを用いること。
     a キーボードは、ディスプレイから分離して、その位置が従事職員によって調整できるものが望ましい。
     b キーボードのキーは、文字が明瞭で読みやすく、キーの大きさ及びキーの数がキー操作を行うために適切であること。
     c マウスは、使用する者の手に適した形状及び大きさで、持ちやすく操作がしやすいこと。
     d キーボードのキー及びマウスのボタンは、ストローク(押圧距離)及び押下力が適当であり、操作したことを従事職員が知覚し得ることが望ましい。
    A 目的とするVDT作業に適した入力機器を使用できるようにすること。
    B 必要に応じ、パームレスト(リストレスト)を利用できるようにすること。
  イ ノート型機器
    目的とするVDT作業に適したノート型機器を適した状態で使用できるようにすること。
   (ア) ディスプレイ
    ディスプレイは、前記アの(ア)の要件に適合したものを用いること。
   (イ) 入力機器(キーボード、マウス等)
    @ 入力機器は、前記アの(イ)の要件に適合したものを用いること。ただし、ノート型機器は、通常、ディスプレイとキーボードを分離できないので、小型のノート型機器で長時間のVDT作業を行う場合については、外付け キーボードを使用することが望ましい。
    A 必要に応じて、マウス等を利用できるようにすることが望ましい。
    B 数字を入力する作業が多い場合は、テンキー入力機器を利用できるようにすることが望ましい。
  ウ 携帯情報端末
    携帯情報端末については、長時間のVDT作業に使用することはできる限り避けることが望ましい。
  エ ソフトウェア
    ソフトウェアは、次の要件を満たすものを用いることが望ましい。
   (ア) 目的とするVDT作業の内容、従事職員の技能、能力等に適合したものであること。
   (イ) 従事職員の求めに応じて、従事職員に対して、適切な説明が与えられるものであること。
   (ウ) 作業上の必要性、従事職員の技能、好み等に応じて、インターフェイス用のソフトウェアの設定が容易に変更可能なものであること。
   (エ) 操作ミス等によりデータ等が消去された場合に容易に復元可能なものであること。
  オ いす
    いすは、次の要件を満たすものを用いること。
   (ア) 安定しており、かつ、容易に移動できること。
   (イ) 床からの座面の高さは、従事職員の体形に合わせて、適切な状態に調整できること。
   (ウ) 複数の従事職員が交替で同一のいすを使用する場合には、高さの調整が容易であり、調整中に座面が落下しない構造であること。
   (エ) 適当な背もたれを有しているものであること。また、背もたれは、傾きを調整できることが望ましい。
   (オ) 必要に応じて肘掛けを有しているものであること。
  カ 机又は作業台
    机又は作業台は、次の要件を満たすものを用いること。
   (ア) 作業面は、キーボード、書類、マウスその他VDT作業に必要なものが適切に配置できる広さであること。
   (イ) 従事職員の脚の周囲の空間は、VDT作業中に脚が窮屈でない大きさのものであること。
   (ウ) 机又は作業台の高さについては、次によること。
    @ 高さの調整ができない机又は作業台を使用する場合、床からの高さは従事職員の体形にあった高さとすること。
    A 高さの調整が可能な机又は作業台を使用する場合、床からの高さは従事職員の体形にあった高さに調整できること。
 (3) 調整及び維持管理
  ア 従事職員に自然で無理のない姿勢でVDT作業を行わせるため、次の事項を従事職員に留意させ、いすの座面の高さ、キーボード、マウス及びディスプレイの位置等を総合的に調整させること。
   (ア) 作業姿勢
    @ いすに深く腰をかけて背もたれに背を十分にあて、履き物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とすること。また、足台を必要に応じて備えること。
    A いすと大腿部膝側背面との間には手指が押し入る程度のゆとりがあり、大腿部に無理な圧力が加わらないようにすること。
   (イ) ディスプレイ
    @ おおむね40cm以上の視距離が確保できるようにし、この距離で見やすいように必要に応じて適切な眼鏡による矯正を行うこと。
    A ディスプレイは、その画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になるような高さにすることが望ましい。
    B ディスプレイ画面とキーボード又は書類との視距離の差が極端に大きくなく、かつ、適切な視野範囲になるようにすること。
    C ディスプレイは、好ましい位置、角度、明るさ等に調整すること。
    D ディスプレイに表示する文字の大きさは、小さすぎないように配慮し、文字高さがおおむね3mm以上とすることが望ましい。
   (ウ) 入力機器
     マウス等のポインティングデバイスにおけるポインタの速度、カーソルの移動速度等は、従事職員の技能、好み等に応じて適切な速度に調整すること。
   (エ) ソフトウェア
     機器の表示容量、表示色数、文字の大きさ及び形状、背景、文字間隔、行間隔等は、作業の内容、従事職員の技能等に応じて、個別に適切なレベルに調整すること。
  イ 作業環境及びVDT作業機器等を常に良好な状態に維持管理するため、日常及び定期に点検等を行い必要に応じ、改善措置を講じること。
 
