アフターケアの範囲の基準等について
(昭和63年4月8日職補―184)
(人事院事務総局職員局長発)
 
最終改正:平成19年6月29日職補―227
 
 人事院規則16―3(災害を受けた職員の福祉事業)第13条の規定によるアフターケアの範囲の基準等について、下記のとおり定めたので、昭和63年4月1日以降はこれによってください。
 なお、「療養の範囲の基準について(昭和50年職補―867)」及び「せき髄損傷者等に対するアフターケアの範囲の基準について(昭和58年職補―125)」は廃止します。
 
 
目次
 第1 外傷による脳の器質的損傷、一酸化炭素中毒、減圧症、脳血管疾患又は有機溶剤中毒等に由来する脳の器質性障害が生じた者に対するアフターケア
 第2 頭けい部外傷症候群、けい肩腕障害又は腰痛を有する者に対するアフターケア
 第3 せき髄を損傷した者に対するアフターケア
 第4 尿道狭さくを有する者又は尿路変向術を受けた者に対するアフターケア
 第5 白内障等の眼疾患を有する者に対するアフターケア
 第6 慢性のウイルス肝炎となつた者に対するアフターケア
 第7 慢性の化膿性骨髄炎となった者に対するアフターケア
 第8 振動障害を有する者に対するアフターケア
 第9 人工関節又は人工骨頭に置換した者に対するアフターケア
 第10 大腿骨頸部を骨折し、又は股関節を脱臼し、若しくは脱臼骨折した者に対するアフターケア
 第11 心・血管疾患にり患した者又はペースメーカ若しくは除細動器を植え込んだ者に対するアフターケア
 第12 尿路系腫瘍を有する者に対するアフターケア
 第13 熱傷の傷病者に対するアフターケア
 第14 外傷により末梢神経を損傷した者に対するアフターケア
 第15 精神疾患等にり患した者に対するアフターケア
 第16 心臓弁を損傷した者、心膜の病変を有する者又は人工弁若しくは人工血管に置換した者に対するアフターケア
 第17 呼吸機能障害を有する者に対するアフターケア
 第18 消化吸収障害、逆流性食道炎、ダンピング症候群、腸管癒着、排便機能障害若しくはすい機能障害を有する者又は消化器ストマを造設した者に対するアフターケア
 
第1 外傷による脳の器質的損傷、一酸化炭素中毒、減圧症、脳血管疾患又は有機溶剤中毒等に由来する脳の器質性障害が生じた者に対するアフターケア
 1 趣旨
  外傷による脳の器質的損傷を受けた者等で精神又は神経の障害を残すものは、症状固定後においても、環境変化等により症状が動揺することがあるため、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状の安定を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
  なお、減圧症とは、生体に急速な減圧が作用した場合に発症する中枢神経系の障害等の総称であって、一般に、潜かん病、潜水病、高山病、航空減圧症等といわれる疾病である。また、「脳型の減圧症」とは脳の器質的損傷が生じた減圧症を、「せき髄型の減圧症」とはせき髄の損傷が生じた減圧症をいう。
 2 アフターケアの範囲の基準
  アフターケアとして必要であると認められる診察には、保健指導、検査並びに診察に付随する診断、処方及び意見を含むものとし(第2から第18までにおいて同様とする。)、アフターケアの各項目における範囲の基準は次のとおりとする。
  (1) 「診察」は、原則として1月に1回必要に応じて行い、治癒後3年(外傷による脳の器質的損傷、一酸化炭素中毒又は減圧症に由来する脳の器質性障害が生じた者にあっては2年)を限度とする。ただし、医学的に必要と認められる者については、その必要な期間継続して行うことができるものとする。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の都度行う。
  (3) 「検査」は、次に掲げる検査を、(1)の「診察」の結果必要に応じて、それぞれに掲げる範囲で、原則として1年に1回行う。ただし、四肢麻ひ等が出現した者で医学的に必要と認められるものについては、第3の2の(3)の範囲で検査できるものとする。
   ア 末しょう血液一般・生化学的検査
   イ 尿検査
   ウ 脳波検査
   エ 心理検査
   オ 視機能検査(眼底検査等を含む。) 公務上若しくは通勤による疾病以外の疾病又は近視、老視等による眼に関する病訴との鑑別のために行う。
   カ 前庭平衡機能検査 めまい感又は身体平衡障害の病訴のある者に対して行う。
   キ 頭部のエックス線検査
   ク 頭部のCT、MRI等検査 医学的に特に必要と認められる者に対して行う。
  (4) 「薬剤又は治療材料の支給」は、次に掲げる薬剤(医学的に併用することが必要と認められる薬剤を含む。第2から第18までにおいて同様とする。)を、(1)の「診察」の都度、必要に応じて支給する。ただし、四肢麻ひ等が出現した者で医学的に必要と認められるものについては、第3の2の(4)の範囲で支給できるものとする。
   ア 神経系機能賦活薬
   イ 向精神薬
   ウ 筋し緩薬
   エ 自律神経薬
   オ 鎮痛・消炎薬(外用薬を含む。)
   カ 抗パーキンソン薬
   キ 抗てんかん薬
   ク 循環改善薬(鎮うん薬、血管拡張薬及び昇圧薬を含む。)
  (5) 「処置、手術その他の治療」は、(1)の「診察」の都度、必要に応じて専門医師による精神療法又はカウンセリング(生活指導に重点を置いたものとする。)を行う。ただし、四肢麻ひ等が出現した者で医学的に必要と認められるものについては、第3の2の(5)の範囲で処置できるものとする。
  (6) 「居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護」、「病院又は診療所への入所及びその療養に伴う世話その他の看護」又は「移送」は、医学上又は社会通念上特に必要であり、かつ、相当であると認められる範囲のものに限る。第2から第18までにおいて同様とする。
 
