VDT作業従事職員に係る環境管理、作業管理及び健康管理について
(平成14年12月16日勤職―347)
(人事院事務総局勤務条件局職員課長発)
 
 標記については、「VDT作業従事職員に係る環境管理、作業管理及び健康管理について」(平成14年12月16日勤職―346人事院事務総局勤務条件局長)が発出されましたが、その運用に当たっては、別添「VDT作業従事職員に係る環境管理、作業管理及び健康管理のための手引」により取り扱ってください。これに伴い、昭和61年6月14日職福―342福祉課長通知は廃止します。
 
以   上
 
 
 
(別添)
 
VDT作業従事職員に係る環境管理、作業管理及び健康管理のための手引
 
1 指針の基本的考え方
 (1) はじめに
   近年、各産業分野においてIT(情報技術)化が急速に進められており、これに伴い、VDT機器は様々な職場に広く導入され、その作業形態も大きく変化してきています。国の職場においても同様にVDT機器が大幅に導入され様々な分野で使用されています。それに伴ってVDT作業に従事する職員(以下「従事職員」という。)の健康問題への取組みがますます重要になってきています。
   人事院では、これまで「VDT作業従事職員に係る環境管理、作業管理及び健康管理について」(昭和61年6月14日職福―341職員局長)(以下「職員局長通知」という。)により、各府省に対して、これらの問題に対処するよう要請してきたところです。
   その後のより一層のIT(情報技術)化の進展に合わせて、平成14年4月5日には、厚生労働省労働基準局長通達(「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(基発第0405001号)(以下「労働基準局長通達」という。)が発出されました。
   人事院においても、職員局長通知発出後の国の職場におけるVDT機器の導入状況、職員のVDT作業従事状況等を踏まえ、学識経験者等の意見を聴取し、この度職員局長通知の内容を見直し、新たに「VDT作業従事職員に係る環境管理、作業管理及び健康管理について」(平成14年12月16日勤職―346勤務条件局長)(以下「指針」という。)を発出しました。
   この手引は、指針の趣旨を徹底するため、指針に示した内容の説明、実施に際しての留意事項等を取りまとめ、各府省におけるVDT作業に係る環境管理、作業管理及び健康管理の一層の促進を図ることを目的に作成したものです。
 (2) 健康安全管理の取組み
   従事職員の心身の負担を軽減し、VDT作業を支障なく行い、公務の能率を維持、向上させるためには、従事職員に対し、作業環境を整え、適正な作業管理を行い、健康診断及び健康安全教育を実施する等健康の保持増進及び安全の確保に努めることが重要です。これらを効果的に進めるためには、健康安全管理体制の一層の整備と健康安全管理に携わる職員の一体となった積極的な活動を基本とし、加えて、従事職員や従事職員を直接管理監督する職員を含めた職場全体の取組みが大切です。
   国の職場の健康安全管理については、人事院規則10―4(職員の保健及び安全保持)の規定によって、各省各庁の長は、健康安全管理に関する規程を作成し、健康・安全管理者、健康管理医、危害防止主任者等を指名するなど健康安全管理体制の整備を図った上で、勤務環境の整備、有害業務についての健康障害の防止、打鍵作業等の継続作業の制限、健康診断の実施と適切な事後措置など、職員の健康の保持増進及び安全の確保に必要な措置を講じることとしています。また、業務内容を変更した場合等における健康安全教育の実施や職員の意見を聞くための措置を講じることについても規定しています。
   従事職員に係る環境管理、作業管理及び健康管理についても、当然、これらの規定に基づく管理体制や各種の措置の一環として実施されることになりますが、さらにVDT作業の特性に配慮した観点から実施しなければなりません。具体的には、職場にVDT機器等を導入するに当たっては、その選定に際して、労働衛生学的及び人間工学的な面からの慎重な配慮を払うことはもとより、導入後の作業環境の整備、作業形態、作業手順、人員配置、従事職員の健康保持、健康安全教育等について事前に十分な検討及び準備を行い、また、VDT作業が開始された後においても、常に作業状況等の検討を行い、その結果得られた改善事項については速やかに具体的方策にフィードバックするなど、多方面からの適切な対応が必要です。
 (3) VDT作業 
   指針ではVDT作業を「ディスプレイ、キーボード等により構成されたVDT機器を使用して、データの入力・検索・照合等、文書・画像等の作成・編集・修正等、プログラミング、監視等を行う作業」と定めています。
   ここでは、必ずしもキーボードを備えていなくても、ディスプレイを備えたVDT機器であれば対象としています。
   また、ディスプレイとしては、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、有機エレクトロ・ルミネッセンス・ディスプレイ(有機EL)、プラズマ・ ディスプレイ、蛍光表示管ディスプレイ、発光ダイオード・ディスプレイなどがあります。
   VDT作業は、作業の種類及び作業時間により、作業区分A、B及びCに区分されますが、それぞれの従事職員がどの作業区分に該当するかは、指針の別紙「VDT作業の作業区分及び作業の種類」に照らして健康管理者等が判断し、所要の措置を講じてください。 
 
2 環境管理
 (1) 照明と採光
