通勤による災害の認定について
(昭和48年11月27日職厚―1029)
(人事院事務総局職員局長発)
 
最終改正:平成28年5月30日職補―142
 
 標記については、人事院規則16―0(職員の災害補償)第3条及び第3条の2並びに災害補償制度の運用について(昭和48年11月1日職厚―905人事院事務総長)の記の第3通勤による災害の認定関係によるほか、下記によつてください。
 おつて、通勤による災害であるかどうかの認定は、個別具体的な事案に応じ、通勤災害保護制度の本旨に即し、下記に基づいて行うことになりますが、これによつても、なお認定が困難であると認められるときは、必要な資料を添えて、人事院事務総局職員福祉局長に協議してください。
 
 
1 基本的事項関係
  「通勤による災害」とは、国家公務員災害補償法(昭和26年法律第191号。以下「補償法」という。)第1条の2に規定する「通勤」に直接起因し、又は当該通勤と相当因果関係をもって発生した負傷、疾病、障害又は死亡をいう。
  例えば、補償法第1条の2に規定する「通勤」の途上において
 @ 自動車にひかれたことによる負傷
 A 電車が急停車したため転倒したことによる負傷
 B 駅の階段から転落したことによる負傷
 C 歩行中ビルの建設現場から落下してきた物体が当たったことによる負傷
 D 危険物運搬車が転倒し、そのため流出した有害物質によりかかった急性中毒
 等は、原則として、「通勤による災害」と認められるが、
 @ 自殺その他被災職員の故意によって生じた災害
 A 私的怨恨によって生じた災害
 等は、通勤に通常伴うと認められる危険が具体化したものではないので、「通勤による災害」とは認められない。
2 「通勤」の範囲関係
  「通勤」の定義については、補償法第1条の2に規定されているが、この場合において、具体的には次によるものとする。
 (1) 「勤務のため」について
   「勤務のため」とは、移動が勤務義務を履行するため又は勤務から解放されたために行われるものであることを必要とする趣旨を示すものであり、「勤務のため」の移動であることは、職員について生じた災害が「通勤による災害」であると認定されるための第一の前提となる。
   この場合、原則的には、職員が、明示又は黙示の指示により勤務すべきこととされていたか否か、又は現実に勤務に従事したか否かが、その判断の基礎となる。
   この場合の「勤務」については、職員に通常割り当てられている職務に従事することのほか、
  @ 臨時に割り当てられた職務を遂行すること。
  A 国家公務員法(昭和22年法律第120号)第3章第4節の2による研修を受けること。
  B 人事院規則10―4(職員の保健及び安全保持)による健康診断を受けること。
  C 国、行政執行法人、独立行政法人通則法の一部を改正する法律(平成26年法律第66号)による改正前の独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第2項に規定する特定独立行政法人又は郵政民営化法(平成17年法律第97号)第166条第1項の規定による解散前の日本郵政公社の支配管理の下に実施される行事(レクリエーション行事、表彰式等)に参加すること。
  等も含まれるが、逆に
  @ 週休日に官署又は事務所の施設を利用してサークル活動をすること。
  A 免許又は資格の取得等を目的として私的に通学すること。
  等は、「勤務」とは認められない。
   「勤務のため」の移動であると認められるか否かの判断については、出勤時と退勤時とで若干趣を異にする面があるが、まず、出勤時については、所定の勤務開始時刻までに間に合うように住居を出発している場合のほか、
  @ 交通機関の混雑を避ける目的で早めに出勤する場合
  A 通常の出勤時間より遅く住居を出て出勤する場合
  等についても、原則として「勤務のため」と認められるが、逆に、サークル活動等勤務とは関係のない行為をする目的で住居を出た場合等は、「勤務のため」とは認められない。
   退勤については、所定の勤務終了後、直ちに帰途につく場合のほか、所用のため休暇を利用して早退して退勤する場合等についても、原則として「勤務のため」と認められるが、逆に、サークル活動等勤務と関係のない行為をした後に帰途につく場合等で、社会通念上、勤務と帰宅との間の直接関連性が失われたと認められる場合には、原則として「勤務のため」とは認められない。
   なお、「勤務のため」の通勤は、1日について1回に限られる性質のものではなく、例えば、昼の休憩時間等を利用して帰宅する場合についても「勤務のため」のものと認められることがある。
   また、補償法第1条の2第1項第3号の移動が「勤務のため」の移動であると認められるか否かの判断については、勤務と帰宅との間の直接関連性を失わせる事情のないことを前提としつつ、次のとおりとする。
  @ 帰省先の住居から赴任先の住居への移動が、勤務に就く当日又は前日に行われた場合には、「勤務のため」の移動と認められるものとし、当該移動が勤務に就く前々日以前から行われた場合には、業務の都合、交通機関の状況等の合理的理由が認められるときに、「勤務のため」の移動と認められるものとする。
  A 赴任先の住居から帰省先の住居への移動が、勤務に従事した当日又は翌日に行われた場合には、「勤務のため」の移動と認められるものとし、当該移動が勤務に従事した翌々日以後に行われた場合には、業務の都合、交通機関の状況等の合理的理由が認められるときに、「勤務のため」の移動と認められるものとする。
 (2) 「住居」について