第2 頭けい部外傷症候群、けい肩腕障害又は腰痛を有する者に対するアフターケア
 1 趣旨
  頭けい部外傷症候群等を有する者で神経の障害を残すものは、症状固定後においても環境変化等により症状が動揺することがあるため、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状の安定を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
 2 アフターケアの範囲の基準
  (1) 「診察」は、原則として1月に1回必要に応じて行い、治癒後2年を限度とする。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の都度行う。
  (3) 「検査」は、(1)の「診察」の結果必要に応じて、エックス線検査を原則として1年に1回行う。
  (4) 「薬剤又は治療材料の支給」は、次に掲げる薬剤を、(1)の「診察」の都度、必要に応じて支給する。ただし、イについては、頭けい部外傷症候群を有する者に限る。
   ア 神経系機能賦活薬
   イ 向精神薬
   ウ 筋し緩薬
   エ 鎮痛・消炎薬(外用薬を含む。)
   オ 循環改善薬(鎮うん薬、血管拡張薬及び昇圧薬を含む。)
  (5) 「処置、手術その他の治療」は、医学上又は社会通念上特に必要であり、かつ、相当であると認められる範囲のものに限る。
 
第3 せき髄を損傷した者に対するアフターケア
 1 趣旨
   せき髄を損傷した者は、症状固定後においても、じょくそう、尿路感染等に対する処置を要することがあるので、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状固定時の状態の維持を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
 2 アフターケアの範囲の基準
  (1) 「診察」は、原則として1月に1回必要に応じて行う。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の都度行う。
  (3) 「検査」は、次に掲げる検査を、医学的に必要と認められる者に対して、それぞれに掲げる範囲で行う。
   ア 尿検査(尿培養検査を含む。) 原則として(1)の「診察」の都度行う。
   イ CRP検査 原則として1年に1回行う。
   ウ 末しょう血液一般・生化学的検査 原則として1年に1回行う。
   エ ぼうこう機能検査 原則として1年に1回行う。ただし、残尿測定検査(超音波検査によるものを含む。)については、必要に応じて行う。
   オ 腎臓、ぼうこう及び尿道のエックス線検査 原則として1年に1回行う。
   カ 損傷せき椎及び麻ひ域関節のエックス線検査、CT及びMRI検査 原則として1年に1回行う。
  (4) 「薬剤又は治療材料の支給」は、次に掲げる薬剤又は治療材料を、(1)の「診察」の都度、必要に応じて支給する。ただし、イについては、原則として尿路感染者、じょくそうのある者に対して支給する。
   ア じょくそう処置用・尿路処置用外用薬
   イ 抗菌薬(抗生物質、外用薬を含む。)
   ウ 筋し緩薬(鎮けい薬を含む。)
   エ 自律神経薬
   オ 向精神薬
   カ 鎮痛・消炎薬(外用薬を含む。)
   キ 整腸薬、下剤及びかん腸薬
   ク 排尿障害改善薬及び頻尿治療薬
   ケ 末しょう神経障害治療薬
   コ 特に必要と認められる場合の治療材料
  (5) 「処置、手術その他の治療」は、次に掲げる処置を、(1)の「診察」の都度、必要に応じて行う。
   ア じょくそう処置
   イ 尿路処置(導尿、ぼうこう洗浄、留置カテーテル設置・交換を含む。)
 