  ア 室内の照明が不適切だとキーボード面やディスプレイ画面などに明暗が生じ、眼の疲労の原因となります。室内はなるべく明暗の差がなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにします。
  イ 「ディスプレイ画面上における照度」とは、ディスプレイ画面から発する光の明るさのことではなく、ディスプレイ画面に入射する光の明るさをいいます。
    反射型液晶ディスプレイについては、画面が暗いと見にくいので、一般に、より高い照度が必要となります。
    「書類上及びキーボード上における照度」とは、書類やキーボードなどに入射する光の明るさをいいます。
    「ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさとの差はなるべく小さくすること。」とは、瞳孔は明るさに応じてその大きさを調節しており、一般的に、ディスプレイ画面や書類・キーボード面と周辺の明るさの差が大きいと眼の負担が大きくなるので、なるべく明るさの差が小さくなるようにする必要があるからです。
 (2) グレアの防止
  ア グレアとは、視野内で過度に輝度が高い点や面が見えることによっておきる不快感や見にくさのことで、光源から直接又は間接に受けるギラギラしたまぶしさなどをいいます。
    従事職員がディスプレイを注視している時に、視野内に高輝度の照明器具・窓・壁面や点滅する光源があると、まぶしさを感じたり、ディスプレイに表示される文字や図形が見にくくなり、眼の疲労の原因になります。
    また、これらがディスプレイ画面上に映り込む場合も同様です。したがって、ディスプレイを置く位置を工夫して、グレアが生じないようにする必要があります。
    映り込みがある場合には、ディスプレイ画面の傾きを調整することなどにより、映り込みを少なくすることが必要です。
  イ 反射防止型ディスプレイは、表面につや消し処理を行って散乱性をもたせたものと、多層薄膜コーティングにより反射そのものを減らすものとに大別されますが、前者は、外光が明るすぎると画面全体が光るようになり、後者は、汚れやすいという欠点があるので、注意が必要です。
  ウ 照明器具のグレア分類としては、(社)照明学会学会技術規格JIES-008(1999)「屋内照明基準」において、分類が示されています。同基準においては、G分類(視特性からみたグレア規制のための照明器具の輝度の制限)とV分類(VDT画面の反射グレア防止のための照明器具の輝度の制限)の2種類の分類があり、VDT作業が行われる部屋の場合には、V分類の使用が優先されることとされています。
    V分類においては、照明器具の輝度の制限がV1、V2、V3に分類して行われています。
    V1の照明器具は、グレア対策が最も十分施されており、VDT画面の反射防止処理の有無にかかわらず、映り込みはほとんど生じません。
    VDT専用室においては、VDT画面に反射防止処理がされていない場合はV1、反射防止処理がされている場合はV2を選択するよう、基準が示されています。
    また、一般の事務室においては、VDT画面に反射防止処理がされていない場合はV2、反射防止処理がされている場合はV3を選択するよう、基準が示されています。
    ただし、これらは画面がおおむね鉛直の場合に有効ですが、画面を鉛直よりも大きく傾ける場合には、間接型照明を使用したほうがよいでしょう。
  エ その他の映り込みを少なくする方法としては、フィルターを取り付ける等の方法がありますが、フィルターの性能によっては、表示文字の鮮明度が低下したり、フィルター自身の表面が反射したりすることがあるため、反射率の低いものを選ぶ等の注意が必要です。
 (3) 騒音の低減措置
   事務室内の騒音は、従事職員の作業への集中を妨げたり、職員の精神・身体的な負担を増大させたりします。VDT機器本体やプリンターなどの周辺機器から発生する不快な音の低減を図るためには、しゃ音及び吸音の機能を持つつい立てで取り囲んだり、機器そのものを消音ボックスに収納したり、床にカーペットを敷いたりするほか、低騒音型機器を使用するなどの方法があります。
 (4) その他
   そのほか従事職員の周辺の環境管理上の配慮としては、換気、温度、湿度、空気調和(空調)及び休憩等のための設備などがあり、これらは、人事院規則10―4第15条で換気その他の空気環境の調整、保温、防湿などの措置を講じるよう義務づけられており、具体的には、労働安全衛生規則や事務所衛生基準規則等の基準により措置する必要があります。
 
3 作業管理
  VDT作業には多くの種類があり、それぞれ作業形態や作業内容は大きく異なっています。
  また、VDT作業が健康に及ぼす影響は非常に個人差が大きいので、画一的な作業管理を行うことは好ましくありません。
  したがって、各職場においては、個々の従事職員の特性に応じたVDT機器、関連什器等を整備するほか、VDT作業の実態に基づいて作業負担の少ない業務計画を策定すること等、こまかく配慮することが望まれます。
 (1) 作業時間等
  ア 1日の作業時間
    指針では、「作業区分Aに該当する作業に従事する職員」については、「VDT作業以外の作業を組み込むこと又は他の作業とのローテーションを実施することなどにより、1日の連続VDT作業時間が短くなるように配慮すること。」としており、これは、作業のシステムや作業計画を企画する時に考慮しなければならない事項です。「VDT作業以外の作業」とは、ディスプレイ画面からデータ等を読み取り又はキーを操作する作業及びそれらと密接に付随する作業以外の作業のことであり、この作業を随時組み込むことにより実質的なVDT作業の時間をできるだけ短くすることが、従事職員の心身の負担を軽減するのに効果があります。