   「住居」とは、職員が日常生活を営むため居住している家屋等のある場所、すなわち、勤務のための拠点となるものをいい、特別な事情の下における臨時の宿泊場所を含むものとする。
   したがって、日常家族と起居を共にしている家屋等のほか、
  @ 職員が、その勤務のための必要から、家族が居住する家屋等とは別に勤務場所の近くに特に設けた住居
  A 長時間にわたる超過勤務を行った場合その他の勤務上の都合、交通機関の事故その他の交通事情等から一時的に通常の住居以外の場所に宿泊する場合の当該臨時の宿泊場所
  B 職員が長期間(おおむね1月以上)にわたる宿泊を要する研修の受講又は出張を命ぜられた場合における宿泊場所
等も「住居」と認められるが、逆に、私用のために宿泊した友人宅等は、「住居」とは認められない。
   一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)に規定する単身赴任手当(これに相当する手当を含む。)の支給を受ける職員については、官署を異にする異動等に伴い、移転する直前の住居は、「住居」と認められる。
 (3) 「勤務場所」について
   「勤務場所」とは、勤務すべき場所として明示又は黙示に指示された場所をいい、通常の勤務官署等のほか、
  @ 官署又は事務所の長の支配管理下において実施されるレクリエーション行事が行われる場所
  A 国家公務員法第3章第4節の2に基づく研修が行われる場所
  B 出張の場合の用務先
等も「勤務場所」と認められる。
   なお、外勤業務に従事する職員で、特定区域を担当し、当該区域内にある数か所の用務先を受け持って自宅との間を往復する者については、原則として自宅を出てから合理的な経路及び方法により最初の用務先に着くまでの間及び最後の用務先を出てから合理的な経路及び方法により自宅へ戻るまでの間を「通勤」とする。
 (4) 「通勤」の始点と終点について
   「通勤」の始点又は終点は、原則として、住居にあっては門、外戸等、勤務場所にあっては国、行政執行法人、独立行政法人通則法の一部を改正する法律による改正前の独立行政法人通則法第2条第2項に規定する特定独立行政法人又は郵政民営化法第166条第1項の規定による解散前の日本郵政公社施設管理権が及ぶ範囲をその境界点とする。
 (5) 「合理的な経路及び方法」について
   「合理的な経路」とは、補償法第1条の2第1項各号に掲げる移動を行う場合に、社会通念上用いるものと認められる経路をいい、「合理的な方法」とは、通勤のための手段として、社会通念上用いるものと認められるものをいう。
  (ア) 「経路」については
   @ 定期乗車券に示された経路
   A 通勤届に示された経路
   B 通常用いる交通機関が途絶した場合等その日の交通事情により、迂回してとる経路
   C 出勤又は退勤に自家用自動車を利用している者が駐車場を経由する経路
   D 共働き職員等で他に子供を監護する者がいないものが、子供を預けるために託児所等を経由する経路
等は、「合理的な経路」と認められるが、逆に、特段の合理的理由がないにもかかわらず、著しく遠回りとなる経路をとる場合には、その経路は、「合理的な経路」とは認められない。
    なお、「合理的な経路」は、一の職員について一の経路と限られるものではなく、例えば、タクシー等を利用する場合に、通常利用すると認められる経路が2、3ある場合にも、その経路は、いずれも「合理的な経路」と認められる。
  (イ) 「方法」については
   @ 徒歩による場合
   A 自家用自動車、自転車等による場合
   B 公共交通機関による場合
等は、一般に「合理的な方法」と認められるが、
   @ 法令により徒歩通行が禁止されている鉄道地、高速道路を徒歩で通る場合
   A 運転免許を一度も取得したことのない者が自家用自動車を運転する場合
   B 酒気を帯びた状態で自家用自動車等を運転する場合又は泥酔した状態で自転車を運転する場合
等は、「合理的な方法」とは認められない。
    なお、免許証不携帯・免許証更新忘れによる無免許運転の場合等は、必ずしも、合理性を欠くものとして取り扱う必要はないが、この場合において、諸般の事情を勘案し、補償の制限が行われることがあることは当然である。
 (6) 「公務の性質を有するもの」について
   「公務の性質を有するもの」とは、上記(1)から(5)までの要件を満たす往復行為であっても、当該往復行為による災害が公務上の災害と認められるものをいい、「災害補償制度の運用について」の記の第2公務上の災害の認定関係の(1)のキに該当する出勤又は退勤がこれに該当する。
 (7) 「逸脱」及び「中断」について
   通勤の途中において、職員が合理的な経路から逸脱し、又は移動を中断した場合には、当該逸脱又は中断をした時点から以後の移動については「通勤」とは認められないが、当該逸脱又は中断が「日常生活上必要な行為であって人事院規則で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のもの」である場合には、当該逸脱又は中断の間を除き「通勤」と認められる。
   この場合の「逸脱」とは、出勤又は退勤の途中で「勤務のため」とは関係のない目的で合理的な経路をそれることをいい、「中断」とは、出勤又は退勤の経路上で「通勤」とは関係のない行為を行うことをいう。
   例えば、通勤の途中で、
  @ マージャンに興じた場合
  A 映画館に入った場合
  B バー、キャバレー等で飲食した場合
  C デートのため長時間にわたってベンチで話し込んだり、経路から外れた場合
等は、逸脱又は中断に該当する。
   ただし、
  @ 公衆便所を利用する場合