第4 尿道狭さくを有する者又は尿路変向術を受けた者に対するアフターケア
 1 趣旨
   尿道狭さくを有する者又は尿路変向術を受けた者は、症状固定後においても、尿流が妨げられることによりじん機能障害や尿路感染症を発症することがあるので、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状固定時の状態の維持を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
 2 アフターケアの範囲の基準
  (1) 「診察」は、原則として1月から3月に1回必要に応じて行い、治癒後3年を限度とする。ただし、医学的に必要と認められる者については、その必要な期間継続して行うことができるものとする。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の都度行う。
  (3) 「検査」は、次に掲げる検査を、(1)の「診察」の結果医学的に必要と認められる者に対して、それぞれに掲げる範囲で行う。
   ア 尿検査(尿培養検査を含む。) 原則として1月から3月に1回行う。
   イ 末しょう血液一般・生化学的検査 原則として1年に2回行う。
   ウ エックス線検査 原則として1年に1回行う。
   エ 腹部超音波検査 原則として1年に1回行う。
   オ CT検査 代用ぼうこうを造設した者に対し、原則として1年に1回行う。
   カ CRP検査 原則として1年に2回行う。
  (4) 「薬剤又は治療材料の支給」は、次に掲げる薬剤を、尿道ブジー等実施の都度、必要に応じて、1週間分程度支給する。
   ア 止血薬
   イ 抗菌薬(抗生物質を含む。)
   ウ 自律神経薬
   エ 抗炎症薬及び鎮痛薬
   オ 尿路処置用外用薬
   カ 排尿障害改善薬及び頻尿治療薬
  (5) 「処置、手術その他の治療」は、原則として(1)の「診察」の都度、必要に応じて、尿道ブジー(誘導ブジーを含む。)及び尿路処置(導尿、ぼうこう洗浄、留置カテーテル設置・交換を含む。)を行い自宅等で使用するためのカテーテル、カテーテル用消毒液(洗浄剤及び潤滑剤を含む。)及び滅菌ガーゼを支給する。
 
第5 白内障等の眼疾患を有する者に対するアフターケア
 1 趣旨
   白内障等の眼疾患を有する者は、症状固定後においても視機能が動揺することがあるので、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状固定時の状態の維持を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
   なお、アフターケアの対象者たる「眼疾患を有する者」とは、白内障を有する者のほか、緑内障、網膜はく離、角膜疾患、眼けん内反等の眼疾患を有する者をいうものとする。
 2 アフターケアの範囲の基準
  (1) 「診察」は、原則として1月に1回必要に応じて行い、治癒後2年を限度とする。ただし、医学的に必要と認められる者については、その必要な期間継続して行うことができるものとする。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の都度行う。
  (3) 「検査」は、次に掲げる検査を、(1)の「診察」の結果医学的に必要と認められる者に対して行う。
   ア 矯正視力検査
   イ 屈折検査
   ウ 細げき燈顕微鏡検査
   エ 前房隅角検査
   オ 精密眼圧測定
   カ 精密眼底検査
   キ 量的視野検査
  (4) 「薬剤又は治療材料の支給」は、次に掲げる薬剤を、(1)の「診察」の都度、必要に応じて支給する。
   ア 外用薬
   イ 眼圧降下薬
 