    「作業区分Bに該当する作業に従事する職員」についても、同様に「VDT作業が過度に長時間にわたり行われることのないように指導すること。」としており、単純入力型及び拘束型の作業については、作業区分Aに該当する作業に従事する職員と同様に配慮することが望まれます。また、技術型作業、対話型作業等については、職員の自主的時間管理が重要ですが、極めて長時間の作業となる場合があるので、管理監督者がその点に留意し、指導することが望まれます。
    1日の作業時間の上限について定めていないのは、@職場においてVDT作業に関する適切な環境管理、作業管理及び健康管理が行われるとともに、従事職員各人が自らの健康の維持管理に努めれば大多数の従事職員の健康を保持できるとされていること、A各職場におけるVDT作業の作業形態、作業内容、作業条件等がまちまちで従事職員への負担が一様でなく、VDT作業が健康に及ぼす影響についても個人差が大きいこと、Bいずれの職場にも当てはまるような1日の作業時間の上限についてのコンセンサスが得られていないことなどの理由からです。
  イ 一連続作業時間及びVDT作業に従事しない時間
    指針では、「『作業の種類』の『単純入力型』及び『拘束型』に該当する作業に従事する職員については、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10〜15分のVDT作業に従事しない時間を設け、かつ、一連続作業時間内において、1、2回程度の小休止を取らせるようにすること。」としています。
    「VDT作業に従事しない時間」は、ディスプレイ画面の注視、キーの操作又は一定の姿勢を長時間維持することによって生じる眼、頸肩腕、手指、腰等への負担による疲労の蓄積を防止することを目的とするものです。この「VDT作業に従事しない時間」とは、一般的には、VDT作業を中止し、リラックスして遠くの景色を眺めたり、席を離れるなどして作業中使用しなかった身体の各部を適度に動かすなどの軽い運動等を行ったり、他の業務を行ったりするためのものです。この時間の一部を職場体操にあてることも考えられます。
    「小休止」を設けた趣旨は、同一作業を20〜30分継続すると疲労がみられるという研究データに基づき、連続作業の途中で、1〜2分程度作業を休止し、背を伸ばすなどして気分転換をはかり、疲労の回復や緊張の緩和に役立てようとするものです。「小休止」は、時刻を定めないで従事職員が自由に取れるようにする必要があります。
    なお、従事職員の視覚負担をはじめとする心身の負担を軽減するため、VDT作業の一連続作業時間内におけるディスプレイ画面を注視する時間やキーを操作する時間ができるだけ短くなるよう配慮することが望まれます。
  ウ 業務量への配慮
    個々の職員の能力を超えた業務量の作業を指示した場合、従事職員は作業を休止したくても休止することができず、無理な連続作業を行わざるを得ないこととなるため、業務計画を策定するに当たっては、無理のない適度な業務量となるよう配慮する必要があります。
 (2) VDT機器等
  ア 機器の選択
    VDT機器には、用途に応じて、デスクトップ型、ノート型、携帯情報端末等の様々な種類があり、その特性等も異なることから、職員への健康影響を考慮して、従事職員が行う作業に最も適した機器を選択し導入する必要があります。
    一般に、デスクトップ型は、一定の作業面の広さが必要ですが、キーボードが大きく、自由に移動させることができるため、作業姿勢も拘束されにくく、長時間にわたり作業を行う場合等に適しています。
    また、ノート型は、キーボードが小さく、自由に移動させることができないため、作業姿勢が拘束され易い反面、作業面の広さは少なくてすむため、作業面の広さが限られている場合等に適しています。
    ただし、作業の内容、作業量等のその他の考慮すべき事項も考えられるため、VDT機器の導入に当たっては、必要に応じて関係職員等に意見を聞くことが望まれます。
  イ デスクトップ型機器
   (ア) ディスプレイ
     最近では多くの種類のVDT用ディスプレイが存在します。
     通常のVDT作業においては、市場における一般的なディスプレイで支障なく作業を遂行することができると思われますが、CADや定型書式への入力等の特定の作業においては、画面が小さい、又は表示容量が低い場合に、従事職員に過度の負担をもたらす場合があるので、画面サイズが目的とする作業に応じた適切な大きさのものを用いる必要があります。
     フリッカーはCRTディスプレイにおいて、画面再生周波数(画面のフレーム周波数)が低い場合に発生しやすいので、ポジティブ表示(文字や記号よりも背景の方が明るい表示)の場合、75Hz以上の画面再生周波数に設定することが望ましく、85Hz以上が推奨されます。
     なお、労働基準局長通達においては、ディスプレイの人間工学上の要求事項の詳細について、JIS Z8513(人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−視覚表示装置の要求事項)、JIS Z8517(同作業−画面反射に関する表示装置の要求事項)、JIS Z8518(同作業−表示色の要求事項)、ISO 13406(Ergonomic requirements for work with visual displays based on flat panels)等を参照するよう推奨しています。
   (イ) 入力機器(キーボード、マウス等)
