「精神疾患等の公務上災害の認定について」の改正の留意点について

(平成24年3月30日職補117)

(人事院事務総局職員福祉局補償課長発)

 

 

 「精神疾患等の公務上災害の認定について(平成20年4月1日職補−114)」(以下「指針」という。)が、平成24年3月26日職補−95により改正されました。

 ついては、運用に当たり、特に下記に留意してください。

 

 

1 指針の対象とする精神疾患について(指針の2関係)
  指針の対象とする精神疾患のうち業務に関連して発症する可能性のあるものは、主としてICD−10のF2からF4に分類されるものとしているが、これはF5からF9に分類されるものについて業務に関連して発症する可能性を否定するものではない。

2 調査対象の期間について(指針の3の(1)関係)
  過重な負荷となる可能性のある業務が精神疾患の発症の6か月より前から続いている場合には、その点に留意して負荷の過重性を検討することとしており、具体的には、精神疾患を発症した職員の業務そのものの過重性が続いている場合のほか、次のような点に留意することとなる。
 ア 職場でのトラブル(嫌がらせ、いじめ等)やセクシュアル・ハラスメントのように出来事が繰り返されるものについては、繰り返される出来事は一体のものとして評価できるものである。したがって、これらが発症の6か月より前から行われている場合であっても、発症前6か月以内の期間にも引き続いていれば、6か月より前からの出来事も合わせて検討すること。
 イ 生死に関わる又は永久に労働不能となる後遺障害を残す公務上の負傷又は疾病のような極めて強い負荷となる出来事を体験した者は、しばらく後に無感覚等の心的麻痺や解離等の心理的反応が生じる場合があり、このため、医療機関への受診時期が当該出来事から6か月より後になることがある。その場合には、当該心理的反応が生じた時期を発症時期とみなして、当該発症時期の前おおむね6か月間の出来事等の負荷の状況についても検討すること。

3 超過勤務について(指針の3の(2)関係)
 (1) 1か月間に80時間以上の超過勤務を行っていない場合であっても、業務による強い負荷が認められるときがあるので、業務負荷の過重性を判断するに当たっては、「公務に関連する負荷の分析表」を参考に多角的な検討を心掛ける必要がある。
 (2) 超過勤務については、超過勤務等命令簿による時間数、時間帯だけに着眼するのではなく、職場内に限らず被災職員の実際の業務に関連する行動の実態に十分留意することとしており、例えば、自宅等で業務を行っていたとする場合については、その業務内容、時間数のほか、具体的な成果物や自宅等で業務に従事せざるを得なかった事情(緊急性、必要性等)についても確認する。なお、自宅等での業務従事に係る負荷の程度については、自宅等での業務は使用者の支配管理下になく、任意の時間、方法及びペースで行うことが可能であると考えられるため、原則として勤務官署における超過勤務と同等と評価できるものではないが、事案ごとに検討する。  

4 治癒(症状固定)について(指針の7関係)
 (1) 通常の勤務が可能と判断される状態が継続すると見込まれるのであれば、投薬等を継続している場合であっても、通常は治癒(症状固定)の状態にあると考えられる。治癒(症状固定)の目安を一概に示すことは困難であるが、例えば薬物が奏功するうつ病について、9割近くが治療開始から6か月以内にリハビリ勤務を含めた職場復帰が可能となり、また、8割近くが治療開始から1年以内、9割以上が治療開始から2年以内に治癒(症状固定)となるとする報告例がある。
 (2) 治癒(症状固定)の検証に当たっては、日頃から、療養の現状報告書等により、療養の現状や今後の見込み等を的確に把握しておくことが重要である。
   なお、治癒(症状固定)後における一定の医療行為に対しては「アフターケアの範囲の基準等について」(昭和63年4月8日職補−184」において、「第15 精神疾患等にり患した者に対するアフターケア」が定められているので、残存する症状が障害等級に該当しない場合でも活用できることに留意する。

5 調査事項について(指針の9関係)
 (1) 改正前の指針に比べて個体的な要因、私的要因に係る調査事項は簡略化を図っているところであるが、主治医の診断書等において精神疾患の発症に直接影響し得る内容が記載されている場合には、事実関係を把握して調査事項の(8)の「その他の参考となる資料」として取り扱う。
 (2) セクシュアル・ハラスメントが原因で精神疾患を発症したとする場合については、特に次の点に留意して調査する。
  ア セクシュアル・ハラスメントを受けた者は、セクシュアル・ハラスメントを行う者からの被害をできるだけ軽くしたいとか、勤務を継続したいといった心理から、やむを得ず行為者に迎合するかのような言動を行うことがあるので、これらの事実があったからといってセクシュアル・ハラスメントを受けたことを単純に否定することにはならないこと。
  イ セクシュアル・ハラスメントの被害者は、被害を受けてからすぐに他者に相談しない場合や、医療機関でもセクシュアル・ハラスメントの被害についてすぐに話せない場合があることから、相談が遅かった又は相談がなかったので負荷の程度が弱いであろうという予断を持たないこと。 

                            

 

以   上