第6 慢性のウイルス肝炎となった者に対するアフターケア
 1 趣旨
  慢性のウイルス肝炎にり患した者で、症状固定後においても、ウイルスの持続感染が認められる者は、肝炎の再燃又は肝病変の進行をきたすことがあるので、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状固定時の状態の維持を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
 2 アフターケアの範囲の基準
  (1) 「診察」は、原則として、B型肝炎ウイルス感染者でHBe抗原陽性のもの又はC型肝炎ウイルス感染者については1月に1回、B型肝炎ウイルス感染者でHBe抗原陰性のものについては6月に1回、必要に応じて行い、治癒後3年を限度とする。ただし、医学的に必要と認められる者については、その必要な期間継続して行うことができるものとする。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の結果医学的に必要と認められる者に対し、それぞれに掲げる範囲で行う。
  (3) 「検査」は、次に掲げる検査を、(1)の「診察」の結果必要に応じて、それぞれに掲げる範囲で行う。
   ア 末しょう血液一般検査 原則として6月に1回行う。
   イ 生化学的検査 原則として、B型肝炎ウイルス感染者でHBe抗原陽性のもの又はC型肝炎ウイルス感染者については1月に1回、B型肝炎ウイルス感染者でHBe抗原陰性のものについては6月に1回行う。
   ウ 腹部超音波検査 原則として6月に1回行う。
   エ B型肝炎ウイルス感染マーカー 医学的に特に必要と認められる者に対して行う。
   オ HCV抗体 医学的に特に必要と認められる者に対して行う。
   カ HCV―RNA同定(定性)検査 医学的に特に必要と認められる者に対して行う。
   キ AFP(α―フェトプロテイン) 医学的に特に必要と認められる者に対して行う。
   ク PIVKA―U 医学的に特に必要と認められる者に対して行う。
   ケ プロトロンビン時間検査 医学的に特に必要と認められる者に対して行う。
   コ CT検査 医学的に特に必要と認められる者に対して行う。
 
第7 慢性の化膿性骨髄炎となった者に対するアフターケア
 1 趣旨
   骨折等により化膿性骨髄炎を併発し、引き続き慢性の化膿性骨髄炎に移行した者は、症状固定後においても、引き続き骨髄炎再燃の予防その他医学的措置を要することがあるので、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状固定時の状態の維持を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
 2 アフターケアの範囲の基準
  (1) 「診察」は、原則として1月から3月に1回必要に応じて行い、治癒後3年を限度とする。ただし、医学的に必要と認められる者については、その必要な期間継続して行うことができるものとする。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の都度行う。
  (3) 「検査」は、次に掲げる検査を、(1)の「診察」の結果医学的に必要と認められる者に対し、それぞれに掲げる範囲で行う。
   ア 末しょう血液一般・生化学的検査 原則として1月から3月に1回行う。
   イ 細菌検査 必要に応じて行う。
   ウ エックス線検査 原則として3月から6月に1回行う。
   エ シンチグラム、CT、MRI等検査 特に必要と認められる者に対して行う。
   オ CRP検査 原則として1年に2回行う。
  (4) 「薬剤又は治療材料の支給」は、次に掲げる薬剤を、(1)の「診察」の都度、必要に応じて支給する。
   ア 抗菌薬(抗生物質、外用薬を含む。)
   イ 鎮痛・消炎薬(外用薬を含む。)
 
第8 振動障害を有する者に対するアフターケア
 1 趣旨
   振動障害にかかった者のうちには、症状固定後においても環境変化等に伴い、後遺症状に動揺をきたすことがあるので、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状固定時の状態の維持を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
 2 アフターケアの範囲の基準
  (1) 「診察」は、原則として1月に1回又は2回必要に応じて行い、治癒後2年を限度とする。ただし、医学的に必要と認められる者については、その必要な期間継続して行うことができるものとする。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の都度行う。特に身体局所に対する振動刺激を避けるよう努めさせるとともに、防寒・保温、適度の運動の実施、喫煙の禁止等日常生活上の配慮について指導するものとする。
  (3) 「検査」は、次に掲げる検査を、(1)の「診察」の結果医学的に必要と認められる者に対し、原則として1年に1回行う。ただし、カについては、放射線による身体的影響を考慮して、必要と認められる者に限り、原則として2年に1回行うことができるものとする。
   ア 末しょう血液一般・生化学的検査
   イ 尿検査
   ウ 末梢循環機能検査
     常温下皮膚温・爪圧迫検査
   エ 末梢神経機能検査
    (ア) 常温下痛覚・振動覚検査
    (イ) 神経伝導速度検査 遅発性尺骨神経麻ひのある者に対して行う。
   オ 末梢運動機能検査
     握力の検査
   カ 手関節及び肘関節のエックス線検査
  (4) 「薬剤又は治療材料の支給」は、次に掲げる薬剤又は治療材料を(1)の「診察」の都度、必要に応じて支給する。
   ア ニコチン酸薬
   イ 循環ホルモン薬
   ウ ビタミンB、B、B、B12、E剤
   エ Caきっこう薬
   オ 交感神経α―受容体抑制薬
   カ 鎮痛・消炎薬(外用薬を含む。)
  (5) 「処置、手術その他の治療」は、医学上社会通念上特に必要であり、かつ、相当であると認められる範囲のものに限る。
 