     入力機器としては、キーボード、マウスが代表的ですが、マウス以外のポインティングデバイス(トラックボール、パッド、スティック等)、音声入力、イメージスキャナー、バーコードリーダー等もあります。
     これらの入力機器を利用することによって、VDT作業を効率化でき、従事職員の負担を大きく軽減できる場合もありますので、目的とするVDT作業に適した入力機器を使用できるようにする必要があります。
     なお、労働基準局長通達においては、キーボード及びその他の入力機器についての人間工学上の要求事項の詳細について、JIS Z8514(人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−キーボードの要求事項)、ISO 9241-9(Ergonomic requirements for office work with VDTs−Part9:Requirements for non-keyboard input devices)等を参照するよう推奨しています。
  ウ ノート型機器
    ノート型機器には、携帯性を重視した設計(画面が小さい、キーストロークが短い、キーピッチが小さいなど)のものがあり、それらを長時間のVDT作業に利用する場合には、人間工学上の配慮が必要です。
    小さいキーボードを、手が大きい従事職員が使用する場合には、連続キー入力作業で負担が大きくなることがありますし、小型の画面は文字が小さく視距離が短くなりすぎる傾向があります。また、キーボードとディスプレイが一体となっている構成は、従事職員に特定の拘束姿勢を強いたり、過度の緊張を招くことなどがありますので、使用する従事職員や目的とするVDT作業に適した機器を使用させる必要があります。
    多くのノート型機器は外付けのディスプレイ、キーボード、マウス、テンキー入力機器などを接続して、利用することが可能なので、小型のノート型機器で長時間のVDT作業を行う場合には、これらの外付け機器を利用することが望まれます。
    なお、労働基準局長通達においては、ノート型機器の使用時の留意点について、日本人間工学会の「ノートパソコン利用の人間工学ガイドライン」が参考になるとしています。
  エ 携帯情報端末
    IT(情報技術)化の進展に伴い、移動中でも使用できる携帯情報端末を用いる機会が増えています。モバイルコンピューティングやインターネット等に携帯情報端末を活用している場合も多くなっています。
    携帯情報端末は、小型化と携帯性を重視して設計されているため、キーボード等入力機器の操作性やディスプレイの表示性能などが、職場において長時間にわたり使用するためには必ずしも十分とはいえません。
    これら携帯情報端末の人間工学上の特徴を踏まえ、指針では長時間のVDT作業に使用することはできる限り避けることが望ましいこととしました。
  オ ソフトウェア
    ソフトウェアは、従事職員の作業性及び作業負担に大きく影響するため、目的とするVDT作業の内容、利用する従事職員の技能、能力等に合ったものを使用することが望まれます。
    また、従事職員が作業中に、操作方法等についてヘルプ機能等により随時参照できること、作業内容に応じて容易に文字等の大きさ、色、行間隔等の設定が変えられるものが望まれます。
    さらに、従事職員の操作の誤りにより、それまでに入力した膨大な量のデータが消失し、復元不可能な場合、従事職員に大きな負担を与えることとなりますので、いったん入力したデータについては、容易に復元可能であることも望まれます。
    なお、労働基準局長通達においては、ソフトウェアがVDT作業の目的に合ったものであるかどうかなどの判断の一助となる、以下のような二つのJISを示し、参照するよう推奨しています。
   (ア) JIS Z8520(人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−対話の原則)
     VDT対話の設計及び評価のための7つの原則が示されており、使用するソフトウェアがそれらに合致しているかの判断に利用できます。
   (イ) JIS Z8521(人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−使用性についての手引)
     使用性(ユーザビリティ)の考え方及び測定方法について示されています。使用するソフトウェアは、作業者に受け入れられる水準以上のユーザビリティが確認されていることが望まれます。
  オ いす
    適正な作業姿勢で作業をするためのいすは、安定性、移動性があって適当な背もたれを有しており、作業内容によっては肘掛けがあるものが望まれますが、いすの条件として重要なことは、従事職員が作業しやすい作業面の高さを確保できるものであることです。そのためには、いすの高さはもちろんのこと、机の高さ、ディスプレイの高さやキーボードの厚さ等も考慮しなければなりません。しかし、いす以外のものについては高さの調整が難しいので、いすの高さによって作業面の調整をせざるを得ないわけです。指針では、「従事職員の体形に合わせて、適切な状態に調節できること。」としています。いすについて、床からの座面の高さ(実際に座って、クッション材が2〜3cm圧縮された状態の座面の高さのことです。市販されている椅子の座面高の表示は、クッション材が圧縮されていない外形表面の高さが一般的です。)は、37〜43cm程度の範囲で調整できるものが望まれます。
    いすの調整範囲で調整できない場合については、必要に応じて足台を利用する等して対応することが望まれます。