5 健康管理
 (1) 健康診断
   従事職員については、次のとおり健康診断を実施すること。
  ア 新たにVDT作業に従事する前(再配置の場合を含む。)の健康診断
    従事する作業の区分に応じて次の項目について行う。
   (ア) 作業区分Aに該当する作業に従事することとなった職員の調査及び検査項目
    a 業務歴の調査
    b 既往歴の調査
    c 自覚症状の有無の調査
     (a) 眼疲労を主とする視器に関する症状
     (b) 上肢・頸肩腕部及び腰背部を主とする筋骨格系の症状
     (c) ストレスに関する症状
    d 眼科学的検査
     (a) 視力検査
     (b) 屈折検査
     (c) 眼位検査
     (d) 調節機能検査
    e 筋骨格系に関する検査
     (a) 上肢の運動機能、圧痛点等の検査
     (b) その他医師が必要と認める検査
   (イ) 作業区分Bに該当する作業に従事することとなった職員の調査及び検査項目
     (ア)のa、b及びcの調査並びにdの検査を実施し、医師の判断により必要と認められた場合に、eの検査を行う。
   (ウ) 作業区分Cに該当する作業に従事することとなった職員の調査及び検査項目
     自覚症状を訴える者に対して、(ア)のうち必要な調査又は検査を実施する。
     なお、これらの健康診断を行う前後に一般定期健康診断(人事院規則10―4第20条に定めるものをいう。以下同じ。)が実施される場合は、一般定期健康診断と併せて、上記項目を実施して差し支えない。
  イ 一般定期健康診断を実施する際に併せて行う健康診断
    従事する作業の区分に応じて次の項目について行う。
   (ア) 作業区分Aに該当する作業に従事する職員の調査及び検査項目
    a 業務歴の調査
    b 既往歴の調査
    c 自覚症状の有無の調査
     (a) 眼疲労を主とする視器に関する症状
     (b) 上肢・頸肩腕部及び腰背部を主とする筋骨格系の症状
     (c) ストレスに関する症状
    d 眼科学的検査
     (a) 視力検査
     (b) その他医師が必要と認める検査
    e 筋骨格系に関する検査
     (a) 上肢の運動機能、圧痛点等の検査
     (b) その他医師が必要と認める検査
   (イ) 作業区分Bに該当する作業に従事する職員の調査及び検査項目
     (ア)のa、b及びcの調査を実施し、医師の判断により必要と認められた場合に、d及びeの検査を行う。
   (ウ) 作業区分Cに該当する作業に従事する職員の調査及び検査項目
     自覚症状を訴える者に対して、(ア)のうち必要な調査又は検査を実施する。
 (2) 健康診断の結果に基づく措置
   健康診断の結果把握された健康阻害要因を調査、分析し、医師が異常又は異常が生じるおそれがあると認めた職員に対して、次に掲げる健康保持のための適切な措置を講じるとともに必要な保健指導を行うこと。
  (ア) 業務歴の調査、自他覚症状、各種検査結果等から愁訴の主因を明らかにし、必要に応じ、保健指導、専門医への受診指導等により健康管理を進めるとともに、作業方法、作業環境等の改善を図ること。また、職場内のみならず職場外に要因が認められる場合についても必要な保健指導を行うこと。
  (イ) VDT作業の視距離に対して視力矯正が不適切な者には、支障なくVDT作業ができるように、必要な保健指導を行うこと。
  (ウ) 従事職員の健康のため、VDT作業を続けることが適当でないと判断される者又はVDT作業に従事する時間の短縮を要すると認められる者等については、健康管理医等の意見を踏まえ、健康保持のための適切な措置を講じること。
 (3) 健康相談
   従事職員が気軽に健康について相談し、適切なアドバイスを受けられるように、プライバシー保護への配慮を行いつつ、メンタルヘルス、健康上の不安、慢性疲労、ストレス等による症状、自己管理の方法等についての健康相談の機会を設けるよう努めること。
 (4) リラクゼーション等
   就業の前後又は就業中に適宜、リラクゼーション、軽い運動等を行うことが望ましい。
 