第9 人工関節又は人工骨頭に置換した者に対するアフターケア
 1 趣旨
   人工関節又は人工骨頭に置換した者のうちには、症状固定後における使用に伴い、挿入人工関節及び人工骨頭の耐久性の維持、固定の緩み、感染が問題となるので、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状固定時の状態の維持を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
 2 アフターケアの範囲の基準
  (1) 「診察」は、原則として3月から6月に1回必要に応じて行う。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の都度行う。
  (3) 「検査」は、次に掲げる検査を、(1)の「診察」の結果必要に応じて、それぞれに掲げる範囲で行う。
   ア 末しょう血液一般・生化学的検査 原則として3月から6月に1回行う。
   イ エックス線検査 原則として3月から6月に1回行う。
   ウ CRP検査 原則として1年に2回行う。
   エ シンチグラム検査 医学的に特に必要と認められる者に対して行う。
  (4) 「薬剤又は治療材料の支給」は、(1)の「診察」の都度、必要に応じて鎮痛・消炎薬(外用薬を含む。)を支給する。
 
第10 大腿骨頸部を骨折し、又は股関節を脱臼し、若しくは脱臼骨折した者に対するアフターケア
 1 趣旨
   大腿骨頸部を骨折し、又は股関節を脱臼し、若しくは脱臼骨折した者は、症状固定後においても大腿骨骨頭壊死の発症をきたすことがあるので、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状固定時の状態の維持を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
 2 アフターケアの範囲の基準
  (1) 「診察」は、原則として3月から6月に1回必要に応じて行い、治癒後3年を限度とする。ただし、医学的に必要と認められる者については、その必要な期間継続して行うことができるものとする。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の都度行う。
  (3) 「検査」は、次に掲げる検査を、(1)の「診察」の結果必要に応じて、それぞれに掲げる範囲で行う。
   ア 末しょう血液一般・生化学的検査 原則として3月から6月に1回行う。
   イ エックス線検査 原則として3月から6月に1回行う。
   ウ シンチグラム、CT、MRI等検査 医学的に特に必要と認められる者に対して行う。
  (4) 「薬剤又は治療材料の支給」は、(1)の「診察」の都度、必要に応じて鎮痛・消炎薬(外用薬を含む。)を支給する。
 
第11 心・血管疾患にり患した者又はペースメーカ若しくは除細動器を植え込んだ者に対するアフターケア
 1 趣旨
   心・血管疾患にり患した者又はペースメーカ若しくは除細動器(以下「ペースメーカ等」という。)を植え込んだ者は、症状固定後においても、狭心症、不整脈あるいは心機能障害が残存することが多く、また、植え込んだペースメーカ等は、身体条件の変化や機器の不具合等により不適正な機器の作動が生じることがあるので、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状固定時の状態の維持を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
 2 アフターケアの範囲の基準
  (1) 「診察」は、原則として、心・血管疾患にり患した者については1月に1回必要に応じて行い、治癒後3年を限度とし、ペースメーカ等を植え込んだ者については1月から3月に1回必要に応じて行う。ただし、心・血管疾患にり患した者で、医学的に必要と認められるものについては、その必要な期間継続して行うことができるものとする。
   また、「ペースメーカ等の定期チェック」は、原則として6月から1年に1回、ペースメーカ等のパルス幅、スパイク間隔、マグネットレート、刺激いき値、感度等の機能指標を計測するとともに、アフターケア上必要な指導を行う。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の都度行う。
  (3) 「検査」は、次に掲げる検査を、(1)の「診察」の結果必要に応じて、それぞれに掲げる範囲で行う。
   ア 末しょう血液一般・生化学的検査 原則として、心・血管疾患にり患した者については1月に1回、ペースメーカ等を植え込んだ者については1月から6月に1回行う。
   イ 胸部エックス線検査 原則として、心・血管疾患にり患した者については1月に1回、ペースメーカ等を植え込んだ者については6月に1回行う。
   ウ 心電図検査 安静時及び負荷検査を原則として、心・血管疾患にり患した者については1月に1回、ペースメーカ等を植え込んだ者については1月から6月に1回行う。
   エ 尿検査 原則として、心・血管疾患にり患した者については1月に1回、ペースメーカ等を植え込んだ者については1月から6月に1回行う。
   オ ホルター心電図検査 心・血管疾患にり患した者については医学的に特に必要と認められる者に対して行い、ペースメーカ等を植え込んだ者については原則として1年に1回行う。
   カ 心臓超音波検査 医学的に特に必要と認められる者に対して行う。
   キ 心臓核医学検査 医学的に特に必要と認められる者に対して行う。
  (4) 「薬剤又は治療材料の支給」は、次に掲げる薬剤を(1)の「診察」の都度、必要に応じて支給する。
   ア 抗狭心症薬
   イ 抗不整脈薬
   ウ 心機能改善薬
   エ 循環改善薬(利尿薬を含む。)
   オ 向精神薬
 