    なお、複数の職員が同一のいすを使用してVDT作業を行うような場合には、座ったままでも容易に高さの調整ができるワンタッチ式などのものを備え付けたいものです。
  ウ 机又は作業台
    机又は作業台(以下「机」という。)の作業面は、ディスプレイ、キーボード、原稿、その他のVDT作業に必要なものが適切に配置できる広さが必要ですし、脚まわりの空間は、VDT作業中に脚が窮屈でない大きさが必要です。また、机の高さは、大多数の従事職員が適正な作業姿勢が確保できるようにするため、高さの調整ができない机の場合は、床から作業面までの高さが65〜70cm程度のものを用い、高さの調節が可能な机の場合は、床から作業面までの高さが60〜72cm程度の範囲で調整できるものが望まれます。
    高さ調整が可能な机を使用する場合には、いすの高さを最適に調整した後、机の高さを調整するとよいでしょう。
    大型ディスプレイを使用する場合は、十分な奥行きの机を使用し、従事職員の身体にねじれを生じさせないよう、またディスプレイ画面の上端が眼の位置より上にならないように、ディスプレイを配置するようにします。また、脚の周囲の空間に荷物等があり、脚が窮屈な場合は、取り除いてください。
    なお、労働基準局長通達においては、いす、机又は作業台に関する人間工学上の要求事項の詳細について、JIS Z8515(人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−ワークステーションのレイアウト及び姿勢の要求事項)を参照するよう推奨しています。
 (3) 調整
   VDT作業は、自然で無理のない姿勢で行うことが重要であるため、極端な前傾姿勢やねじれ姿勢を長時間継続させないよう、機器の位置を調整させる必要があります。
   必要に応じて足台を利用することとしたのは、足台によって調整することにより、足を疲れさせないだけでなく、背中や腰の疲れを防ぐ効果ももつためです。
   また、ディスプレイ画面と眼の視距離をおおむね40cm以上としたのは、眼に負担をかけないで画面を明視することができ、かつ、眼とキーボードや書類との距離の間に極端な差が生じないようにするためです。
   ディスプレイ画面とキーボード又は書類を眼からほぼ等しい距離にすることとしたのは、VDT作業における眼球運動から生じる眼疲労(視線を移動させるたびにいちいち焦点調節を行っていると眼疲労を招く。)を軽減するためです。
   さらに、ディスプレイは、個々の従事職員にとって好ましい位置、角度、明るさに各自が必要に応じて調整するとともに、ディスプレイに表示する文字の大きさは、小さすぎないように配慮することが必要です。一般に、文字の大きさは、従事職員が、10ポイント、12ポイントなどと自由に設定できる場合が多いのですが、そのポイント数はディスプレイのサイズや種々の設定条件によって、必ずしも文字の物理的な大きさとは一致しません。文字の大きさはおおむね3mm以上とすることが推奨されます。 
 (4) VDT機器等及び作業環境の維持管理
   VDT機器等や作業環境について基準に則して適切に設定したとしても、その後の維持管理が良好に行われなければ、従事職員に対する健康安全管理が十分になされたことにはなりません。それだけに、平素から維持管理に努めることが大切であり、従事職員と従事職員を直接管理監督する職員との連携はもとより、健康・安全管理者等とが一体となって進める必要があります。例えば、ディスプレイの傾き(前後又は左右)や高さ、いすの高さ等の調整機構に支障が生じて容易に調整できなくなった場合に、従事職員が無意識のうちに不適切な姿勢のまま作業を行うことにもなります。
   このようなことを防ぐために、従事職員に対し日常業務の一環として、作業開始前又は一日の適当な時間帯に採光、グレア防止、換気等について点検させるほか、ディスプレイ、キーボード、いす、机等の調整を行わせる等によって不備を早期に発見するよう努め、連絡体制を密にして発見された不備については速やかに改善措置を講じなければなりません。
   また、従事職員を直接管理監督する職員や健康・安全管理者等としては、照明及び採光、グレアの防止、騒音低減措置、換気、空気調和等の措置状況及びディスプレイ、キーボード、いす、机等の調整状況について定期的に点検する等保全措置に努める必要があります。
   なお、ディスプレイ画面やフィルターにほこりや手の汚れが付着したり、室内の湿度低下により静電気を帯びた粉じんが付着したりすると、画面が見えにくくなり、眼の疲労の原因ともなりますので、このような場合には、専用のクリーナーや柔らかな布等で軽くふきとることなど、常にVDT機器等の清掃に努めることが大切です。
 
4 健康管理
  国の職場における健康管理については、人事院規則10―4に職員の健康の保持増進のための措置が規定されています。具体的内容としては、健康診断の実施とその結果に基づく適切な事後措置、健康安全教育等の実施などがあり、これらは職場の健康管理者や健康管理担当者と健康管理医、看護師などの医療関係者の間の協力によって、その充実を図らなければなりません。
  従事職員の自覚症状としては、「眼が痛い」、「眼が疲れる」、「眼がかすむ」等の視覚系のもの、「首が痛い」、「肩が凝る」、「腕が疲れる」等の上肢帯系のもの、「いらいらする」、「頭が重い」といった精神神経系のものがあるとされています。
 これらの状況を踏まえ、指針ではVDT作業についての環境管理や作業管理を図るとともに、従事職員に対して新たにVDT作業に従事する前(再配置の場合を含む。)及びVDT作業に従事した後一般定期健康診断(人事院規則10―4第20条に定めるもの)を実施する際に併せて必要な検査を行うこととしています。