  A タバコ、雑誌等を購入する場合
  B 公園で短時間休息する場合
  C 駅の構内でジュースの立飲みをする場合
  D 経路上の店で渇きをいやすためにごく短時間、コーヒー、紅茶等を飲む場合
等通常通勤に伴うと認められる行為を行う場合は、原則として、逸脱又は中断に該当しないものとして取り扱う。
 (8) 「日常生活上必要な行為であって人事院規則で定めるもの」について
   「日常生活上必要な行為であって人事院規則で定めるもの」としては、
  @ 日用品の購入その他これに準ずる行為
  A 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校において行われる教育、職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第15条の7第3項に規定する公共職業能力開発施設において行われる職業訓練その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の向上に資するものを受ける行為
  B 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
  C 選挙権の行使その他これに準ずる行為
  D 負傷、疾病又は老齢により2週間以上の期間にわたり日常生活を営むのに支障がある配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下2の(8)のDにおいて同じ。)、子、父母、配偶者の父母及び「災害補償制度の運用について」の記の第3通勤による災害の認定関係の3に該当する者の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)
が定められている。この場合 
   (ア) @の「日用品の購入」とは、職員又はその家族が日常の生活の用に供するためしばしば用いる物品の購入をいい、食料、文房具、書籍の購入等がこれに該当する。
     「これに準ずる行為」については、
    T 独身職員が食堂で食事をする場合
    U クリーニング店に立ち寄る場合
    V 単身赴任者が、住居と勤務場所との間の往復又は当該往復に先行し、若しくは後続する住居間の移動に際し、これらの移動に長時間要することにより、食堂で食事をする場合や自家用自動車内等で仮眠をとる場合
等が該当する。
   (イ) Aの「職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第15条の7第3項に規定する公共職業能力開発施設」については、国、都道府県及び市町村並びに独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が設置する職業能力開発校、職業能力開発短期大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発促進センター及び障害者職業能力開発校が該当する。
「これらに準ずる教育訓練であって職業能力の向上に資するもの」については、
    T 学校教育法第124条に規定する専修学校の高等課程、専門課程及び一般課程
    U 学校教育法第134条に規定する各種学校における教育で、一般的に職業に必要な技術に関し1年以上の修業期間を定めて行われるもの
    V 職業能力開発促進法第27条に規定する職業能力開発総合大学校の訓練課程
    W TからVまでに掲げるもののほか、教育訓練の内容及び形態がこれらに準ずると認められる教育訓練が該当する。
   (ウ) Bの「診察又は治療を受けること」については、人工透析等比較的長時間を要する医療を受ける行為が含まれる。
      「その他これらに準ずる行為」については、あん摩、マッサージ若しくは指圧、はり、きゅう又は柔道整復の施術を受ける行為等が該当する。
   (エ) Cの「その他これに準ずる行為」については、最高裁判所の裁判官の国民審査及び普通地方公共団体の議会の議員又は長の解職の投票に係る権利等の行使が該当する。
   (オ) Dについては、例えば、定期的に、帰宅途中に老齢により寝たきりの状態にある父の介護を行うために父が同居している兄宅に一定時間立ち寄る場合等が該当する。
 (9) 「やむを得ない事由により行うための最小限度のもの」について
   「やむを得ない事由により行うための最小限度のもの」とは、日常生活の必要から通勤の途中で行う必要のあるものをいい、かつ、逸脱又は中断の原因となった行為の目的達成のために必要とする最小限度の時間、距離等によるものをいう。
   例えば、
  @ 高級レストランで食事をした場合
  A 夕食の前に度を越した飲酒をした場合
等はこれに該当しない。
3 船員である職員に係る「通勤」の範囲関係
  船員である職員に係る「通勤」の範囲の取扱いについては、船員保険法(昭和14年法律第73号)による取扱いとの均衡を考慮し、前記2によるほか、次によるものとする。
 (1) 「住居」について
   「住居」には、船員である職員が出港前の準備又は入港後の修理のために港の近くに一時的に借りたアパート、ドック入りしている船舶の船員である職員がドックへ通うために宿泊するドックハウス等も含まれる。
 (2) 「勤務場所」について
   船員である職員の勤務場所には、通常乗り組む船舶のほか、出港準備のための作業場等も含まれる。
 (3) 「合理的な経路」について
   船員である職員が長期航海後に休暇等を利用して妻子の居住する場所に帰る経路等は、通勤のためのものと認められる。
 
以   上