第12 尿路系腫瘍を有する者に対するアフターケア
 1 趣旨
   尿路系腫瘍を有する者は、その症状が固定した後も再発の可能性が非常に高い疾病であるので、定期的な検査が必要となることから、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状固定時の状態の維持を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
 2 アフターケアの範囲の基準
  (1) 「診察」は、原則として1月に1回必要に応じて行い、治癒後3年を限度とする。ただし、医学的に必要と認められる者については、その必要な期間継続して行うことができるものとする。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の都度行う。
  (3) 「検査」は、次に掲げる検査を、(1)の「診察」の結果医学的に必要と認められる者に対し、それぞれに掲げる範囲で行う。
   ア 尿検査(尿培養検査を含む。) 原則として1月に1回行う。
   イ 尿細胞診検査 原則として1月に1回行う。
   ウ 内視鏡検査 原則として3月から6月に1回行う。
   エ 超音波検査 原則として3月から6月に1回行う。
   オ 腎盂造影検査 原則として3月から6月に1回行う。
   カ CT検査 原則として3月から6月に1回行う。
  (4) 「薬剤又は治療材料の支給」は、次に掲げる薬剤を、(1)の「診察」の都度、必要に応じて支給する。
   ア 再発予防のための抗がん剤 医学的に特に必要と認められる者について、治癒後1年を限度として投与することができる。
   イ 抗菌薬(抗生物質を含む。)
 
第13 熱傷の傷病者に対するアフターケア
 1 趣旨
   熱傷の傷病者のうちにはその症状固定後においても傷痕による皮膚のそうよう、湿しん、皮膚炎等の後遺症を残すことがあるので、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状固定時の状態の維持を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
 2 アフターケアの範囲の基準
  (1) 「診察」は、原則として1月に1回必要に応じて行い、治癒後3年を限度とする。ただし、医学的に必要と認められる者については、その必要な期間継続して行うことができるものとする。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の都度行う。
  (3) 「検査」は、次に掲げる検査を、(1)の「診察」の結果医学的に必要と認められる者に対し、原則として年1回行う。
   ア 末しょう血液一般・生化学的検査
   イ 尿検査
  (4) 「薬剤又は治療材料の支給」は、(1)の「診察」の都度、必要に応じて外用薬等(抗菌薬を含む。)を支給する。
 
第14 外傷により末梢神経を損傷した者に対するアフターケア
 1 趣旨
   外傷により末梢神経を損傷した者は、症状固定後においても末梢神経損傷に起因するRSD(反射性交感神経ジストロフィー)又はカウザルギーを生ずる場合があり、この痛み等を緩和する必要があることから、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状固定時の状態の維持を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
 2 アフターケアの範囲の基準
  (1) 「診察」は、原則として1月に1回又は2回必要に応じて行い、治癒後3年を限度とする。ただし、医学的に必要と認められる者については、その必要な期間継続して行うことができるものとする。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の都度行う。
  (3) 「検査」は、次に掲げる検査を、(1)の「診察」の結果医学的に必要と認められる者に対し、それぞれに掲げる範囲で行う。
   ア 末しょう血液一般・生化学的検査 原則として1月に1回行う。
   イ 尿検査 原則として1月に1回行う。
   ウ エックス線検査 特に必要と認められる者に対し、1年に2回を限度として行う。
   エ 骨シンチグラフィー 特に必要と認められる者に対し、1年に2回を限度として行う。
  (4) 「薬剤又は治療材料の支給」は、次に掲げる薬剤を、(1)の「診察」の都度、必要に応じて鎮痛・消炎剤(外皮用剤を含む。)を支給する。
   ア 鎮痛・消炎薬(外用薬を含む。)
   イ 末しょう神経障害治療薬
  (5) 「処置、手術その他の治療」は、(1)の「診察」の結果、医学的に必要と認められる者に対し、1月に2回を限度として神経ブロックを行う。
 