 (1) 健康診断
   健康診断の対象者として、VDT作業に常時従事する職員のみでなく、一般のVDT作業に従事する職員も含めることとしました。
   従事職員に対して新たにVDT作業に従事する前に行う健康診断は、職員の視機能などの健康状態を把握し、VDT作業に適しているか否かを診るとともに、VDT作業に適正な状態で従事させるために行うものです。また、この健康診断は、従事した後の健康状態を継続的に観察するための基礎資料となるほか、従事職員が健康を保持していく上で配慮すべき事項の明示や指導をするための資料にもなります。
   VDT作業に従事した後に一般定期健康診断を実施する際に併せて行う健康診断は、職員の健康状態を継続的に観察することにより、作業への適応状態、作業による健康影響の有無などVDT作業との関連で生じるおそれのあるものを早期に発見し、適正な保健指導を行うためのものです。この結果は個人的な就業上の措置に生かされるのみならず、集団的観察によって使用機器や作業条件など、環境管理及び作業管理にも生かされることになります。
  ア 新たにVDT作業に従事する前に行う健康診断(以下「配置前の健康診断」という。)
    作業区分Aに該当する作業に従事することとなった職員に対しては、次の(ア)、(イ)及び(ウ)の調査並びに(エ)及び(オ)の検査を行います。
    作業区分Bに該当する作業に従事することとなった職員に対しては、次の(ア)、(イ)及び(ウ)の調査並びに(エ)の検査を行い、(オ)の検査については、作業の内容、問診の結果等を踏まえ、医師の判断により、必要と認められた場合にのみ行います。
    なお、これらの調査及び検査の各項目については、それぞれの実施日が異なっても差し支えありません。
   (ア) 業務歴の調査
     問診票等を用い、過去のVDT作業業務歴等について把握します。
   (イ) 既往歴の調査
     問診票等を用い、既往歴について把握します。
   (ウ) 自覚症状の有無の調査
     業務歴及び既往歴の調査の結果を参考にしながら、問診票等を用いて問診により行います。
     自覚症状の有無の調査は、VDT作業による視覚負担、上肢の動的又は静的筋労作等、心身に与える影響に着目して行う必要があります。
     問診項目としては、眼の疲れ・痛み・乾き、首・肩の凝り、頭痛、背中の痛み、腰痛、腕の痛み、手指の痛み、手指のしびれ、手の脱力感、ストレス症状等の自覚症状の有無等があげられます。
     軽快の兆しが見えず自覚症状が継続している場合は、当該症状に応じて、眼科学的検査又は筋骨格系に関する検査を行い、その結果に基づき、医師の判断により、保健指導、作業指導等を実施し、又は専門医の精密検査等を受けるように指導します。
     筋骨格系疾患については、自覚症状が検査所見よりも先行することが多いことに留意してください。
     ストレス等の症状がみられた場合については、必要に応じて、カウンセリングの実施、精神科医や心療内科医への受診勧奨等を行います。
     なお、健康診断の実施場所における受診者のプライバシー保護についての配慮を十分に行う必要があります。
   (エ) 眼科学的検査
    a 視力検査
     (a) 5m視力の検査
       左右の眼について、通常のVDT作業時の状態(裸眼又は矯正)で、視力を検査します。(コンタクトレンズを装用している者については、コンタクトレンズを装用した状態での検査でも差し支えありません。)
       なお、両眼視力も検査します。
       5m視力は、基本となる検査であり、裸眼又は矯正視力が健常なレベルであるかどうかを検査しますが、この値そのものは50cm前後にあるディスプレイへの視距離における視力とは異なります。
       なお、近視眼を矯正する場合は、近視眼の5m視力を向上させる矯正は、VDT作業に必要な調節負荷を増大させ、眼疲労の原因になることがありますので留意してください。
     (b) 近見視力の検査
       一般に、近見視力は、遠視、老視等により低下します。特に遠視は、乱視とともに近業時に眼疲労を生じやすいことに留意して、通常のVDT作業時の状態(裸眼又は矯正)で、50cm視力又は30cm視力を測定します。
       ディスプレイの視距離に相当する視力が適正なレベルとなるよう指導することが目的であり、近見視力は、片眼視力(裸眼又は矯正)で両眼ともおおむね0.5以上となることが望ましいでしょう。
    b 屈折検査
      屈折検査は、視力の低下の原因としての屈折異常があるかどうかを確認するものですが、50cm程度の視距離で望ましい矯正視力が得られるように指導するための資料となります。コンタクトレンズを装用している者については、コンタクトレンズを装用した状態での屈折検査でも差し支えありません。
      検査の結果、遠視、強度近視、強度乱視などの職員に対しては、配置前に眼科医で、望ましい矯正が行われるよう受診を指導します。
      なお、問診において特に異常が認められず、5m視力、近見視力がいずれも、片眼視力(裸眼又は矯正)で両眼ともおおむね0.5以上が保持されている者については、屈折検査を省略して差し支えありません。
    c 眼位検査
      眼位に異常がある場合は、近業時に眼疲労を生じやすいので、異常の有無を調べます。
      両眼交互のカバーテスト(Alternate Cover Test)等により、斜視及び斜位の有無と程度を判定します。
      検査の結果、間歇性斜視又は斜位が著しいときには、矯正運動による眼の疲労が蓄積しやすいため、眼科医に受診させることが望まれます。