6 健康安全教育
 (1) 従事職員に対しては、当該職員の健康の保持増進及び安全の確保のために、新たにVDT作業に従事する前(再配置の場合を含む。)においてVDT機器等の取扱い方法の習得訓練を行うとともに、環境管理、作業管理及び健康管理に関する教育を行うこと。また、配置された後にあっても、必要に応じて教育を行うこと。
   なお、従事職員が自主的に健康を維持管理し、かつ、増進していくために必要な知識についても教育を行うことが望ましい。
 (2) 従事職員を直接管理監督する職員に対しては、従事職員の健康の保持増進及び安全の確保を図り、的確な指導に資するため、VDT機器等の特性並びに環境管理、作業管理及び健康管理のほか、管理監督者の心構え、教育の方法等に関する教育を必要に応じて行うこと。
 (3) 前記教育を行うに当たっては、従事職員に対しては作業形態等に、従事職員を直接管理監督する職員に対しては階層等に配慮して教育の実施事項を整備し、計画的、継続的な実施に努めるとともに、実施結果について記録することが望ましい。
 
7 配慮事項
 (1) 高年齢の従事職員については、照明条件やディスプレイに表示する文字の大きさ等を従事職員ごとに見やすいように設定するとともに、過度の負担にならないように作業時間や作業密度に対する配慮をすることが望ましい。
 (2) VDT作業の入力装置であるキーボード又はマウス等が使用しにくい障害等を有する者には、必要な音声入力装置等を使用できるようにするなどの適切な対策を講じること。また、適切な視力矯正によってもディスプレイを読み取ることが困難な者には、拡大ディスプレイ、弱視者用ディスプレイ等を使用できるようにするなどの必要な対策を講じること。
 
別紙
 
VDT作業の作業区分及び作業の種類
 

作業
区分

作業の種類
 

1日の
作業時間





 

単純入力型(すでに作成されている資料、伝票、原稿等を機械的に入力していく作業)

4時間以上



 

拘束型(一定時間、作業場所に在席するよう拘束され、自由に席を立つことが難しい作業)
















 

単純入力型

2時間以上
4時間未満
 

拘束型

対話型(従事職員自身の考えにより、文章、表等を作り上げていく作業)

4時間以上










 

技術型(従事職員の技術等により、コンピューターを用い、プログラムの作成、設計、製図等を行う作業)

監視型(常にディスプレイに表示された事項、画像等を監視する必要のある作業)

その他の型(単純入力型、拘束型、対話型、技術型及び監視型の作業以外の、ディスプレイを備えた機器を操作する必要のある各種の作業)












 

単純入力型

2時間未満

 

拘束型

対話型

4時間未満






 

技術型

監視型

その他の型
 
注:1 作業を分類する場合は、職場の作業実態に応じて、最も類似の作業の種類に分類すること。
  2 作業区分の判断に際して、一人の従事職員が複数の種類の作業を行う場合は、それぞれの作業時間を合計した時間により判断すること。
    なお、一人の従事職員が、「単純入力型」と「対話型」のように、作業区分の分類を決定する作業時間が異なる複数の作業を行う場合は、行う作業時間が多い方の作業の種類で判断すること。
  3 1日のVDT作業時間が時期により変動する場合は、平均値をとり平均時間がどの作業区分に該当するかにより判断すること。