第15 精神疾患等にり患した者に対するアフターケア
 1 趣旨
   精神疾患等にり患した者のうちには、症状固定後においても、抑うつ等の気分の障害、意欲低下等の障害、慢性化した幻覚性若しくは妄想性の障害又は記憶若しくは知的能力の障害等を残すことがあるので、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状固定時の状態の維持を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
 2 アフターケアの範囲の基準
  (1) 「診察」は、原則として1月に1回必要に応じて行い、治癒後3年を限度とする。ただし、医学的に必要と認められる者については、その必要な期間継続して行うことができるものとする。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の都度行う。
  (3) 「検査」は、次に掲げる検査を、(1)の「診察」の結果医学的に必要と認められる者に対し、原則として1年に2回行う。
   ア 末しょう血液一般・生化学的検査 向精神薬を使用している者に対して行う。
   イ 心理検査
   ウ 脳波検査
   エ CT、MRI検査
  (4) 「薬剤又は治療材料の支給」は、次に掲げる薬剤を(1)の「診察」の都度、必要に応じて支給する。
   ア 向精神薬
   イ 神経系機能賦活薬
  (5) 「処置、手術その他の治療」は、(1)の「診察」都度、必要に応じて専門医師による精神療法又はカウンセリング(生活指導に重点を置いたものとする。)を行う。
 
第16 心臓弁を損傷した者、心膜の病変を有する者又は人工弁若しくは人工血管に置換した者に対するアフターケア
 1 趣旨
   心臓弁を損傷した者、心膜の病変を有する者又は人工弁若しくは人工血管に置換した者は、症状固定後においても、心機能の低下を残したり、血栓の形成により循環不全あるいは脳こうそく等をきたしたりすることがあるので、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状固定時の状態の維持を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
 2 アフターケアの範囲の基準
  (1) 「診察」は、原則として、1月から3月に1回必要に応じて行い、心臓弁を損傷した者又は心膜の病変を有する者については治癒後3年を限度とする。ただし、これらの者で医学的に必要と認められるものについては、その必要な期間継続して行うことができるものとする。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の都度行う。
  (3) 「検査」は、次に掲げる検査を、(1)の「診察」の結果必要に応じて、それぞれに掲げる範囲で行う。
   ア 末しょう血液一般・生化学的検査 原則として1月から6月に1回行う。
   イ 尿検査 原則として1月から6月に1回行う。
   ウ 心電図検査 安静時及び負荷検査を原則として3月から6月に1回行う。
   エ エックス線検査 原則として3月から6月に1回行う。
   オ 心音図検査 人工弁に置換した者に対し、原則として3月から6月に1回行う。
   カ 心臓超音波検査 人工弁又は人工血管に置換した者に対し、原則として1年に1回行う。
   キ 脈波図検査 人工血管に置換した者に対し、原則として1年に1回行う。
   ク CT又はMRI検査 人工血管に置換した者で医学的に特に必要と認められるものに対して行う。
   ケ CRP検査 人工弁又は人工血管に置換した者に対し、原則として1年に2回行う。
  (4) 「薬剤又は治療材料の支給」は、次に掲げる薬剤を、(1)の「診察」の都度、必要に応じて支給する。ただし、エについては心臓弁を損傷した者又は人工弁に置換した者に、オについては人工弁又は人工血管に置換した者に限る。
   ア 抗不整脈薬
   イ 心機能改善薬
   ウ 循環改善薬(利尿薬を含む。)
   エ 向精神薬
   オ 血液凝固阻止薬
 