      なお、視線の方向が常に偏位している斜視については、一般に矯正運動による眼の疲労が少ないため、VDT作業を行う上での特段の措置は必要ありません。
    d 調節機能検査
      調節機能は加齢により低下しますが、著しい低下は、眼疲労の原因となりますので、配置前に調節機能を測定します。5m視力の良好な状態(裸眼又は遠用眼鏡の装用)で、近点距離を測定します。
      検査の結果、両眼での近点距離がおおむね40cm以上の場合は、近用眼鏡を装用する、ディスプレイ画面の大きいものを使用して十分な視距離を確保する等の指導を行います。
      問診において特に異常が認められず、5m視力、近見視力がいずれも、片眼視力(裸眼又は矯正)で両眼とも0.5以上が保持されている者については、省略して差し支えありません。
      前記a〜d以外の高度な眼科学的検査等については、専門医に依頼します。
      また、眼乾燥症(ドライアイ)は、VDT作業により症状が発現する可能性がありますので、問診において眼乾燥感を訴える場合には、必要に応じて、専門医の受診を指導します。
      この症状の発現には、コンタクトレンズの装用、湿度の低下、眼に直接あたる通風、ディスプレイ画面が高すぎて上方視し、過度に開瞼する場合、読みとりにくい画面の凝視等によるまばたきの減少等が影響しますので、これらに留意して、職場環境の改善、保健指導等を行うようにします。
   (オ) 筋骨格系に関する検査
     この検査項目は、上肢に過度の負担がかかる作業態様に起因する上肢障害、その類似疾病の症状の有無等について検査するためのものです。
    a 上肢の運動機能、圧痛点等の検査
     (a) 指、手、腕等の運動機能の異常、運動痛等の有無
     (b) 筋、腱、関節(肩、肘、手首、指等)、頸部、腕部、背部、腰部等の圧痛、腫脹等の有無
      問診において、当該症状に異常が認められない場合には、医師の判断で省略することができます。
      検査の結果、上肢障害やその他の整形外科的疾患、神経・筋疾患などが疑われる場合は、専門医への受診等について指導してください
  イ 一般定期健康診断を実施する際に併せて行う健康診断(以下「定期の健康診断」という。)
    作業区分Aに該当する作業に従事する職員に対しては、次の(ア)、(イ)及び(ウ)の調査並びに(エ)及び(オ)の検査を行います。
    作業区分Bに該当する作業に従事する職員に対しては、(ア)、(イ)及び(ウ)の調査を行い、作業の内容、問診の結果等を踏まえ、医師の判断により、必要と認められた場合に(エ)及び(オ)の検査を行います。
    なお、これらの調査及び検査の各項目については、それぞれの実施日が異なっても差し支えありません。 
   (ア) 業務歴の調査
     現在従事しているVDT作業の概要について調査するほか、必要に応じて作業環境や職務への適応性についても把握するように努めます。
   (イ) 既往歴の調査
     前記「配置前の健康診断」における調査を参照してください。
   (ウ) 自覚症状の有無の調査
     受診者の問診における訴えの項目や内容の変化をチェックします。問診票は前記「配置前の健康診断」で用いられたものと同一のもので差し支えありません。
   (エ) 眼科学的検査
     眼科学的検査については視力の検査を行いますが、実際のVDT作業における矯正状態のみの検査で差し支えありません。近見視力は、老視の進行に伴って低下し、作業を行う上で大きな支障となるので、中高年の従事職員については、50p視力の測定を実施することが望まれます。
     問診において、眼のかすみ、まぶしさ、視力低下、眼・頭痛等の症状を訴え、近見視力が低下している者については、近点距離の測定など、医師の判断で必要と認める検査を行います。
   (オ) 筋骨格系に関する検査
     筋骨格系に関する検査については、上肢の運動機能、圧痛点等の検査を行いますが、問診において、当該症状に異常が認められない場合には、医師の判断で省略しても差し支えありません。
 (2) 健康診断の結果に基づく措置
   配置前の健康診断又は定期の健康診断の結果把握された健康阻害要因を調査、分析し、医師が異常又は異常が生じるおそれがあると認めた職員については、健康保持のための適切な措置を講じるとともに必要な保健指導を行います。
   なお、健康障害や疲労症状の職場外要因としては、家庭における長時間にわたるインターネットの利用やテレビゲームを長時間行う等の直接的な眼疲労の原因となるもののほかに、生活習慣、悩みごと等の間接的な疲労要因が考えられます。
   また、眼鏡等の使用者については、視力矯正の不適切な状態でVDT作業に従事しないように十分保健指導を行う必要があります。近見視力は、片眼視力でおおむね0.5以上となるよう指導することが望まれます。
   VDT作業を継続させることが適当でないと判断された職員やVDT作業の作業時間の短縮を要すると認められた職員に対しては、健康保持のために配置転換やVDT作業の作業内容を変更する等の措置を講じます。
 (3) 健康相談
   従事職員が自分の健康状態等について気軽に相談ができ、適切なアドバイスを受けられるように必要に応じて健康相談の機会を設けることが必要です。常勤の健康管理医がいて、作業形態や職務内容を十分に把握した上で健康相談に応じられれば一番良いのですが、それが難しい場合には健康管理者等が窓口になって、従事職員の訴えを受けたり、問題があると判断されるものについては専門医に相談したり、健康相談日等を設けて直接専門医等に相談させたりすることになります。
 (4) リラクゼーション等
   静的筋緊張や長時間の拘束姿勢、上肢の反復作業などに伴う疲労やストレスの解消には、アクティブ・レストとしての体操やストレッチを適切に行うことが重要です。また、就業中にも背伸び、姿勢の変化、軽い運動等を行うように指導することが望まれます。
 
5 健康安全教育
  職場のIT(情報技術)化の進展に伴いVDT機器が広く職場に導入されてきたことから、VDT作業が一般化し、広範な部門においてVDT機器の操作が事務作業を行う上で、なくてはならないものとなっています。そのような状況を反映して、今までとは異なった疲労を訴える者が増えてきています。
  これらの状況から、VDT作業に対する正しい認識をもって適正に作業を行うことができるための教育が重要になりますが、特に、従事職員自身が、作業に伴う疲労の蓄積を防ぐためにどうすればよいかを考え、それを実行する積極的な姿勢を培うよう、自己管理の啓蒙のための教育が大切です。
  職員の健康の保持増進及び安全の確保のために行う健康安全教育については、人事院規則10―4第13条に規定していますが、指針では、従事職員及び従事職員を直接管理監督する職員に対して、VDT作業の健康への影響、作業時間等の事項について教育を実施することを定めています。
  教育を進める場合には、教育計画を策定し、それを実施し、実施の結果を評価し、更によりよい教育へと新たな教育計画にフィードバックさせて行います。実施に向け教育計画を策定するに当たっては、次の各項目を十分に検討し、効果的に教育を行うよう努める必要がありますが、その際、健康・安全管理者をはじめ健康管理医、従事職員を直接管理監督する職員等が一体となって教育実施チームを編成し、協力して系統的、効果的な実施に努めることが大切です。
 (1) 教育の目的
   教育の目的は、従事職員及び従事職員を直接管理監督する職員に対して、VDT作業に係る環境管理、作業管理及び健康管理等に関する正しい知識等を付与し、VDT作業のための環境や方法を改善し、適正な健康管理を円滑に行い、さらには、VDT作業による心身への負担の軽減を図ることにあります。
 (2) 教育の対象及び時期
   教育の対象を決めるに当たっては、教育しなければならない対象職員が何人いるのかを十分に把握しておくことが必要であり、それに基づいて一回当たりの人員や実施回数などが決められます。その対象人員にもよりますが、教育の対象はきめ細かく分けることが教育効果の面から望ましく、従事職員と従事職員を直接管理監督する職員は分けて行う必要があります。それぞれの組織の実態を十分に考慮し、教育の計画的、継続的な実施が確保されるよう教育の対象を明確に定めておくことが大切です。
   また、教育の時期については、従事職員に対しては新たにVDT作業に従事する前(再配置の場合を含む。)に行わなければなりませんが、VDT機器及び情報処理技術が日進月歩であることを考慮し、配置された後にあっても必要に応じて定期的に行う必要があります。従事職員を直接管理監督する職員に対しても、同様に、教育を行うことが望まれますが、特に新任の場合には、できる限り早い時期に教育が実施できるよう配慮する必要があります。
 (3) 教育の方法及び内容
   教育の方法は、教育の目的、対象、時期等を明確にした上で、教育すべき内容及び時間数、教育指導担当者及び指導方法等具体的に決定されますが、その場合、効果的な教育が実施できるようなカリキュラムの編成が大切です。
   また、教育を行うべき事項を次に示しますが、その具体的な内容については、VDT作業の作業形態、使用するVDT機器等各職場の実態に則したものが望まれます。
























 
対象 教育事項
従事職員








 
1 VDT作業の健康への影響
2 照明、採光及びグレアの防止
3 作業時間等
4 作業姿勢
5 VDT機器等の調整・使用法
6 作業環境の維持管理
7 健康診断とその結果に基づく措置
8 健康相談の体制
9 リラクゼーション等の実施
10 その他VDT作業に係る健康管理上留意すべき事項
従事職員を直接管理監督する職員










 
1 管理監督者の役割と心構え
2 健康管理制度の概要
3 VDT作業の健康への影響
4 照明、採光及びグレアの防止
5 作業時間等
6 作業姿勢
7 VDT機器等の調整・使用法
8 作業環境の維持管理
9 健康診断とその結果に基づく措置
10 健康相談の方法
11 リラクゼーション等の必要性と方法
12 従事職員に対する教育の方法
13 配慮事項
14 その他VDT作業に係る健康管理上留意すべき事項
 
6 配慮事項
 (1) 見やすい文字の大きさや作業に必要な照度等は、従事職員の年齢により大きく異なります。特に高年齢の職員に対しては、配慮が必要です。
  多くのVDT作業の場合、文字サイズ、輝度コントラスト等の表示条件は使用する機器の設定により調整することが可能であり、従事職員にとって見やすいように適合させることが望まれます。
   照明機器等も、天井に配置した全体照明とは別に必要となる場合は、局所に作業用照明機器を配置することにより個人の特性に配慮した照度条件を実現することが可能となります。
   作業時間、作業密度、教育、訓練等についても、高年齢職員の特性に適合させる配慮が望まれます。
 (2) VDT作業は、筋力や視力等に障害があっても作業できるように、種々の支援対策が準備されています。このような支援機器や適切な作業環境、作業管理によって、障害を有する場合でも、VDT作業を快適に行えるような措置を講じることが望まれます。