第17 呼吸機能障害を有する者に対するアフターケア
 1 趣旨
   呼吸機能障害を有する者は、症状固定後においても、せきやたん等の後遺症が残存するため、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状固定時の状態の維持を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
 2 アフターケアの範囲の基準
  (1) 「診察」は、原則として1月に1回必要に応じて行い、治癒後3年を限度とする。ただし、医学的に必要と認められる者については、その必要な期間継続して行うことができるものとする。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の都度行う。特に喫煙者に対しては、日常生活上の配慮として喫煙の防止について指導するものとするが、私病であるニコチン依存症の治療は行うことができないものとする。
  (3) 「検査」は、次に掲げる検査を、(1)の「診察」の結果必要に応じて、それぞれに掲げる範囲で行う。
   ア 末しょう血液一般・生化学的検査 原則として1年に2回行う。
   イ かくたん細菌検査 原則として1年に2回行う。
   ウ スパイログラフィー検査 原則として1年に2回行う。
   エ 胸部エックス線検査 原則として1年に2回行う。
   オ 血液ガス分析 原則として1年に2回から4回行う。
   カ 胸部CT検査 原則として1年に1回行う。
   キ CRP検査 原則として1年に2回行う。
  (4) 「薬剤又は治療材料の支給」は、次に掲げる薬剤を、(1)の「診察」の都度、必要に応じて支給する。
   ア 去たん薬
   イ 鎮がい薬
   ウ ぜん息治療薬
   エ 抗菌薬(抗生物質を含む。)
   オ 呼吸器用吸入薬及びちょう付薬
   カ 鎮痛剤・消炎鎮痛・消炎薬(外用薬を含む。)
 
第18 消化吸収障害、逆流性食道炎、ダンピング症候群、腸管癒着、排便機能障害若しくはすい機能障害を有する者又は消化器ストマを造設した者に対するアフターケア
 1 趣旨
   消化器を損傷した者で、症状固定後においても、消化吸収障害、逆流性食道炎、ダンピング症候群、腸管癒着、排便機能障害又はすい機能障害を有するものは、腹痛や排便機能障害等を発症することがあり、また、消化器ストマ(大腸皮膚ろう、小腸皮膚ろう又は人工こう門)を造設したものは、反応性びらん等を発症することがあるので、これらの者に対し、アフターケアを実施して症状固定時の状態の維持を図り、円滑な社会生活を営ませようとするものである。
 2 アフターケアの範囲の基準
  (1) 「診察」は、原則として1月に1回必要に応じて行い、治癒後3年を限度とする。ただし、医学的に必要と認められる者については、その必要な期間継続して行うことができるものとする。
  (2) 「保健指導」は、原則として(1)の「診察」の都度行う。
  (3) 「検査」は、次に掲げる検査を、(1)の「診察」の結果必要に応じて、それぞれに掲げる範囲で行う。
   ア 末しょう血液一般・生化学的検査 原則として3月に1回行う。
   イ 尿検査 原則として3月に1回行う。
   ウ 腹部超音波検査 医学的に特に必要と認められる者に対して行う。
   エ 消化器内視鏡検査(ERCPを含む。) 医学的に特に必要と認められる者に対して行う。
   オ 腹部エックス線検査 医学的に特に必要と認められる者に対して行う。
   カ 腹部CT検査 医学的に特に必要と認められる者に対して行う。
  (4) 「薬剤又は治療材料の支給」は、次に掲げる薬剤を、(1)の「診察」の都度、必要に応じて支給する。ただし、エについては、逆流性食道炎が認められる場合に支給するものであり、鎮痛剤に対する健胃消化剤として支給するものではない。
   ア 整腸薬、止しゃ薬
   イ 下剤、かん腸薬
   ウ 抗貧血用薬
   エ 消化性かいよう用薬
   オ たん白分解酵素阻害薬
   カ 消化酵素薬
   キ 抗菌薬(抗生物質、外用薬を含む。)
   ク 鎮痛・消炎薬(外用薬を含む。)
  (5) 「処置、手術その他の治療」は、(1)の「診察」の都度、必要に応じて、ストマ処置及び外ろうの処置(軽微な外ろうが認められる者に対して、外ろう周辺の反応性びらん等の発症を予防するために行うもの)を行い、自宅等で使用するための滅菌ガーゼを支給する。
 
以   上